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Q'HEY の Cubase + CMC 制作環境

1989年の DJ 活動開始以来常に日本ハードテクノシーンの中心で活躍される Q'HEY さんに、CMC シリーズの導入により強化された Cubase の音楽制作環境について話を伺いました。

○ Cubase との出会いをお聞かせください。

以前は Opcode の Studio Vision を使っていたんですが2000年頃に開発が終了してどうしようかと考えていた時に友人から勧められて Cubase VST/32 (Cubase VST 5 のフラッグシップ) に乗り換えました。ちょうど乗り換えた時に当時の代理店の人に依頼されて Cubase VST/32 のデモもやったことがあります。その時に使い倒したので結構 Cubase は詳しくなりました(笑)。今となっては母国語を話すことと同じように直感的に操作できるので、自分がやりたいことを最も簡単に実現できるツールとなっています。他の DAW では回りくどいことも Cubase では一瞬でできてしまうことが多いです。

○ 曲を作るときのアイデアはどういった時に生まれますか?

最初に作るのがリズムでそこからイメージが膨らんでいきます。
テクノはキックの音やハットの音の質感が命のところがあるのでそこでカッコいいリズムができたら、ベースだったり上モノだったりの展開になることが多いです。ダークな曲を作っていたんだけど最終的に明るい曲ができたりといったこともありますよ(笑)

○ CMC 導入前に使っていたコントローラーをお教えください。

CMC を使う前は MIDI キーボードに搭載されているフェーダーやツマミにクイックコントロールを割り当てて使っていました。主に使っていたのはツマミで、ソフトシンセのフィルターをコントロールしていました。それ以外の Cubase の操作はマウスやコンピューターキーボードで行うことが多かったです。

○ CMC を導入した際の感想をお聞かせください。

このコンパクトさがいいですね。今まで Steinberg Houston や Mackie Hui も試したことがありますが筺体が大きい為コンピューターディスプレイの前に置くわけにはいかず、机の脇にセットアップしてしまうと姿勢を変えて操作する必要があるので結局使わなくなってしまいました。CMC の場合は(6種類の CMC の中から)必要なものを組み合わせてコンピューターキーボードの両脇にセットアップするなど制作環境のレイアウトの自由度が高いです。モニターディスプレイ、コンピューターキーボード、CMC がちょうど視界内に収まるので制作に集中できますし Cubase を直感的にコントロールしているといった感覚があります。

○ CMC シリーズの中でよく使うものはなんですか?

CMC は CMC-QC、CMC-CH、CMC-AI を使っています。使用頻度が高いのが QC ですね。QC では各チャンネルの EQ をコントロールしています。イコライジング、特にローカットはキックとベース以外のほとんどのチャンネルで行うのでその際にマウスよりも効率的にコントロールできて重宝しています。
CMC-CH の場合は、オーディオ設定画面を表示するための [e] ボタン、インストルメント画面を表示するためのボタン、オートメーションを記録するときの [w] ボタンをよく使います。
CMC-AI は基本的にはマウスオーバーしたところを AI ノブでコントロールするので、左側に置いています。右手でマウスポインターを移動して、左手で AI ノブをコントロールするといった感じです。AI ノブではソフトシンセのつまみをコントロールすることが多いですね。

○ ご使用のソフト音源をお教えください。

Access 「Virus Powercore」、Aturia 「Minimoog V」、Cubase 付属の「Monologue」、HALion 4 をよく使っています。

○ シンセやアウトボードなど多くのハードウェアがありますがこの中で主に使っているのもはどれですか?

この中で使うものは Yamaha SPX90 と TX81Z です。SPX90 は初期デジタルのざらついた感じのリバーブなどが好きです。TX81Z は3台あって4オペレーターの FM音源らしい微妙な触感と扱いやすさが気に入ってます。 SPX90 は Cubase の外部エフェクト機能で使い、TX81Z も外部インストゥルメントとして設定して他のソフト音源と並列して使っています。

○ その他現在の音楽活動についてお聞かせください。

DJ 活動がメインですね。ほぼ毎週どこかのクラブでプレイしています。自分で開催しているイベントとしては3~4カ月に 1 回のペースで私と MAYURI、TAKAMI、KOMATSU がレジデントDJをつとめる「REBOOT」というパーティーをやっています。 3月16日に開催した REBOOT の14周年を記念したパーティーでは、来場者に MP3 で4人分の DJミックスを収めた CD をプレセントしました。この CD にはアートワークのデータも入っていますし MP3 にはトラックリストも埋め込んだ状態で収録していますので、iPhone や iPod で完全な形でミックスを楽しめるようになっています。 また、m-flo の ★Taku Takahashi さんが主宰するダンスミュージック専門のインターネットラジオ局「block.fm」では、毎週火曜日の深夜0:30から1時間の枠で「radio REBOOT」という番組も放送しています。「block.fm」 はリアルタイムでストリーミング放送されていて Twitter のタイムライン上でリスナーの声を拾えますしそこで流した曲はトラックリストに表示されて気に入った曲は「wasabeat」で購入することができるようになっています。放送した音源はアーカイブして公開しているのでリアルタイムでなくても放送を楽しめます。

○ METAMORPHOSE でのボーカロイド「Mew」とのコラボについて

Yamaha から、ボーカロイドを使用したテクノトラックを作ってそれを Metamorphose でプレイするという企画をもらいました。純粋に踊ることを目的としたテクノと既存の音楽とは一線を画すボーカロイドのコラボという面白い企画だったと思います。

○ Q'HEY さんの DJ プレイについてお聞かせください。

ざっくり言うとアーティスト寄りなのか選曲者寄りなのかでスタイルは異なってきますが、私は選曲者寄りの DJ です。選曲者として DJ を始めてその後曲を作るようになったんですよ。フロアでは一晩に2時間の DJ 枠がある場合40~50曲はプレイするですが、その内持ち曲をプレイするのは4曲ほどです。私は自分の曲を聴かせる為に DJ をしているのではなくて、旬な他のアーティストの曲を中心に DJ セットを組み立てフロアを湧かせてることに注力しています。 現時点では USB メモリースティックに入れておいた曲を CDJ プレイヤーでプレイするという手法を取っています。常にオーディエンスと向き合ってコール & レスポンスが得られるというのが最大の理由です。

○ Q.HEY さんご自身のアルバムの予定は?

年内に CD アルバムをリリースする予定です。ここ2年で作った曲を集めたもので、自分の DJ セットの中に入れてプレイしてリアクションの良かったものを中心に集めました。

○ 東北関東大震災チャリティー・プロジェクト「BPM Japan」の活動についてお聞かせください。

「BPM (Be Positive by Music) Japan」は音楽で被災者を支援ししようと、私が発起人となって進めているプロジェクトです。 主にはチャリティーコンピレーションアルバムの売上を日本赤十字社に東日本大震災被災者への義援金として寄付しています。震災が起きた2日後には行動し始めて、1ヶ月後には1枚目のアルバムを出しました。 被災地の復興を心から願っている国内外の著名なテクノ DJ が集まり、国やレーベルの枠を超えたかなりいいコンピができたと思いますよ。これまでに1枚のシングルと3枚のアルバムをリリースしたんですが、全てのアートワークのデザインは「アキラ」でも有名な大友克洋さんに描いてもらいました。大友さんは宮城県出身で復興を願う思いはひとしおだったようで「BPM Japan」の話をしたところ積極的にアートワークを提供していただきました。それらシングルやアルバムは「Beatport」で販売しています。