Steinberg Media Technologies GmbH

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FUNKY MONKEY BABYS、Da-iCE、flumpool、TRF、YUKI、伊藤由奈、May J. など数々のアーティストへの楽曲提供やプロデュースを手掛ける、気鋭プロデューサー/コンポーザーの田中隼人さん。また、ソロデビューシングル「My VOICE」よりプロデュースを手掛けるファンキー加藤の全国ツアー「HALFWAY STAR TOUR」にライブサウンドプロデューサー / キーボードとして参加するなど、キーボーディスト、DJ としても多岐に渡り活躍されています。今回は、そんな同氏のプライベートスタジオ "ROMAHOLIC studio" を訪問し、音楽制作システムの中心的存在となっている DAWソフトウェア Cubase について、そのなれ初めから活用テクニックまで熱く語っていただきました。

初めて触れた DAW ソフトが Cubase。それ以来まったく浮気ナシ!

- 田中さんが手掛けられているまざまな楽曲や CM 曲などは、とてもバリエーションに富んでおりジャンルレスに感じられますが、ご自身の音楽的バックボーンは、どのようなところにあるのでしょうか?

僕が音楽をはじめたのは、中学生のころにギターを買ってもらったのがキッカケですね。そのころ、近所に洋楽好きの友達がいて、スキッド・ロウ、メタリカなど色々と聴かされているうちに、いつの間にか僕もどっぷりロックにハマッていました。(笑) はじめは、ギターを弾きながら洋楽のコピーなどをしていたのですが、すぐに多彩なサウンドが演奏できるキーボードに興味が湧いてきて、キーボーディストに転向しました。

- キーボードに興味を持たれたキッカケはなんだったのですか? また、ギターやキーボードはすべて独学で学ばれたのですか?

中学2年生ときに、Jamiroquai が登場して「なんだ、これは!?」と衝撃を受けました。(笑) 当時の僕にとっては、本当に衝撃的なサウンドで、すぐにこんな楽曲を自分も作ってみたいと思うようになり、キーボードや MTR、友達から借りた QY70 などを使って音楽制作を行うようになりました。Jamiroquai のおかげで、そのルーツでもあるブラックミュージックやジャズなど、ロックのみならず広いジャンルの音楽をたくさん聴くようになったのが、今の自分の多様な音楽性にも繋がっているのではないでしょうか。楽器の演奏はすべて独学で、教則本などを見ながらよく個人練習していましたね。

- 中学時代からシーケンサーや MTR を使った音楽制作を行っていたそうですが、コンピューターと DAW ソフトウェアを使ったシステムに移行された時期や理由について教えてください。

シーケンサーや MTR、さらに簡易的なサンプラーなどを使って曲作りをしていたのですが、もっと MIDI やオーディオで凝ったことをしたくなり限界を感じたのが、PC ベースの DAW ソフトウェアへ移行した理由です。高校になって、Mac と Cubase Score を購入したのが僕にとっての初めての DAW システムでした。それ以来ずっと DAW ソフトウェアは、浮気なしに Cubase を使い続けていますよ。(笑) とはいっても、当時はまだ MIDI での打ち込みが中心で、外部の音源やサンプラーを鳴らして音楽制作を行うスタイル。本格的にオーディオを扱いだしたのは、Cubase VST 5 の時代になってからですかね。一時期は、Nuendo も併用していましたが、すぐに Cubase オンリーの環境に戻りました。

常に最新の機能や音源などもチェックし曲作りに取り入れる!

- 長年の Cubase ユーザーである田中さんから見た、最新バージョン Cubase Pro 9 に至るまでの印象や、オススメの機能などについて教えてください。

個人的に、Cubase でのオーディオに対するり扱いが劇的に変化したと感じたのは、REX ファイルの読み込みに対応したときでした。当時ケミカル・ブラザーズなどのデジロックが台頭しており、それらしいトラックが簡単に作れることに驚かされました。最新の Cubase Pro 9 では、サンプラートラックが追加されたことで、MIDI トラックを扱うがごとく、自由にオーディオデータを扱えるようになったのが最高ですね! 早速この前のレコーディングでも使わせてもらいました。また、画面の両サイドに表示できる情報や操作が非常に増えたのも、ワークフローの効率化に大きく貢献してくれています。さらに、Cubase Pro 9 からの新機能ではありませんが、ボーカルなどの一部だけに違ったエフェクトやギミックを施す際などに、VariAudio やインプレイスレンダリングはとても重宝していますね。

- 田中さんは、新機能や新しいプラグインなどを積極的にお試しになるそうですが、お気に入りのプラグインエフェクトや、最近よく使用されているソフトウェア音源などはありますか?

僕は、なんでも一度は試してみるタイプなので、気になる新機能や新しいプラグインは時間をみつけてはチェックし、随時ワークフローに取り入れています!(笑) プラグインエフェクトでは、Cubase の各トラックに装備された EQ は、気軽かつ直感的に使えるので多用しています。それから Pitch Correct を微妙なフォルマントの変更のためだけに利用したりもします。また、ソフトウェア音源としては、Retrologue のサウンドと音作りのしやすさがお気に入りです。さらに Spire や Kontakt 系のライブラリー音源も大量に使っています。なお、動作の重い音源などについては、Vienna Ensemble Pro を起動した音源専用の Windows マシンを用意し、そちらで動作させるようなシステムなので安心です。

ライブ見せ場でのシンセソロは Retrologue のリードサウンド

- 現在、ファンキー加藤さんの全国ツアー「HALFWAY STAR TOUR」にも、ライブサポートプロデューサー / サポートメンバーとして参加されていますが、ツアー中のシステムなどをぜひお聞かせください。

僕が、現在参加している「HALFWAY STAR TOUR」では、キーボードディストに加え、マニピュレーターの役割も担当しています。MacBook Pro で Cubase を自走させて8アウト分のステムトラックを UR824 から再生し会場の PA に送るシステムを、バックアップを含め2セット用意しています。LIVE 全体を通して、すべての楽曲を12~3時間くらいの長さがある巨大なプロジェクトとして1度に読み込んでいますが、まったく問題なく軽快に再生することが可能です(プロジェクト内の曲間は、誤操作を防ぐため30分程度のインターバルを設けているとこと)。さらに、場所を選ばすいつでも簡単なサウンドチェックが行えるように、小型オーディオインターフェースの UR22 もツアー機材として持ち歩いています。実は、今回のライブのショルダーキーボードでのシンセソロは、Cubase に搭載された Retrologue のリードサウンドをリアルタイムに演奏しているんですよ!

- UR824 は、ツアーだけでなく "ROMAHOLIC studio" でも愛用いただいているそうですが、使い勝手やサウンドの印象はいかがですか?

まずは、そのサウンドもさることながら、Steinberg 純正のオーディオインターフェースという安心感が非常に大きいですね。最新の Cubase などと組み合わせた際にも、トラブルフリーで安定して使用できるのが素晴らしいです。また、UR824 に搭載されているヘッドアンプも高音質で、そのまま本番のレコーディングで使ったりする場合もあります。さらに、内部ルーティングなどが複雑過ぎず、シンプルでありながら必要にして十分な機能を備えているのも、直感的で操作しやすいです。

- 最後に、これから音楽制作をはじめる Cubase 初心者の方々へのアドバイスと、Cubase に対するメッセージをお願いいたします。

Cubase を使い始めた当初は、僕も曲作りのための流れがつかめずやや戸惑いました。しかし、その流れさえつかんでしまえば、あとは無限かつ自由に音楽制作を楽しめるはずです! まずは、実際に曲を作りながら1つ1つ操作になれることが大事だと思います。最初であきらめず実践を重ねることで、自分に必要な知識や機能もおのずと身につくのではないでしょうか。

僕の中で、Cubase のイメージはクールでイノベーティブというのがいつもあって、UI デザイン、機能、サウンドなどあらゆる面において、これまでもこれからもクリエイターの創作意欲をかき立てる存在であり続けて欲しいと期待しています。

Aimer「BEST SELLECTION "blanc"」

2017年5月3日発売
M5「Re:pray」にサウンドプロデュース/編曲で参加

ファンキー加藤「Decoration Tracks」

2016年11月2日発売
プロデュース/編曲/作曲で多数参加