XFLAG は、「友達や家族とワイワイ楽しめる "アドレナリン全開" のバトルエンターテインメントを創出し続ける。」というミッションのもと、世界累計利用者数4,500万人を突破した『モンスターストライク』をはじめとしたゲーム、アニメ・映像コンテンツ、スポーツ、リアルイベントなど、各種エンターテインメントを手掛けるスタジオ。今回は、そんな XFLAG から同スタジオの音楽面を支えるサウンドクリエイターの「早坂 匠」氏と、「タニサトシ」氏にご登場いただき、これまでの音楽との関わり、現職に至るまでの経緯、両氏がサウンド制作に古くから愛用しているという Steinberg の DAW ソフトウェア Cubase の魅力、そしてその活用方法などについてお聞きしました。
幼少期からのゲーム音楽好きがこうじてプロの道へ
- XFLAG サウンドチームでの、お二人の現在のお仕事について教えてください。
【早坂】私は、サウンドチームの中でもクリエイターの部署に所属しており、ゲームはもちろんのこと、XFLAG が手掛ける映像やリアルイベントなど、そのすべての音楽制作や効果音制作にサウンド面で参加しています。楽曲の制作だけでなく、音声収録や編集、そして MA なども行います。また、チーム所属の多彩なクリエイター陣をまとめる役割も同時に担っています。音楽制作テクニックの記事や動画で有名な Sleepfreaks さんとのコラボレーションでは、XFLAG SOUND CREATORS の一人(たくみん)として、YouTube 動画にも出演しています。
【タニ】私は、サウンドプランニングの部署に所属していまして、スポーツや新規事業、リアルイベントなどの多岐にわたる事業に、サウンドのメンバーとして参加しています。実際に音を制作しつつ、サウンドディレクター的な役割を担っており、進行管理やクオリティ管理などの業務も担当しています。特に弊社の場合、事業領域が広いため、サウンドクリエイターと一言でいっても、さまざまな種類の業務や担当があります。音を作るだけが、サウンドクリエイターの仕事ではないのが実状だと思います。例えば、社内の YouTube 動画を担当するチームと共に、そこで使用する楽曲の方向性を議論したり、ミュージシャンをブッキングしたりといった広範囲の業務を行うのが我々の役目の一つです。
- お二人が、「XFLAG サウンドチーム」にてお仕事をされるまでの経緯についてお話いただけますか?
【早坂】幼い頃からピアノを習っていたのですが、次第にクラシックだけでなく、当時大好きだった映画音楽やゲーム音楽などを徹底的にコピーするようになり、自然と小学生の頃から自分で作曲もするようになりました。作曲や編曲の方法についても、好きな曲をコピーしているうちに、フレーズやパートの構成など学んでいった感じですね。中学生の頃には、ヤマハ W5 を使ってシンセサイザー内蔵のシーケンサーで楽曲制作していました。W5 は今でも自宅にあって大切にしています。当時は、ラジオの楽曲コンテストなどにもよく応募したりしましたし、大学時代にはバンドを組んだり、フレンチレストランでピアニストをしたり、先輩の紹介で携帯電話用ゲームのサウンド制作のアルバイトもしていました。大学卒業後は、そのアルバイト先であったゲーム制作会社に就職し、以来ずっとゲームやエンターテインメントを中心とした会社に身を置き現在に至ります。
【タニ】生まれた時から家にエレクトーンがあったのでそれを弾いて遊んだり、ピアノ教室にも少しだけ通っていました。でも、小学生のころには、すでに興味の中心はゲームになっており、将来の夢はゲームクリエイターになることでした。当然、ゲーム音楽も好きでした。高校入学祝いに、プログラミングを学ぶためのコンピューターを買ってもらったのですが、それを機に DTM にハマッてしまって、同時に鍵盤の練習も再開して、PC による音楽制作とキーボードプレイヤーの両軸で、音楽を本格的に取り組むようになりました。当時は、キース・エマーソン、ジョン・ロードなどのキーボードヒーローに憧れてバンドを掛け持ちしながら、演奏していましたね。早坂さんもそうですが、けっして音楽的にゲーム一辺倒というわけでなく、ポップ、ロック、ジャズ、フュージョン、ダンスなどさまざまな音楽ジャンルに触れたり、バンドで演奏した経験は、今でも自身に大きな影響を与えていると思います。その後、上京して音楽学校で音楽理論などを学びつつ、在学中から縁あって制作事務所でプロの現場のお仕事をさせていただくようになり、現在へと繋がるキャリアがスタートしました。5年に渡り、ライブのマニピュレーションや CD 制作などの様々な経験を積ませて頂いたあと、1年間のフリーランスを経て、元々ゲームが好きだった事もあり、ゲーム開発会社でゲームサウンドの業務に携わるようになりました。その後、ゲームサウンドに限らない、様々な経験も活かしたいという思いから、現職である XFLAG サウンドチームへ合流しました。
両氏も驚いた! 2人のクリエイターの意外な共通点とは?
- 早坂さんも、タニさんも、学生時代からシンセサイザーやコンピューターに興味をもたれていたようですが、当時は情報収集などをどのようになさっていたのですか?
【タニ】私は、コンピューターやプログラミングなど、もともとテクノロジーが好きなので、インターネットも比較的早い段階から使っていました。私が20代前半のときはインターネット創生期で、その頃ちょうど Cubase を使い始めました。まだ Cubase や VST プラグインのまとまった情報もなく、だったら自分で作ってしまおうと思い、Cubase の情報サイトとして「Cubase Magic!!」を作りました。そこで最新ニュースや VST プラグインのデータベースなどの情報発信をしつつ、他のユーザーと情報交換できるコミュニケーションの場を作り、自らも情報収集をしていました。テレホーダイや BBS と言う言葉が全盛の頃ですね。図らずもプログラミングの知識が役に立ちました。効率的に情報を集める術を学んだり、掲示板などでの交流で自然と知識を得る事ができました。
【早坂】えっ!? ちょっとまってください、もしかして "Cubase Magic!!" の中の人ってタニさんだったのですか?! まったくの初耳なのですが・・・。当時いつも見ていて、すごくお世話なりました。まさか、こんなところで "Cubase Magic!!" の管理人 sts さんに出会えるなんて、個人的には、衝撃的過ぎる事実発覚ですね(笑)。たしかに、当時はあまり情報収集の手段がなくて、限られたホームページや掲示板でのみプロ、アマ問わず盛んに意見交換がなされてましたよね。現在では、ウェブサイトだけでなく、SNS やブログなど多彩な情報収集の場があるので、音楽制作をされている皆さんは積極的にコミュニティに参加してみると新たな発見も多いと思います。
- お二人の驚きの共通点も判明したところで、Cubase を使い始めた時期や、きっかけ、第一印象などについてお聞かせください。
【タニ】先程すこし話にも出ましたが、私が Cubase を使いはじめたのは、制作事務所でお仕事をし始めてからで、きっかけは、同僚が Cubase を使い始めたのが一つと、電気グルーヴが好きで石野卓球さんが Cubase を使っていた影響もありますね。また、当時私のような若手が個人で購入できて、オーディオ録音や編集作業を安定的に行える環境は非常に限られており、Cubase はまさにほぼ唯一の選択肢といえる状況でした。Cubase の第一印象は、VST 技術などの恩恵により、従来はプロ向けのハイエンド環境でしか使えなかったレコーディングやミックス環境が、個人レベルでも実現可能な時代が来るぞと感じ、ワクワクしたのを覚えています。フリーの VST プラグインも次々とリリースされて、テンション上がりましたね(笑)!
【早坂】大学時代には、Mac で DAW ソフトウェアの基本を習熟する機会がありました。また、就職してからは、携帯アプリやコンテンツの制作を手掛けていた関係で、ヤマハの XG Works で業務を行っていました。そんな折、たまたま当時の出向先で目にしたのが、Cubase との最初の出会いです。先輩方がものすごい速度で、Cubase を操りながら作業していたのがとても印象的でしたね(笑)。それを見て、私も Cubase を導入しました。業務でも特にオーディオを扱う重要な案件で、Cubase を使うようになりました。まだ音楽なら Mac と言われていた時代でしたので、Cubase のような本格的な DAW ソフトウェアが Windows で動くのは、当時の私にとって非常に衝撃的でした。
Cubase はクリエイターのどんな要望にも迅速に応えてくれる
- お二人が感じる Cubase の魅力やメリットとはなんでしょうか? また、お気に入りの機能やおすすめプラグインなどございますか?
【タニ】個人的に Cubase で気に入っているのは、カスタマイズの自由度ですね。ショートカットの設定1つとっても自由自在で、自分の手によく馴染む道具となってくれます。ロジカルエディターやマクロ、VariAudio、マーカーを使ったオーディオの書き出しやインプレイスレンダリングなど、ワークフローにおいてクリエイターの負担を大幅に軽減してくれる機能が多数搭載されているのも大きな魅力ですね。最近では、映像を表示しながら作業を行うことも多いのですが、その際に複数のマーカートラックやルーラートラックを表示できる点も、非常に重宝しています。ちなみに効果音作りには、Retrologue が欠かせません。Retrologueは、シンセの基本を学ぶにも最適なのでおすすめです!
【早坂】昔からの愛着があるのはもちろんなのですが、MIDI で細かく打ち込みをするタイプなので、まずは Cubase の多彩な MIDI 編集が大きな魅力ですね。たとえば、ストリングスの打ち込みでは、「ベロシティ」、「エクスプレッション」、「モジュレーション」といった感じで、コントローラーレーンを同時に複数表示し、それらの兼ね合いを見ながらサウンドやフレーズを作り込んでいけるのが最高に便利です。クリエイターの様々な要望に迅速に応えてくれるので Cubase なら、なんとなく頭にある楽曲のアイディアもストレートに具現化できる気がしますね。「まずやってみよう」という気持ちにさせてくれます(笑)! また、Cubase は今日本でもユーザーがとても多いので、豊富な情報がリアルでもネットでも得やすいのは、何よりも大きなメリットといえると思います。私は、付属音源の HALion Sonic SE やリバーブプラグインの RoomWorks を愛用しています。プリセットも良くできているので、設定に迷ったら、まずプリセットから選んでみるというのを初心者の方にはおすすめします。
- 最後に、これから音楽制作に挑戦したいと考えている Cubase ユーザーの皆さんにメッセージやアドバイスをお願いいたします。
【タニ】Cubase は、プロフェッショナルなツールでありながら、音楽制作初心者にも最適なツールだと思います。MIDI やオーディオの基本を学べるだけでなく、コードやアレンジ、サウンドメイクについても、コードアシスタントをはじめとした各種サポート機能を使えば効率的に曲作りができるだけでなく、勉強にもなると思います。トラックプリセットなどは、どのようにプロフェッショナルがエフェクトを活用しているのかの一つの目安にもなりますし、それを自分の楽曲にも活かせます。初心者が最初につまずきがちなポイントも、数多くある Cubase を取り扱うサイトやブログを見たり、身近な Cubase ユーザーに聞いたり、SNS などを使ってコミュニケーションすることで、乗り越えられると思います。
【早坂】Cubase なら、音源やエフェクトなど1つのソフトウェアで音楽制作に必要なものすべてが揃います。まずは、Cubase を徹底的に使いこなすことから始めてみてはいかがでしょうか。最高のオモチャ (Cubase) を使い倒すことで、皆さんが楽曲に込めた想いもシンプルに伝わりやすくなると思いますし、自ずと自分に足りない要素なども見えてくるはずです。
XFLAG スタジオ
エンターテインメント事業のさらなる発展を図るため、2015年8月、株式会社ミクシィ内に XFLAG™ スタジオを設立。XFLAG スタジオでは、"ケタハズレな冒険を。" をスローガンとして、「モンスターストライク」や「ファイトリーグ」を提供するほか、"アドレナリン全開" の、ドキドキワクワクするゲームや映像コンテンツを世界に向けて発信。
モンスターストライク
スマートフォンの特性を活用した、誰でも簡単に楽しめる爽快アクション RPG。自分のモンスターを指で引っぱって弾き敵のモンスターに当てて倒していくターン制のゲームで、壁やモンスターへの "跳ね返り" や "ぶつかり" を上手く活用することで、クエストを攻略。一緒にいる友だちと最大4人まで同時に遊べる協力プレイ(マルチプレイ)が特徴。2013年10月の提供開始より多くのユーザーに利用され、2018年3月時点では世界累計利用者数が4,500万人を突破。