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若田部誠氏(EPIC レコード ジャパン所属 ソニー・ミュージックパブリッシング専属作家)は、AKB48、NMB48、HKT48、SKE48、NGT48 などの各グループをはじめ、数多くのアーティストへの楽曲提供や制作をてがけている新進気鋭の作編曲家であり、6/22発売の前田敦子 1st アルバム『Selfish』にも楽曲提供するなど、精力的に創作活動を行っている今注目のクリエイターです。

本インタビューでは、"アイドル+フォークソング" というスタイルが話題となった AKB48 通算44枚目のシングル「翼はいらない」の制作秘話をはじめ、同氏が本格的制作業務を開始した当初から愛用しているという DAW ソフトウェア Cubase について、その魅力や活用方法などを赤裸々に語っていただきました。

自宅で幼少期に学んだピアノが音楽作りの原点

- 作曲に加え、数多くの楽曲に編曲家として参加されている若田部さんですが、その幅広い音楽的引き出しの多さはどこからきているのでしょうか?

はじめて音楽に触れたのは、自身でもあまり記憶がないですが、物心が着く前の2~3歳のころだったと思います。母がピアノの教師だったこともあり、生活の中でピアノや音楽が身近な存在でした。本人としては、気が付いたらピアノをやらされていた感じです…(笑)。当時は、毎日練習があり、中学くらいまではほぼクラシック音楽漬けの毎日でした。ですから、僕がポップス系の音楽に触れたのは皆さんより遅かったくらいだと思います。

- 幼いころからピアノを学ばれていたとのことですが、中学生になってからポップスやロックへとご自身の音楽的興味が移り変わっていったということですね?

はい、もちろん今でもクラシックは大好きですが、中学生になると周りの友達の影響などもあり、さまざまなジャンルの音楽を耳にするようになりました。実は、その頃に偶然耳にした YMO に衝撃をうけて、シンセサイザーや打ち込みサウンドなどにも興味を持つようになったんです。また、それと同時に吹奏楽部でトロンボーンを始めたことも、ピアノ一辺倒であった自分にとっての大きな転機の1つになりました。

- 1984年生まれの若田部さんが最初に影響を受けたアーティストが YMO というのは意外に思いますが、当時流行していた楽曲ではなくなぜ YMO だったのでしょうか?

これは、もう偶然としかいいようがないのですが、中学生になるころカセットを使った録音遊びがマイブームになってまして…。父親から、譲ってもらったカセットにたまたま入っていた YMO を聞いた瞬間、「なんだこれはー!!!」となったわけです(笑)。いや、本当にこれまでにない強い衝撃を受け、「これはぜひ自分でもやってみたい!」と、打ち込みを始める決心をしたという経緯があったりします。その後、流行の TK サウンドなどにハマり、高校入学祝いに買ってもらったヤマハのシンセサイザー EOS B2000 で、本格的に打ち込みを使った音楽制作を行うようになりました。

先進の機能をいち早く使うなら Cubase がベスト!

- EOS で打ち込みを始められた若田部さんが、PC ベースの制作環境へと移行することになったきっかけや時期などついて教えてください。

高校時代は、ずっと EOS B2000 のみで制作を行っており、内蔵のマルチシーケンサーとマルチティンバー音源を駆使しながら、独学で曲作りを行っていました。PC ベースの制作環境へと移行するのは、音大での授業で Cubase を触れたのがきっかけで、その便利さや拡張性に惹かれて大学在学中に、自分自身でも Cubase を導入しました。ちなみに、僕の記念すべきファースト・シンセサイザーである EOS B2000 は、今でも自分の部屋に大切に保管しています!

- 大学の授業で、DAW ソフトウェアを含めた音楽制作全般について学べる学科というのは非常に楽しそうですね! よければ大学のことなども教えていただけますか?

僕が学んだのは「日本大学藝術学部音楽学科情報音楽コース」という、コンピューターを利用した次世代の音楽制作を学べる、ちょっと変わった学科なんです(笑)。授業では、音楽に関する基礎的な知識はもとより、先端のエレクトロニクスを駆使した音楽制作手法や、演奏や音の解析、音響学、プログラミング、音楽ビジネスについてなど、多岐に渡る知識と貴重な経験を得ることができました。現在の僕のコアとなる部分の多くは、大学時代に培われたものといっても過言ではありません!

- 大学時代に初めて触れることになった DAW ソフトウェア Cubase について、その第一印象や、当時の想い出など覚えていらっしゃいますか?

個人的に初めて導入したのは、Cubase SX からですね。当時すでに VST プラグインが数多くリリースされており、そこに大きな魅力を感じていたので、VST などの先進的な機能を使うなら本家本元の Steinberg がベストだろう!と、Cubase を選びました。第一印象としては、見た目を含めプロフェッショナルが使うツールとして必要な多数の機能と、シンプルで直感的なインターフェースや操作性が、うまくまとまっているなと感じました。

- 若田部さんにとって、今では制作に欠かせない存在となってる Cubase ですが、ご自身が感じる Cubase の一番の魅力とはなんでしょう?

やはり、VST をはじめとした最新のテクノロジーをいち早く利用できる Cubase の先進性は、大きな魅力だと思います。また、多機能でありながら、シンプルですぐにクリエイターがしたいことを始められるように設計された優れたユーザーインターフェースも、メリットといえるのではないでしょうか。長年愛用していることもあって、個人的には Cubase が常に一番使いやすい DAW ソフトウェアなんです。他のソフトをいろいろ試してみるものの、結局は Cubase に戻ってきてしまいますね(笑)。

どこか懐かしく新たなノスタルジーを感じる楽曲に挑戦

- Cubase SX 時代からの長年のユーザーである若田部さんが、おすすめしたいお気に入りの機能や、よく使うテクニック、音源などがあれば教えてください。

最近は、PC が高性能になり1ソフト音源で1パートといった使われ方も多くなっていると思います。しかし、僕は Kontakt や SampleTank などのマルチパート対応音源を利用し、1つのソフト音源で複数パートを割り当てるような使い方をすることも多いです。そのほうが、PC への負荷が少ない、トラックやソフト音源が増え過ぎず管理しやすいなどのメリットがあります。また、各パートはパラアウト機能を使って、パート毎に出力すればサウンド処理に困ることもありません。ちなみに、ストリングスのパートは、よく AUDIOBRO の LA Scoring Strings を利用したりしています。

- 若田部さんは、大学を卒業してからは、すぐにプロとして音楽のお仕事を始められたのですか?

卒業後は、運良くプロのお仕事をお手伝いさせていただく機会に恵まれました。プロの現場では、まず幼いころから学んでいたクラシックとポップスの世界のギャップを現場で思い知らされました。実は、ポップスでは常識ともいえるコードなどの正確な概念や表記を理解したのは、プロのお仕事をお手伝いさせていただくようになってからだったというのは、ここだけの秘密にしておいてください(笑)。現在は、縁あって EPIC レコード ジャパン所属 ソニー・ミュージックパブリッシング専属作家として、幅広く活動させてもらっています。

- 若田部さんが手がけられた最近のお仕事では、AKB48 の「翼はいらない」、フレンチキスの「思い出せない花」など、ノスタルジックな曲調がとても印象的ですね。

「翼はいらない」「思い出せない花」などの楽曲では、古き良き懐メロなどでよく聴くことのできる2部形式(A-A'-B-A'')とよばれる楽曲構成を採用しています。現代の J-Pop によくある楽曲構成(A-B-C)の原点ともなった2部形式は、どこか懐かしくそれでいて我々の世代とっては、新たなノスタルジーとでもいうべき、独特の感覚がとても心地良く感じられます。そんな感覚をぜひリスナーの皆さんと共有できたら素敵だなとの想いから、もう一度 J-Pop の原点に立ち戻って、この楽曲構成を提案させていただきました。

- 最後に、読者の Cubase ユーザーの皆様へのメッセージと、今後のご自身の活動予定のお知らせなどありましたら、よろしくお願いいたします。

Cubase は、頭の中あるサウンドを具現化する DAW ソフトウェアとしてだけでなく、プロ・アマ問わずクリエイターの創造性をインスパイアし続けてくれる頼もしい相棒でもあります! ぜひ、皆さんも Cubase と共にモノ作りの楽しさを見つけていただければと思います。

6月22日に発売された前田敦子さんのファーストアルバムでは、「Flower」および「懐かしい初めて」(作編曲)、「やさしいサヨナラ」(編曲)にて参加させていただきました。「やさしいサヨナラ」はとても大人っぽい曲に仕上がっています! ぜひ多くの皆さんにお聴きいただければ幸いです。これからも、リスナーの皆様に、繰り返し何度でもお聴きいただける、末永く愛され続けるような楽曲を目標に、創作活動に邁進し続けます!

若田部誠

 

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー

EPIC レコード ジャパン所属 ソニー・ミュージックパブリッシング専属作家

1984年3月26日生まれ
静岡県浜松市出身

https://twitter.com/makotowakatabe
http://plaza.rakuten.co.jp/mwmusic/

リリース情報

AKB48 第44弾シングル「翼はいらない」

2016年6月1発売

6月18日に新潟で開催された第8回選抜総選挙を前にリリースされる AKB48 の 44th シングル。

http://www.akb48.co.jp
https://youtu.be/dm6pPru0Iog


前田敦子 5周年記念 1st アルバム「Selfish」

2016年6月22発売

アルバムにはシングル表題曲としてリリースされてきた『Flower』などに加え、CD の Type ごとに新曲が合計4曲収録。

http://www.atsuko-maeda.com
https://youtu.be/HwM3sqaLpfI