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2016年4月に、ソニーミュージックからメジャーデビューアルバム「BASIN TECHNO」をリリースした新進気鋭のアーティスト、岡崎体育のミュージックビデオ「MUSIC VIDEO」を、もう皆さんはご覧になったでしょうか? YouTube でのビデオ公開以来、400万回以上(2016年6月時点)の爆発的再生回数を誇る、最近、ちまたを騒がせている超人気の MV。だれもが一度は見たことがあるであろう "MV あるある" とでもいえそうな演出テクニックやビデオ効果の数々が、歌詞とリンクしそのまま映像として再現される非常にユニークな内容となっており、軽快なテクノ調のサウンドと良い意味で皮肉たっぷりなテンポ感のある展開は、思わず爆笑してしまうこと間違いなしです。

今回は、そんな衝撃的な楽曲と映像を生み出した大注目のクリエイター『岡崎体育』(おかざき たいいく)さんに、ご自身の音楽制作環境の中心である DAW ソフトウェア Cubase との出会い、その魅力と活用方法、さらにはこだわりのサウンドメイキングなどについて、インタビューを敢行しました。

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ゲーム「大合奏!バンドブラザーズ」で目覚めた曲作り

- あまりに衝撃的な MV に、何からお聞きするべきか迷うところですが、まず岡崎さんの音楽への目覚めと、幼少期の音楽との関わりについて教えてください。

幼いころの音楽体験といえば、6~7歳のころにピアノを習っていたことでしょうか。ただ、それも習っていた先生のご都合でたった3ヵ月で辞めてしまったんですが。ただ、家には常に音楽が身近にありましたね。当時、母が Queen (ロジャー・テイラー)の追っかけをしていたこともあり、よく Queen や Deep Purple といった洋楽ロックを耳にする機会が多かったんですよ。そこから派生して、自分自身でさまざまな曲を聴くようになりました。

- では、岡崎さんは、幼少期からピアノなどを使って曲作りなどもされていたのでしょうか?

いえいえ、子供の頃には本当に遊び程度です。曲作りのような作業が初めて面白いなと思ったのは、ニンテンドーDS 用ゲーム「大合奏!バンドブラザーズ」に入っていた、おまけの作曲ゲームだったと記憶しています。中学生時代に、アレにどハマリしてしまい本当によく遊んでいましたね。でも、そのおかげで音と音をリズムに合わせて組み合わせる楽しさを知ることができました。僕にとっては、作曲ツールの原点といっても過言ではないです。楽器もろくに弾けないのに、なんと小学校の卒業文集には「作曲家になる」って書いてました。

- 現在では、ピアノ以外にもギターやベース、ドラムなどさまざまな楽器を演奏されるそうですが、音楽的知識や演奏方法などについては、どのように学ばれたのですか?

基本的には、楽器だけでなく、作曲や編曲、ミックスなど、そのすべてが見よう見まねでの独学ですね。高校時代にギターを買ったものの、Fコードは弾けずに挫折した人なので。だから、他のクリエイターの方々からするとタブーとなっているような奏法やミックス手法なども、きっとたくさんあるはず。しっかりと、音楽知識を学びたいという気持ちはありますが、今はなんといっても自分の耳が一番の頼りです。

楽器屋で果たした Cubase との運命的出会い?

- Queen や 電気グルーヴといった、国内外の多数のアーティストの影響を受けているとのことですが、ご自身の音楽的趣向や作風としてテクノに傾倒していったのはいつ頃からですか?

おそらく、テクノサウンドをメインとした曲作りを開始したのは、自身の音楽ソロプロジェクト『岡崎体育』を開始(2012年)するにあたり、核となるサウンド的コンセプトが欲しいと考えはじめた頃からです。とはいえ、大学時代には、エレクトロパンクバンドなども経験していますし、エレクトロなサウンドのみならず、バンドサウンドなども積極的に取り入れながら幅広く曲作りを行っています。改めて考えると、楽曲中に見られる大胆かつドラマティックな展開などは、Queen の影響なども大きいかもしれませんね。

- 大学時代には、バンド活動などもなされていたそうですが、DAWソフトウェア Cubase を使い始めたのはいつ頃からですか? また、そのキッカケについてもお聞かせください。

実は、バンドで僕がベースを担当することになったので、バイト代を握りしめとある楽器屋さんにベースを買いにでかけたんです。ところが、楽器屋さんの売り場を間違え、主にデジタル製品などを扱う店舗に入ってしまってそこで、店員さんがすかさず DAW ソフトウェア Cubase 5 について、とても親切・丁寧に解説を。そして、気がついたらいつのまにやらベースでなく Cubase を購入してました。まぁ、今にして思えば、それが僕と Cubase との運命の出会いでもあったわけです。

- Cubase 5 を使って本格的な音楽制作を開始された当時の第一印象は? すぐに、デジタルレコーディングなどの仕組みになじむことができましたか?

Cubase 5 を使い始める前にも、パソコンには触れていましたし、サウンドを積み重ねて各パートを構成していくのは、まさにゲーム感覚で僕にはとてもなじみやすかったですね。また、なんといっても後から演奏データなどを修正できるのが非常に便利で有り難かった。「こんなことならもっと早く Cubase を使っておけばよかったー」って思ったのをよく覚えています。個人的には、譜面などでの作曲より、よほど Cubase での作曲のほうが直感的で分かりやすいです。

僕の楽曲のすべてが Cubase の中に収められています

- 最新アルバムである「BASIN TECHNO」が生み出された、現在の岡崎さんの音楽制作システムについて教えていただけますか?

いやぁ、もう音楽制作システムと呼べるほどの機材は、まったくといって良いほど用意していません。以前、公開したセルフドキュメンタリー映像などでも紹介した MacBook Pro を中心とし、入力用 MIDI キーボード、小型モニタースピーカーなど、最小限のセットを今でも使用しています。あとは、制作をメインに行う最新の Cubase Pro がインストールされた MacBook Pro と、ライブで使用する Cubase 5 がインストールされた MacBook Pro の2台を用意していることくらいです。だから、Cubase の中には、僕の楽曲のすべてがマルっと収められており、いつでもどこでも再現できます。ちなみに、最新アルバム「BASIN TECHNO」では、ミックスもすべて自宅の Cubase で行いました。

- Cubase 5 から、長年に渡り製品を愛用していただいてる岡崎さんが思う Cubase の魅力とはなんでしょうか?また、お気に入りの機能や、よく使うテクニックなどはありますか?

Cubase 一つを購入するだけで、音楽制作に必要な基本的機能がすべて揃い、すぐに曲作りを始められるのは、初心者にとって大きなメリットだと思います。また、豊富な付属音源やエフェクトも魅力。今でも、付属の HALion Sonic SE や Groove Agent のサウンドがお気に入りで、よく利用しています。あとは、よく使う機能といえば、やはり VariAudio (バリオーディオ)。オーディオのテンポやピッチの変更を直感的に Cubase の中だけで行えるので、ボーカルの修正などで特によくお世話になってます。アルバムに収録された「スペツナズ」で聴ける独特のロボットボイスも VariAudio で加工しました。

- アルバム収録曲「Voice Of Heart」では、バスドラムのサウンドにも相当こだわられているとお聞きしました。ご自身は、サウンド1つ1つを綿密に作り上げるようなエンジニア的作業もお好きなのでしょうか?

パフォーマーとしてだけでなく、楽曲提供や劇伴の制作、リミックスなども手がけており、裏方のお仕事も大好きなんです。音作りに関してもそうで、例えば今回の「Voice Of Heart」という曲のキックドラムの音にも、かなりこだわりました。めっちゃモッチリしてる最高のサウンドになっているので、ぜひ皆さんにも実際に音を聴いてみてほしいですね。僕自身も、作っていてめっちゃ気持ちよかったので。

- それでは最後に、岡崎体育さんが創始なされた "盆地テクノ" サウンドを制作するにあたってのコツや、おすすめの制作方法などがあれば、ぜひアドバイスをお願いします。

あまり深い意味があるわけではないので、偉そうなことは何もいえないのですが。個人的には、まず最初に思いつく限りのフレーズやパート、サウンドを、無心かつ自由に Cubase に入力し、とにかく重ねていくことですかね。その後、余分な要素を少しづつ引き算していくように、メロディーやアレンジ、アイディアを厳選し楽曲を研ぎ澄ましていく感じ。その段階で、楽曲の構成やパートを大胆に入れ替えてしまうなどの試行錯誤もよくあります。僕自身、今後もさまざまな手法で、少しでも多くの皆さんの心に響く "盆地テクノ"(岡崎体育の音楽)をお届けできるようメジャーでの活動を末永く続けられたら幸せですね。