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研ぎ澄まされた感性とその唯一無二のギタースタイルとトーンで、日本はもちろん、世界からも常に注目され続けているギタリスト・ichika さん。ギターバージョンとベースバージョンを2枚同時リリースという驚異のセカンドEP「she waits patiently (Guitar ver.)」、「he never fades (Bass ver.)」は、アメリカなど海外のインストチャートで1位を獲得、さらに海外のトラックメーカー/プロデューサーからのオファーも多く、常に視点はワールドワイド。そんな ichika さんの早熟な音楽との出会いから独自の音楽への歩み、そして Cubase との出会い、曲作り/音作りへの思いを語っていただきました。

- 音楽を始めたきっかけを教えてください。

ichika:家に電子ピアノがあって、それを弾いたのが始まりでした。ただ、クラシックピアノを弾いていたのではなく、ジャズでした。3歳くらいのときにビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」を聞いて感動して、ピアノの音を拾う、というようなことをやっていました。

- 3歳でビル・エヴァンスというのもかなり早熟ですね。

ichika:よくわからないですが、なにかピンと来たのだと思います。楽譜もなかったので、耳コピで同じ音になるように夢中で弾いていたみたいですね。

- そこからギターで今のようなスタイルになったのでしょうか。

ichika:いえ、やはりいちどロックの方向に行きました。父の持っていた古いハードロック系の CD を聞いていましたね。周りでは誰もそんなの聞いてないので、話が合わなかったですが(笑)。そこからプログレ、そしていわゆる実験的な「エクスペリメンタル・メタル」の方向へ行ったんですが、その手のメタル系のギタリストってすごくテクニカルなことをやっていて、そこでギターの持つポテンシャルというか、自分ならではの音、奏法を追求していくようになったんです。

- お手本のような存在があったのでしょうか。

ichika:ありましたけど、それはギターではなくてピアノでしたね。左手でベースとコード、右手でメロディというスタイルは、むしろピアノから来ているんです。

- どのように今のスタイルを確立したのでしょうか。

ichika:ソロギターという形になって、一般の人達が耳を傾けてくれる曲にするにはどうしたらいいか、ということを研究しているうちに、携帯電話のカメラで演奏を動画で撮影しておいて、あとで客観的に聞く、ということを始めたんです。それで、もっと良い音で録音したいし、編集もできたらいいな、というときに調べてみたら、家にパソコンはあるので、あとはオーディオインターフェースを買えばいい、ということになって、しかも DAW が付いている、ということで Steinberg の UR22 を買ったんです。

- それまでに DAW を使ったことはあったのでしょうか。

ichika:いえ、そのときが初めてだったんです。なので僕のファースト DAW は、UR22 に付属していた Cubase AI なんです。

- 使ってみていかがでしたか。

ichika:携帯カメラの動画を撮るだけだったのに比べると、あまりにいろいろな機能が多くて最初は戸惑いましたね。なんでもできちゃう(笑)。ただ、僕はバンドサウンドではなく、ギターソロという形態なので、1トラックだけ使えればなんとかなるので、すぐに使いこなせるようになりました。

- ichika さんの独特のトーンを作るために、なにかプラグインを使っているのでしょうか。

ichika:それなりにいろいろなサウンドシステムを使っていますが、それはオーディオインターフェースに入力される前の段階ですでにできあがっているので、プラグインの影響は少ないと思います。ただ、最近わかったんですが、一般的なアンプにつないでもオリジナルのサウンドが出るようになってきたんです。なので、自分のトーンは機材とかプラグインではなく、自分の両手から出るものだ、ということなんですよ。ただ、補正的にはプラグインはかなり使っていますね。

- たとえば、どんなものを使っていますか。

ichika:Cubase のトラックにデフォルトでアサインされている EQ も相当使いやすいです。それから DJ-EQ はかかり方とか帯域の設定が絶妙でよく使います。それから VSTDynamics、これはゲートとコンプとリミッターがセットになっているので、いろいろな場面で使います。それからあとは空間系で MonoDelay も使いますね。

- 見事に Cubase 付属のプラグインばかりですね(笑)。

ichika:なにせ、Cubase が初めての DAW で、「プラグイン」というものも初めて使ったので、もう使い方が馴染んでいるので手放せないですね。実は最初、ゲートとコンプ、リミッターの違いもよくわからなかったんですが、付属の VSTDynamics で覚えたというか、プリセットのパラメーターを見て理解していったんですね。だいぶ勉強になりました(笑)。

- 曲作りの流れを教えてください。

ichika:まず頭の中にあるイメージ、これは図式みたいなものがありまして、その中のパーツみたいなものをひとつずつ持ってきてはギターでそれを表します。たとえば、フレーズだったりコードの響きだったり、もっと漠然としたものであったりします。その断片のようなものをどんどん Cubase に録音しておいて、自分の曲として構築していく感じですね。

- Cubase の中で編集のようなことはするのでしょうか。

ichika:編集というよりも、イメージを発展させるために、いろいろやりますね。たとえば、いちど録音したフレーズのテンポを速くしたり遅くしたりとか、逆再生させてみたり、あるいはフレーズの中の1拍だけをループして再生すると、すごいスピードで再生されるので、そこで変わった雰囲気を作る、とかですね。そこから触発されてまた構成を作り直すような感じで1曲にします。僕は、本当に基本的な音楽理論しか知らないんですが、僕がこれまで培ってきた「曲を完成させるための理論」というのがあって、それに沿って作っていくんです。

- そうやってできた曲をどのように録音しますか。

ichika:できあがったらギター1本ですべて完結するよう、あとはひたすら練習します。

- ダビングやパンチイン/アウトなどはしないのでしょうか。

ichika:基本的には一発録りです。それが僕のスタイルですからね。必ず1曲を通して弾けるようにしてから録ります。なので、録音できるようになるまですごく時間がかかることもあります。

- リズムトラックなどがある曲では、パターンはどのように作っているのでしょうか。

ichika:普通はドラムのインストゥルメントとか、ループとかを使うのでしょうけど、僕は海外のプロデューサーが送ってくれたキックとかスネアのワンショットのサンプルを、それぞれオーディオトラックに貼り付けていってリズムを作っているんです。このやり方の方が僕に合っているんですよね。なので、僕の曲では全然インストゥルメントは使わないですね。強いて言えば、以前ボーカルの人とコラボやったときに、仮のメロディを入れたときくらいです。

- ichika さんは、国内外の有名アーティストの方々とコラボをたくさんやっていらっしゃいますが、データのやりとりはどのようにしていますか。

ichika:できあがったデータを wav データに書き出して送っています。海外のトラックメーカーの人達って、同じコード進行で前半2小節は忙しい感じで音数を多く、後半2小節を音を伸ばして音数を少なく、というような指示が来るんです。それで録ってそのデータを送ると、「え?これ自分が弾いたデータ?」というくらいエディットされて、曲の中に入れられるんですよ(笑)。予想しない使われ方というのもコラボの楽しみですよね。

- Cubase はどんなところがお勧めなのでしょうか。

ichika:とにかくユーザーインターフェースがわかりやすいところですね。トラックがあってミキサーがあって、波形が表示されてエディットして、というのが直感的に理解できるんですよ。友人が他の DAW 使っていて、ちょっと使わせてもらうこともあるんですが、やっぱり Cubase がいいな、って思いますね。あと、自分もそうでしたけど「プラグインってそもそも何?」というような人でもすぐにわかりますし、それこそプロのアーティストは Cubase で作った作品そのままリリースしていますから、初心者からプロまでどの人でもしっかりと作品作りができる、ということですよね。もちろん、僕もずっと Cubase を使い続けるつもりです。

ichika - プロフィール

クリスタルのようなサウンドと研ぎ澄まされた感性で、日本のみならず海外からも高い注目を集める新たなギタリスト ichika。

タイムラインの流れが急峻な Instagram において、彼の投稿する動画の多くが10万再生を超え、ギタリストにも関わらずフォロワーが25万人を超えるなど世界に衝撃を与え続けている。

フレットボードを駆け巡る彼の独創的な奇跡のテクニックによって、想像力を掻き立て感情を揺さぶる瑞々しい楽曲の数々が芽吹いてきた。

経歴:1st EP ”forn” が iTunes Store アルバム総合チャート10位にランクイン。また同 EP が Amazon デジタルミュージック、Bandcamp 総合3位にランクイン。

Guitar ver. / Bass ver. の2枚同時リリースした 2nd EP はアメリカ、ロシアでインスト部門第1位を獲得。

2018年には自身のインストバンド ichikoro を川谷絵音らと結成し、精力的に活動中。