Steinberg Media Technologies GmbH

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「自分たちの作りたい音楽を、高音質で届けたい」という思いを実現するために始まったハイレゾ音楽制作ユニット「BEAGLE KICK」は、作曲、編曲、エンジニアリングを担当する和田貴史氏と、プロデュース、ディレクション補佐、広報担当の橋爪徹氏の二人からなるユニット。いち早く AXR4 を入手してくださり、実際にレコーディングに使用していただき、ミックスが終わった、というタイミングで和田氏の主催する「Dimension Cruise」のスタジオにお邪魔し、お話を聞かせていただきました。

- 今回 AXR4 を導入した理由をお聞かせください。

橋爪:僕らは常に、良い音楽作りの環境を求めていまして、それにはやはりハイビットでの制作が欠かせないわけです。実は以前、32ビット環境で制作していざ発表しようと思ったら、その環境での中身は実は24ビットで処理していたことがわかって、どうしても心残りがあったのです。

和田:そんなところに、AXR4 が発表されて、やったー! という感じですぐに予約しましたね。今度こそ本物の32ビット整数だ! と(笑)。

- そして今回 AXR4 を使って制作されたわけですが、その詳細を教えてください。

和田:今回は 32ビット / 384kHz でレコーディングとミックスをする、というのがそもそもの命題でしたが、DAW もそのフォーマットに合わせて Steinberg の Nuendo も新たに導入しました。

橋爪:さっき見たら全部で150トラックくらいありましたね。しかもあまり新しくない MacBook Pro でもきちんと動くのだから、Nuendo はすごく動作が軽い DAW なんだと思いました。

和田:あまりにサクサク動くので、途中何度も二人で「ちゃんと32ビット、384kHz で動作しているか?」と確認するほどでした(笑)。

- 実際に AXR4 を使って32ビット整数で録音してみてどのように感じましたか。

橋爪:僕が感じたのは「空間の広さ」というところですね。特に奥行きの深さは顕著で、音場に余裕がある、という印象です。

和田:普段、24ビットでレコーディングしてミックスをやっていると、だんだん「詰め込む」という感じが多くなってきて、やがて限界に達するんですが、32ビット環境ではまったくそういう限界を意識しないで済むんです。初めのうちは、こんなに音を入れていって大丈夫なのかな、と恐る恐る音を足していったのですが、そのうち慣れてきて「今までとは違う、何かを超えた世界なんだ」とわかってからは、もうレコーディングもミックスも大胆に音を入れていくことができるようになりました。

- 24ビットと32ビットの環境での作業の違いを教えてください。

和田:たとえば、録りのとき24ビットだと、コンプと EQ をかけて「音を整えてから」トラックに入れます。でも、32ビットだと何もしないでもいい、というか「余計な処理をしたくない」という感じなんです。24ビットでは、録っていくうち、ミックスを進めているうちに起こるであろう問題を想定しているので、あれこれと処理をする習慣がついているのですが、32ビットでは音を重ねていっても、音が潰れたりレベルが小さ過ぎて埋もれたり、というようなことが起きないので、特別なエフェクト処理をせず素のまま録っていくことが気持ちよくなるんです。

橋爪:24ビットのときに、音に問題が起きると「ああ、まあしょうがないよな」という感じであきらめていたんですが、32ビットではまったくそういう瞬間はなかったですね。

和田:そう言えば、今回の曲に参加したサックスプレーヤーが言っていましたけど、モニターの返しの音がいつもと違う、って。自分の表現がストレートに音として返ってきて、演奏していてとても気持ち良い、と。もちろん、録った音も満足していましたよ。恐らく自分自身を表現できる優れたプレーヤーほどそう感じると思います。

橋爪:それから分離もすごく良くなっていましたね。今回の曲だとコーラスの小さな部分でもしっかり音が出ていました。音量変化がリアルで生々しいですよね。

和田:良質のアナログの音に近い、というか、どんどん解像度が上がってくると音と音との間が滑らかになって、それは実のところアナログサウンドになっていくんだろうな、ということに気付きました。

橋爪:音の粒立ちがすごく細かいんですよ。なので強弱、抑揚などプレーヤーがいちばんこだわるところにそれが表れるんだと思います。

和田:トラックごとに 32ビット / 384kHz の情報量があるわけですから、音の情報量がすごく多いんです。逆に、これまではせっかくプレーヤーが出していたその表現を、自分たちが録りきってあげられていなかったのは申し訳なく思いましたね。

- 今後、AXR4 をどのように使ってみたいですか。

和田:今回は 384kHz のフォーマットで録る、というこだわりがあったのでプリアンプに内蔵されている SILK をあえて使わなかったんですが、ぜひ4つのプリアンプの SILK を使ってドラムとか、弦楽をマルチで録音してみたいですね。

橋爪:外部プリアンプを併用すれば合計12チャンネルまで同時録音できて、さらに最大で3台まで同時に使えるとのことなので、これまで僕らがあれこれと機材を組み合わせ苦労してやってきたことが、簡単にできそうなのでいろいろと試してみたいです。

- AXR4 の登場によって、今後ハイレゾを含めた音楽界はどのようになっていくでしょう。

橋爪:これをきっかけに制作する側が、32ビット整数の音に目覚めてほしいですね。とにかくコンテンツがないと新しいフォーマットというものは広まらないので、まず自分たちが作りました。これからいろいろな制作場面で AXR4 を導入してもらって、ぜひこの32ビット整数の世界を広めてほしいです。

和田:32ビットに関しては、今回の制作で間違いなく音が良くなることがわかったので、1つの目標は達せられました。そして、今回制作した本当の32ビット環境で制作された音は配信で聞けるので、リスナーの方にも「新しい32ビットの世界」を感じてほしいです。

SUPER GENOME

AXR4T

32ビット整数、384 kHz サンプリングレートでの録音再生という新次元の音質に到達した、Steinberg のフラッグシップオーディオインターフェース。
RND SILK エミュレーションによる音楽的なサチュレーションと、限りなくクリーンな音色を選択できる、ハイブリッドマイクプリアンプを4基搭載。

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