Steinberg Media Technologies GmbH

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「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」「BLEACH Brave Souls」などの大人気モバイルオンラインゲームを中心に、国内外に数多くのコンテンツを提供している KLab 株式会社。精鋭クリエイターが集結した同社サウンドチームでは、制作システムの中心的存在として DAW ソフトウェア Steinberg Nuendo が採用されています。今回は、多忙を極める中で KLab サウンドチーム総勢8名の皆様にお集まりいただき、近年のモバイルゲーム業界において、ますます重要性を増すサウンド制作のクオリティーとワークフローについて、実際の Nuendo の活用法を交えながら、座談会形式でお話ししていただきました。

音楽大好き人間が集う笑顔の絶えない KLab サウンドチーム

- 本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。まずは、KLab サウンドチームの皆さんから、簡単な自己紹介をお願いいたします。

KLab サウンドチームでグループマネージャーを務めている宮内と申します。主な担当業務は、部内全体の作業状況や内容の把握、取りまとめなどを行っており、マネージメントをメインに社内上層部とのパイプ役としても活動しています。最近では、自分も手を動かしてバリバリ制作せざるを得ない状況だったりもしています(笑)。

KLab サウンドチーム、グループリーダーの磯田です。宮内さんのサポートをしつつ、チームのリソース調整をしたり、新規開発におけるサウンド関連の初期設計を行ったり、広報活動をしたり、BGM 制作や収録を行ったり、時には他のクリエイティブチームの進行管理も行ったり、なんでも屋さんみたいな仕事をしています。

岡田です。いや、私にはお二人のような肩書きがないので。(「自分で肩書き好きにつけていいよー浪速のオンナとか?」と、磯田さんから無茶ぶりされ)えぇっ! 浪速のオンナってなんかダサくないですか? まぁ、岡田です(笑)。業務としては、「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」や「BLEACH Brave Souls」などで BGM などを担当させてもらっています。音ゲーの譜面制作や BGM 作りなどがメインです。

市川と申します。直近ですと「うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live」の SE の制作、実装、ディレクションなどを担当しています。また、他の案件でも忙しいパートあれば、随時ヘルプに回ったりもしています。あれ、なんかすごく私だけ真面目な感じですね(笑)。

標葉(しねは)です。「BLEACH Brave Souls」の サウンドディレクターとして SE 制作や MA、BGM を担当しており、さらに Wwise を活用した実装も行っています。BGM については、都度イメージに合いそうなメンバーに作曲を依頼する事がほとんどですが(笑)、また、「テイルズオブアスタリア」でもサウンドディレクションをメインに技術的サポートを行っています。

どうも、阿部と申します(なぜか一同が爆笑)。業務的には、特定の案件に紐付いているわけではありませんが、「BLEACH Brave Souls」「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」「テイルズ オブ アスタリア」などの作品で、主に BGM の作曲を担当しています。それから、PC ソフトの選定や導入などを含む、チーム内の制作環境整備についても業務として取り組んでいます。

「テイルズ オブ アスタリア」の BGM や SE の制作をメインに担当している直江と申します。また、「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」では、効果音の制作を行っています。昨年新卒で KLab に入社しまして、現在は在籍2年目でさまざま案件に参加させていただき、日々勉強させてもらっているところです。

はい、塙(はなわ)といいます。自己紹介パートの最後でハードルがなんか上がっている気がするのですが、気の利いたコメントはなしで。担当案件は「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」で、PV の MA を中心に関わりました。また、サウンドチーム内のギタリストとして、他の方からギター演奏を頼まれる機会も多いです。よろしくお願いいたします。

- KLab サウンドチームの皆さんは、どのような経緯で現在のゲームミュージックやゲームサウンドの制作に携わるようになったのでしょうか?

【宮内】僕らも改めて自分たちの経歴などを、スタッフ間で話し合う機会は少ないので非常に新鮮なのですが、チームメンバーは皆なんらかの形で幼少期や学生時代から音楽に触れたり、学んだりしてきた音楽好きの集まりですね。

【磯田】この中でゲーム関連の専門学校に通っていたのは僕と宮内さん、直江さん。あと、岡田さんは音楽の専門学校出身だし、残りのメンバーは音楽大学の出身って感じかな。ちなみに、皆はどんな経緯でゲーム音楽に関わるようになったの?

【阿部】僕は、この前のインタビューでもお話したのですが、小学生の頃にやっていたゲームプログラミングが原点で、その後は大学で音楽について学んで、最終的に職業として個人的にも大好きなゲームの世界を選んだといった感じですね。

【標葉】私は、幼少期からサックスプレイヤーになりたくて、大学までサックスを続けていたのですが、その大学時代の必修科目として DTM に触れたのがキッカケです。DTM をやり出すと、それが楽しくてハマってしまいました。同時に MA などにも興味があり、私の中ではその延長戦上にあったのがゲーム音楽制作だったんです。

【宮内】僕は、中学生のころからバンドを中心に活動していたのですが、なぜかゲームの専門学校でプログラムを学ぶことを選んだんです。しかし、最初の「printf」で見事に挫折しまして(笑)。在学中に課外授業として触れた DTM をきっかけに、音楽作りの楽しさに改めて目覚め紆余曲折を経て現在に至ります。今振り返ると学校でゲーム作りなどを学ぶにあたっては、自分が何をしたいか、自分が何をするかが、とても重要だと感じています。

【直江】僕は、もともとゲーム音楽のお仕事がしたくて専門学校に通っていました。うーん、これを言ってしまって良いのかな(笑)? 実は、専門学校時代に磯田さんが講師をされていた Wwise のセミナーに参加しまして、そこで見た磯田さんに憧れを抱いたことも、KLab への大きな志望動機の1つだったんです。大好きなゲーム音楽に携われて、さらにモバイルコンテンツ制作の最先端も体験させてもらえる KLab に入社して、本当に良かったと思います。

【磯田】えっ!そうなの?それは、僕も初耳だな…(笑)。

(「うわぁー磯田さん、めちゃめちゃ嬉しそう。いい話だなぁ! でも、いい話過ぎるから全部カットしておいてくださいね」と、スタッフ一同から総ツッコミをくらう磯田さん。なんとか仕切り直してから)

このように、チームメンバーの出自はさまざまですが、最終的にはチームの誰もがゲーム音楽が大好きで、自分達自身も楽しんで音楽を作っています。その楽しさや喜びがユーザーの皆さんにも伝わり、ゲームと共に BGM やサウンドも心から楽しんでいただければ嬉しいです。

- 皆さんとても仲が良く、今回の座談会でも冒頭から笑顔が絶えない KLab サウンドチームですが、こういった雰囲気は自然とチーム内で培われたものなのですか?

【磯田】特別な施策を講じているわけではありませんが、KLab サウンドチームは仕事以外の日常会話も多く自然と打ち解け合っており、チームとして一つの主観を持ち同じベクトルで制作を行えているのが大きいと思います。

【宮内】僕は主にチーム全体のマネージメントを担当しているわけですが、それぞれが皆、素晴らしいクリエイターの方々ばかりですので、個人的にもスタッフ一人一人を尊敬、尊重しています。いつも期待以上の仕事で応えてくれるチームメンバーに感謝しています。

【岡田】クリエイターの個人プレイになりがちなゲームミュージックやゲームサウンドの制作においても、チーム全体で円滑に作業を進行していく上で、クリエイター間の綿密なコミュニケーションは絶対に欠かせないと思います。

【塙】たしかに、実際にサウンド制作を行っているときは、皆がヘッドホンをかけパソコンに向かって黙々と作業することも多いのですが、クリエイションの過程で共有すべきことはしっかり共有していくことも重要ですからね。

【阿部】サウンドの制作や修正などの作業を共同で行うこともあるのですが、こういったシーンではチーム内の DAW ソフトウェアが Nuendo に統一されていることで、プロジェクトファイルのまま、誰とでも気軽にデータを共有できるので、以前と比較し圧倒的に意思疎通や共同作業が効率化しました。

【直江】僕は、まだ KLab サウンドチームに入って2年目ということもあり、チームの諸先輩方から色々とアドバイスや、Nuendo の使い方など気さくに教えていただくことも多く、そういった面でも非常に心強いです。

Game Audio Connect がサウンドクリエイターの領域をさらに広げる

- KLab サウンドチームにて、Nuendo が採用された時期や経緯について改めてお教えください。

【阿部】KLab サウンドチームが、Wwise との連携による作業の効率化やデータフォーマットの統一などを目的として、Nuendo 7 を採用したのが2016年の初頭です。以前から新しいシステムの導入を検討していたのですが、すでに弊社で利用していた Wwise との連携機能「Game Audio Connect」が搭載されたことが採用の大きな決め手となりました。また、同時に「NEK」(Nuendo Expansion Kit)も導入しましたので、僕自身を含めて以前から Cubase をメインの DAW ソフトウェアとして利用していたクリエイターの多くはまったく違和感なくシステムを移行することができました。Nuendo 8 では、遂に NEK も Nuendo に統合されると聞いていますので、これで多くの Cubase ユーザーの方が、安心して Nuendo でも作業できるようになりますね。

- Nuendo 7 がサウンドチームに導入、統一されるようになったことで皆さんが実際に感じられた魅力やメリットとは何でしょうか?

【磯田】先程も少し話題に上がりましたが、DAW やプラグインなどの制作環境がスタッフ間で統一され、作業中のプロジェクトの共有などの手間を格段に低減することができました。わずかな時間短縮でも完成までの一連のワークフローを通して考えると、それは大きなアドバンテージとなっています。

【市川】「ちょっとこの MA だけ手伝って欲しい」など、他のメンバーにスポットで作業を頼んだりすることもあるのですが、従来だとデータをすべて書き出してから作業をしてもらって、さらにそのデータを変換して自分のデータに貼り付け直すというような手間が必要だったので、今となってはもう以前の環境には戻れないですね(笑)。

【標葉】Game Audio Connect 機能が搭載された Nuendo 7 では、Audiokinetic 社のオーディオミドルウェア「Wwise」とのシームレスな連携が実現されており、従来はプログラマの領域であったサウンドのゲームへの実装や微調整なども、サウンドクリエイター側でより詳細にコントロールが可能になった点は、非常に大きなメリットです。おかげで、サウンドクリエイターとして責任は増しましたが、その分私達が活動できる領域も格段に広がりました。

- Nuendo 7 で、皆さんがよく使う機能やオススメしたい使い方などあればぜひ教えてください。

【宮内】例えば「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」では、同じ必殺技を違うキャラクターが使うシーンが多々あり、キャラクターと効果音、発動タイミングの関係性がとても複雑になりがちなのですが、Game Audio Connect 機能のおかげで、ドラッグ&ドロップといったシンプルな操作だけでサウンドの調整が行えるので非常に快適です。また、サウンドの差し替えやデバッグを含む一連のワークフローを効率化できるだけでなく、ケアレスミスも大幅に減らせます。ゲーム運用やアップデートの際にも最適であり、すでに手放せない機能となっています。

【市川】Nuendo には、充実した多数の音源があらかじめ付属しているのですが、なかでも「Prologue」、「Padshop」、「HALion Sonic SE」などを頻繁に使用しています。Prologue は太くなりすぎない風切り音を作る際に欠かせませんし、Padshop をリアル系の音源に混ぜ込めばサウンドの立体感を簡単に増すことができます。さらに、HALion Sonic SE はマルチパートを一つの音源の中で扱えるので、いくつかの音をレイヤーして複雑な音作りをしたい場合に最適です。

【岡田】Nuendo では、オーディオデータだけでなく、実は MIDI データについても、ピアノロールやリスト表示など入力 / 編集がしやすい点が気に入っています。音ゲーの譜面制作については、基本的に MIDI データを使用して行うので、MIDI の入力 / 編集機能が優れており、扱いやすいことも重要なポイントなんです。

【標葉】ゲーム内の音楽だけでなく、PV の MA を行うことも多いのですが、Nuendo ではステレオのみならず、多種多様なサラウンドフォーマットにもネイティブ対応しているのが素晴らしいです。また、現代の放送用コンテンツでは必須となるラウドネス管理についても、サードパーティー製プラグインを追加することなく、リアルタイムでラウドネス値を計測できるラウドネストラックや、指定した部分をレンダリングしてラウドネス値の計測が可能なオフライン計測機能が利用でき非常に便利ですね。

【塙】この前、MA の作業をしていて便利だったのが、ムービーを2トラック同時に扱えるところ。一部バージョン違いのムービーに音付けするというのが、よくあるシチュエーションなのですが、そんな時にも表示するムービーを随時切替えながら MA を行えるのでとても重宝しました。また、ビデオのオーディオを任意のものに、Nuendo 上で入れ替える機能もよく使用しています。

Nuendo は KLab のゲームサウンドに欠かせない大きな存在

- 今回の座談会を通して、KLab サウンドチームのお仕事内容や雰囲気、皆さんの人柄などがよく伝わってきました。最後に、これからゲームサウンド制作の現場を目指す若きクリエイターにアドバイスと、読者の皆様へメッセージをお願いいたします。

【市川】ゲーム作りの最終工程に近いゲーム音楽の制作は、完成直前のゲームに自分自身で命を吹き込むことができることも、大きな醍醐味の1つだと思います。ストーリー、ビジュアルなどがほぼ完成された状態で、サウンド制作を行うことも多いので、誰よりも早くゲームの全貌を感じながら、さらにゲームの世界感を磨き上げられることは、他では味わうことのできないゲームサウンドクリエイターならではの喜びです。弊社は、モバイル系の会社としては珍しく、サウンドスタッフの新卒採用も行っていますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。

【磯田】我々、KLab サウンドチームは、Nuendo や Wwise といった最新のテクノロジーやソフトウェアを積極的に導入することで、従来と比較し圧倒的に効率的かつ正確なサウンド制作ワークフローを実現し、クリエイターがクリエイティブにより集中できる環境を構築することができました。日進月歩のゲーム業界において、今後はサウンド面でも 3D サラウンド、バイノーラル、AR / VR への最適化など数多くの課題が想定される中で、Nuendo を中心としたゲーム音楽制作システムは、KLab サウンドチームにとって欠かすことのできない強力なパートナーとして、ますます大きな存在となっていくと思います。

【宮内】近年の急速なモバイルゲームのハイクオリティ化にともない、サウンドにも本気で取り組んでいこうという意思のもと誕生したのが、この KLab サウンドチームです。我々は単にサウンドを作るだけでなく、ゲームを作っていることを常に意識しながら、より良質なエンタテインメントをユーザーの方々にお届けできるよう探求を続けていきたいと考えています。ゲームをプレイする際には、ぜひイヤホンやヘッドホンを装着していただき、そのサウンドにも注目し楽しんでいただければ幸いです。