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42台の iMac と Cubase Pro 9 を一挙導入。映像系を目指す人も DAW を身につける

金沢科学技術専門学校 映像音響学科 副学科長
大谷内 真郷(おおやちまさと)先生

金沢科学技術専門学校(Kist キスト)は1987年に創立した北陸唯一の総合工業系専門学校となっており、自動車整備士などを目指す自動車工学科や建築士などを目指す建築学科、家具職人を目指す家具クラフト科、コンピュータ関連の情報工学科、さらには電気エネルギー工学科といったさまざまな学科があるなか、エンタメ系の複合学科である映像音響学科というものがあります。

この映像音響学科では映像編集技術者、照明技術者、放送エンジニア、CM ディレクター、PA エンジニア、レコーディングエンジニア、映像カメラマンなどエンタメ業界が求める多様な人材を育成するために、多岐にわたる学習指導をしています。もちろん、生徒本人の志望する職種や希望によって2年次での取得科目はかなり変わってくるのですが1年生のときは映像系も音響系も一緒の授業を行っているのが、この学科の大きな特徴でもあります。

いまの時代、映像系に進んだとしても、映像だけができればいいというわけではありません。「専門は映像だけど、音響系も音楽系もわかり、DAW が扱えて、音楽もある程度は作れる」といったマルチな能力を持つ人が求められており、そうでないとなかなか生き残っていけないのも事実です。そうした力を付けていくためにも、特に1年生の基礎教育においては、さまざまなことを学ぶようにしているのです。

金沢科学技術専門学校に2017年春、42台の iMac と Cubase Pro 9 が導入された

その中の一つとして DTM の授業は、長年行ってきているのですが、この春、コンピュータをすべて入れ替えたのと同時に、ソフトウェア、そしてカリキュラムも大きく見直しました。具体的には生徒用に40台と教師用、予備と計42台の iMac を新規導入したのですが、このすべてに Cubase Pro 9 をインストールし、今年度からより DTM に力を入れて時間も割くようにしています。

昨年度までは Logic を使った授業を展開していましたが、改めてどの DAW を採用するのがいいのか、いろいろ比較検討したなか、Cubase を選んだのです。一番の決め手は、やはり最近のシェアの伸びで、クリエイターの人たちの間での利用率が高いということで選んだのです。また学校での授業で使うということで重要だったのがサポート体制です。地元の楽器店である vanvan さんが、トラブル時にも面倒を見ていただけるということも大きな安心材料でした。とくに Logic の場合は、トラブルがあった場合は、お手上げだったので、ここは大きいですね。

また導入時には、Cubase のどのグレードを入れるかという点でも検討しましたが、せっかくならプロが使っているのと同じものを用意してあげたい、それが学校として生徒にしてあげられることなので、思い切って最上位の Cubase Pro 9 の導入を決めたのです。アカデミック版で割安になっていることもあり、導入コスト面でも大きなネックにはなりませんでした。

この Cubase 導入によって大きく見直した授業ですが、1年生は1年間ずっと習い、2年生では約半分の生徒が受ける形となっています。どこまで身につけられるかは生徒次第ではありますが、最近の子たちは、飲み込みが非常に速いので、卒業時にはかなりのことができるようになっているはずですよ。

この映像音響学科では、卒業制作としてショートムービーを作るということを行っています。これはいくつかに分かれたチームごとに作品作りをするのですが、従来はフリーの音楽素材や JASRAC の許諾を受けた上で既存の楽曲を使っていましたが、そうした音楽を自分たちで作れば、大きな経験になるはずです。その意味でも録音だけでなく曲も作っていける Cubase は大きな武器になると考えています。

ぜひ、こうした経験を元に、映像の世界、音響・音楽の世界で活躍する人材が巣立ってもらえたらと願っています。

映像音響学科における DTM の授業に Cubase Pro 9 が利用されている

卒業制作のショートムービーにも Cubase を活用してみたい

映像音響学科 2年生
米澤英(よねざわあきら)さん

 「創作活動がしたい」高校生のころは、やや漠然とした思いではあったのですが、映像制作や音楽制作などさまざまな創作活動ができる学科があるのを知って、Kist の映像音響学科への進学を決めました。自宅から自転車で30分で通えるなど、さまざまな条件を見てもベストマッチだったんです。

学校ではグループワークが多く、みんなで集まり、手分けして1つのものを制作していくのですが、これがなかなか楽しいんですよ。いま、自分としては映像のほうを専門としていて、一人でビデオ編集なども行っているのですが、あえて授業では Cubase を使う DTM を選択しました。

1年生のときは Logic を使っていたので、最初戸惑いもあったのは事実です。ただ、実際に操作してみると Cubase は使いやすいですね。いま自分がどんな操作をしているのかが画面に表示されるので、何をすればいいのかが分かるのもいいところです。これから卒業制作としてのショートムービー制作に取り組んでいくのですが、そうした中にも Cubase をうまく活用できれば…と模索しているところです。

昨年は映像音響学科として全員受験が必須となっていた MIDI 検定3級を受けて、なんとか合格できました。暗記が苦手なので、MIDI のコントロールチェンジのナンバーを覚えたりするのに必死でしたが、そこでの勉強が身になったことも事実です。こうした知識も生かしながら、今後の就職活動に活かせていければと思っています。

ライブハウスの企画・運営に携わっていきたい

映像音響学科 1年生
湯浅美月(ゆあさみづき)さん

音楽を聴くのが大好きで、将来は音響関係の仕事に就きたいと以前から思っていました。ちょっと憧れているのがライブを企画する仕事です。この学校にはライブができるスタジオがあり、映像音響学科では先生の指導も受けながら生徒が主体となってブッキングから運営まで行うライブがあるということを知り、ここしかない、と入学を決めました。もっとも、北陸にこうした学校はほとんどなく、私は富山からクルマで40分かけて石川まで通っているんですけどね。学校の近所の駐車場を月極で借りて停めています。

まだ入学したばかりで、多岐にわたる授業にとってもワクワクしているところです。この Cubase の授業も今回が3回目。DAW に触れるのはこれが初めてですし、これまで Windows だったので、Mac を使うのは今回が初めてで、分からないことだらけ、というのが正直なところです。でも、たった3回の授業ではあるけれど、実際に操作することで音を出すことができ、「こうやって音楽って作っていくのか!」という音楽を制作する工程が見えてきて、とっても楽しいです。

まだまだ操作に戸惑うことはありそうですが、これからも Cubase の使い方をどんどん身につけていきたいです。この Cubase は Windows でも動くということなので、自宅用にも買おうかと検討しているところですが自分のパソコンがかなり古いので、まずはパソコンの買い替えからということになりそうですね。

打ち込みを身につけ、将来の可能性を広げていきたい

映像音響学科 1年生
伊藤翼(いとうつばさ)さん

高校生のとき、富山県にあるオーバード・ホール(富山市芸術文化ホール)に行って、初めて本格的なライブ・コンサートを見てきました。その時に体験した音は、自分の家で聴いている音とはまったく違うことに感動し、こうした音響の世界に自分も携わってみたいと思うようになったのです。そう思ったとき、たまたま高校の同級生が、Kist のパンフレットを持っていて、見せてもらい、「もうここしかない!」と思って決めたんですよ。結局、その同級生はまったく関係のない学校に進学したのですが(笑)。

もっとも自分は楽器を弾いたことがないし、楽譜を見てもさっぱり分からないというのが正直なところです。でも、授業でピアノロール画面に音符を配置していくと、それだけで演奏ができてしまう世界は自分にとって新鮮で、とっても大きな刺激になりました。

将来的には PA の仕事に就きたいと思っており、そのためにここで音響の勉強をしっかりしていきたいと考えていますが、授業としては音響よりも、この Cubase の授業のほうが楽しいんですよね。まだたった3回の授業ではあるけれど、できることがどんどん増えていくこの楽しさには、すごい可能性を感じています。PA とは直接関係ないのかもしれませんが、今後自分で打ち込みができるようになると、絶対に面白いですよね。

勉強しなくてはならないことが、いっぱいありそうですが、ここでいろいろなことを身につけ、多くの人に感動を与えられる仕事に就きたいと思っています。

Cubase ならではのコード機能を音楽教育に生かしていく

清水目千加子(しみずめちかこ)先生

私自身、本業は作曲・ピアノ演奏ですが、この金沢科学技術専門学校= Kist で1999年ごろから Logic や Sonar などを使った DTM に関する授業を行ってきました。もともと国立音大で学生をしていた時代に電子音楽が流行り出したこともあり、大学に高価なシンセサイザーが1台導入されて使い始めたのが私にとっての電子楽器の最初の出会いでしたが、そこから見ると、非常に大きく進歩したことを実感します。

今年から、授業で扱う DAW が Cubase Pro 9 に変わったので、まだ完全には慣れていないのが正直なところですが、Cubase のコードトラックなどのコード機能は非常に優れていて、授業でもうまく扱っていきたいと目論んでいるところです。とくに次のコードを予測してくれる機能は面白く、知識や経験の少ない生徒にとってはコードの仕組みを覚える重要な教材となりそうです。

また Cubase がほかの DAW と比較して圧倒的に便利と感じたのはアレンジャートラック。これによって、曲の構成を自由に組み替えられるのはいいですね。2年生の制作において、この機能を存分に発揮させてあげたいなと思っています。

もっとも、ここに入学してくる生徒の多くは楽譜・音符が苦手な子。私のポリシーとしては、まずこの音符の基本を理解させるために、音の高さと長さの関係をピアノロールのキーエディターで入力して身につけさせるところから始めています。また映像音響学科としては MIDI 検定3級の合格を1つの目標としているので、Cubase の授業を通じて MIDI 検定のための学習指導も行っています。もちろん、MIDI 検定の試験範囲は広く、MIDI だけでなく、オーディオ・音響に関する知識も必要になってくるため、大谷内先生が行っているレコーディングの授業などとも連携しながらの指導となっています。

ここの卒業生の進路としては、映像系に進む生徒も多いのですが、そうした現場であっても、Cubase が普通に使える人材になっていれば、活躍の場も広がるはずなので、将来大きな役に立つと思います。

清水目先生の授業では、まず譜面を元に MIDI 入力を行う
生徒同士が教え合いながら授業も展開されていく