Steinberg Media Technologies GmbH

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DSP 搭載オーディオインターフェースの有用性

DSP とはデジタル信号の処理に特化したプロセッサーの事で、レコーディングやミックスなど、サウンドの処理をする際に重宝されています。PC 内部の CPU ではなく、オーディオインターフェースに内蔵されたこの DSP を使用する事で、PC への負担をかなり抑えられます。特にレコーディング時にモニター用のエフェクトをかけたい時や、いわゆるかけ録りを行う時など、DSP を使用する事でのアドバンテージは多岐に渡ります。そのあたりを詳しく解説していきましょう。

レイテンシー問題から解放される DSP パワー

DAW を使った PC ベースでのレコーディング時には、楽器を弾いたタイミングと実際に音が出るタイミングの時間差 = レイテンシーはどうしても生じてしまうものです。これは一度 PC 内部での処理を行う上で避けられない事。加えてプロジェクトのトラック数が多くなり CPU パワーを多く消費している時には、バッファーサイズを大きく取らなければならず、連動してレイテンシーも大きくなっていきます。 こういった時にオーディオインターフェースに内蔵された DSP を使用する事で、PC への負担やバッファーサイズの大小を気にすることなく、感覚上レイテンシーフリーでコンプや EQ、リバーブなどを使った音をレコーディングすることが出来ます。

使用したエフェクトについて

動画では DSP によるコンプレッサーとイコライザー、そしてモニター用途にリバーブを使用しました。基本となるサウンドはギタープロセッサーで作成して、オーディオインターフェースに入力しています。基本のサウンドに DSP エフェクトを適用させ、整えたり奥行きを加えたりしています。もちろんレイテンシーフリーなので演奏上のストレスを感じることもありません。

かけ録りでの使用法

レコーディング時に必須のエフェクトと言えば、音量を整えるコンプレッサーと音質を整えるイコライザーが挙げられます。たとえばプロのレコーディングでは、ギタープロセッサーで良い感じのサウンドが出せたとして、その音を「素の素材」として考え、実際レコーディングするにあたりイコライザーで不要な超低域をカットしたり、コンプレッサーでダイナミックレンジを整える事で、レコーディングに最適化した音作りを行うものです。

このあたり、これまではレコーディングエンジニアの領域だったりしたのですが、今では自宅スタジオなどでセルフレコーディングすることは極めて一般的ですので、演奏者がある程度エンジニア的技術を知ることも必須と言えるのではないでしょうか。UR-RT4 に搭載されたイコライザーとコンプレッサーをツマミ一つで連動的に動かせる機能は、専門知識がなくても良いサウンドを見つける手助けをしてくれます。

リバーブはモニターのみ

DSP を使うことでモニター用にリバーブをかけることも出来ますが、リバーブやディレイなどの "空間系" と呼ばれるエフェクトをかけ録りする事はあまりありません。 リバーブまでかけ録りしてしまうと、レコーディング後にリバーブを増やしたり減らしたりすることが困難になり、例えば楽曲の方向性をドライな方向にしたくても、リバーブをかけ録りしてしまったギターの音はウェット過ぎて楽曲の方向にそぐわないといった事が起きてしまうのです。 こういった理由からリバーブをかけ録りをする事はほとんどありません。

モニターでのリバーブが必要な理由

リバーブをかけ録りしないからといって、レコーディングする時に全く素っぴんの音をモニターしながらではテンションが上がり難いものです。特にボーカルのレコーディングではモニター音にリバーブをかける事は必須とも言えます(もちろん個人差はあります)。 これは録り音云々に関係なく、良いパフォーマンスを収録するには、演奏者や歌唱者が気持ち良く実演出来るモニター環境が極めて大事という事です。そして気持ち良く歌ったり演奏出来るモニター環境はそのまま良いテイクに繋がるものです。

UR-RT4で解決

DSP 搭載の UR-RT4 を使えば、レコーディング時にストレスとなるレイテンシーを感じる事なくエフェクトをかけられますし、気持ち良いモニター環境を簡単に作る事が可能です。もちろん高価なビンテージ機材の質感は魅力的ですが、気持ち良いモニター環境がインターフェース単体で簡単に作れることは大きなアドバンテージと言えるでしょう。 このように多くの魅力がある DSP 搭載オーディオインターフェースの使用を、オススメいたします。

このページで紹介する DSP 機能は、下記のオーディオインターフェースに搭載されています。

UR シリーズ: UR242 / UR44 / UR28M / UR824

UR-RT シリーズ: UR-RT2 / UR-RT4

鈴木 健治 - ギタリスト / ギターサウンドデザイナー

Line 6 Japan の公式サイトにて、「鈴木健治のギターレコーディングマスタークラス」連載。マルチエフェクターのファクトリープリセット作成。ディストーションペダルのサウンドプロデュース。sleep freaks ウェブサイトにてギターアンプシミュレーターの動画や記事の作成。
Media Integration サイトにて「鈴木健治の BIAS シリーズを使いこなそう」連載。DVD「鈴木健治直伝! ギター宅録メソッド ~ギターレコーディング匠の技と EDIT 法~」発売。

ライブ / レコーディング
Erykah Badu, 宇多田ヒカル, SMAP, V6, MISIA, BoA, EXILE, 倖田來未, 安室奈美恵, 坂本 真綾, ケツメイシ, 島谷ひとみ 他、沢山のアーティストの作品やライブ等に参加。

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鈴木健治 | ギター宅録のススメ