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コナミの音楽ゲーム、「BEMANI」シリーズに楽曲を提供していることでも広く知られる『kors k』さんは、トランスやハードコアテクノなどを中心としたダンスミュージックに精通したサウンドクリエイター。アーティストへの楽曲提供をはじめ、他アーティスト作品への参加、クラブイベントでの DJ など多様なフィールドで活動されており、さらに自身のレーベル「S2TB Recording」からオリジナルアルバムをリリースするなど、アーティストとしても大活躍されています。今回は、数々の名曲が生み出されている kors k さんのプライベートスタジオに潜入。ダンスミュージックとのなれそめから、愛用の DAW ソフトウェア Cubase の活用方法やトラック作りの秘訣に至るまで、さまざまな角度から幅広くインタビューしました。

BEMANI での楽曲採用がプロ活動の始まり

− kors k さんといえば、やはり「BEMANI」シリーズへの楽曲提供が思い起こされるのですが、同ゲームへの楽曲提供の経緯について教えてください。

自身がゲームのファンだったこともあり、2000年に開催された「beatmania IIDX 3rd style」の楽曲募集コンテストに応募したのがキッカケですね。実際には、beatmania IIDX 4th Style に初めて楽曲が収録されました。現在でも、同シリーズに楽曲を提供させていただいてます。おかげさまで、beatmania での楽曲採用を機に、多くの皆さんに楽曲や名前を知っていただけるようになり、次第に楽曲提供などのお仕事も増えてきました。そういった意味では「BEMANI」シリーズが、自分にとってのプロフェッショナルへの門を開いてくれたの間違いないと思います。

− トランスやハードコアテクノといったイメージの強い『kors k』さんですが、自身の音楽作りに関する原体験とは何だったのでしょうか?

幼少期には、バイオリンを習わされていたのですが、それがあまり性に合わなくて音楽が嫌いでした(笑)。ところが、90年代に入り小室哲哉さんなどの J-Pop シーンでプロデューサーがフォーカスされるようになり、あらためて音楽に興味が沸いてきたんですよね! 自分でも音楽を作りたいと思ったのは、テレビでみた globe の「FREEDOM」のシンセサイザーのソロを、小室さんが弾いているシーンだったことを、今でもよく覚えています。

− 最初に、音楽制作を始められたころの機材や環境は、どのようなものですか?

初めてシンセサイザーに触れたのは、中学生のころ(12〜13歳)くらいだったはず。当時ハマッテいた大好きな格ゲーを泣く泣く売り払って、ヤマハ CS1x を頑張って購入したのがマイ・ファーストシンセサイザーですね。当時は、シーケンサーがないと曲作りできないのも知らないほどド素人だったので、まずは音色作りやエフェクト、アルペジエータなどをいじくりたおして遊んでいました。その1年後くらいには、単体シーケンサーなどを導入し曲作りを始めました。さらに、本格的に楽曲制作し始めたのは、ヤマハ EOS B900 を購入してから。それからは、とにかく、ひたすらに打ち込みを続ける毎日! 曲作りは鍵盤を軽く演奏する程度で、打ち込んだデータ編集は圧倒的に速いと思います。結構自信あります(笑)。

トランスと出会いダンスミュージックに目覚めた

− では、シンセサイザーでの音楽制作を始めると同時に、ダンスミュージックの作曲などを行なうようになったのでしょうか?

基本的にバンドスコアを見て打ち込みするなどの作業はほとんどしなかったです。すぐにオリジナルソングが作りたくて…。とはいっても、最初は作曲のノウハウもまったく分からず非常に悩みましたが、見よう見まねで当時の J-Pop に多かったギターのパワーコードがバンバン鳴っているようなアレンジを中心に曲作りしていました。ダンスミュージックを意識するようになったのは、2000年に入ってから多数リリースされるようになった J-Pop のリミックスアルバムで、当時流行していたトランスに出会い興味をもったのが始まり。トランスは、派手でメロディーも分かりやすく、個人的にとても馴染みやすかったです。

− 単体シーケンサーやシンセサイザーから、PC と DAW ソフトウェアを中心とした制作環境に移行されたのはいつ頃だったのですか?

高校生になるころには、本格的にエレクトロサウンドに傾倒していき、自分が音楽的にやりたいことも次第に増えたので、自然と DAW を中心とした制作環境に移行しました。最初に導入したシーケンスソフトは、ヤマハの XGworks というソフトウェア。これは基本的に MIDI の打ち込みのみで使用していました。BEMANI の楽曲募集コンテストに応募した曲も、同ソフトウェアで制作したもの。当時はソフトウェア内で完結するのでなく、外部のシンサイザーや音源ラックを、XGworks から MIDI で鳴らす制作スタイルでした。ちなみに、同じ BEMANI の楽曲募集コンテストで採用されたクリエイターの Ryu☆ さんとは、今でもよくお仕事をご一緒する機会も多いです。

− 『kors k』の現在の音楽制作システムの中心ともなっている Cubase を導入するに至った経緯を教えてください。

BEMANI への楽曲の採用がきまり、商業スタジオなどでのプロフェッショナルなミックス作業を拝見する機会に恵まれ、そこで改めてミックスダウンやマスタリングの必要性や重要性を認識させられました。個人ベースでも、そういった本格的作業をぜひとも行いたいと思い導入したのが Cubase だったわけです。導入からしばらくの間は、ユーザーインターフェースや操作の慣れの問題から、XGworks で MIDI などを打ち込んでからオーディオで書き出し、ミックスダウンやマスタリングなどの作業を Cubase で行っていました。

Cubase のメリットは汎用性と拡張性にあり!

− Cubase を導入されての第一印象と、そのメリットや制作スタイルへの影響ついてお聞かせください。

Cubase (VST5) に初めて触れた際の第一印象は、ユーザーインターフェースのデザインなどが、純国産の XGworks と比較して、とても外国っぽく良い意味でマニアックに感じました。プロフェッショナルを感じるデザインは、一見取り扱いしにくいようにも見えましたが、実際に打ち込み作業などをしてみると、実は XGworks との共通点も多く、思ったよりかなりスムーズに Cubase に馴染むことができました。それから、なんといっても最大メリットは、VST エフェクトの汎用性と拡張性ですよね! 従来は限られた機材で、あれこれやり繰りしながら実現していたことが、CPU パワーの許す限り使い放題だなんて、当時の僕にとっては非常に革新的でした。もちろん、制作スタイルついても、最終のマスタリングまで PC 内部ですべて完結するように変化してきました。

− 長年の Cubase ユーザーである kors k さんからみた、最新バージョン Cubase Pro 8 の魅力とはなんでしょうか?

Cubase Pro 8 では、インプレイスレンダリングやダイレクトルーティングなど、今まで面倒な手順が必要だったことを、1度の作業で解決してくれる機能が多数追加され、作業効率が大幅にアップしたのが嬉しいですね。特に、楽曲のリミックス作業などでは、部分的な波形のバウンスやエフェクトなどが何度も必要になることも多いので、非常に重宝しています。また、インプレイスレンダリングは、マスタリング時にもよく使用しますし、DJ 用マッシュアップを制作する際にも便利ですね!
僕は1つのパートでも複数の音色を重ねて鳴らすことが多いので、複数トラックを数クリックで1本にまとめられるのは本当に助かります。
さらに、Cubase では、アップデート毎にトレンドにマッチした最先端のサウンドメイクを施しやすいような機能が追加されているのも大きな魅力。チャンネルストリップや、エンベロープシェイパーなどのエフェクトなどが標準搭載されており、個人的にも愛用しています。

− 音楽制作の際には、マウスでのデータ入力を多用されるとのことでしたが、Cubase を使いこなすコツなどが、ありましたら教えてください。

コツというか、ショートカットキーはカスタマイズしまくって作業効率をアップしてます! 考える間もなく指が動くのでもはや反射神経レベルです。あらゆる作業がショートカットキーで呼び出せ、すぐに実行できる! 僕の作業スピードの命は、ショートカットキーといっても過言ではありません。実は、このカスタマイズしたショートカットキーの多くに、以前使っていた XGworks からの名残がかなりあるんですよ。あまりにも、自分流に Cubase を使いこなしているので、新しいメディアベイも試してみたのですが、従来のインポートから自分で音源素材などは管理したほうが早いくらいでした。あらかじめ、フォルダ単位で綺麗に自分自身のサウンドライブラリが整理整頓されているからこそかもしれませんが…。何処にどんなサウンドが置いてあるのか覚えているので(笑)。

− 最後に、プロフェッショナルを目指す、ダンスミュージック・クリエイターの皆さんにアドバイスをお願いします。

Cubase は、音楽的トレンドにもよくマッチし、ダンスミュージックを作るにも最適の機能とサウンドが、1つのソフトウェアの中にギッシリ取り揃えられているので、これからトランスやハードコアテクノといったジャンルの楽曲を作りたいと考えている方々にも、ぜひお薦めしたいですね。また、さらに一歩踏み込んでより凝ったサウンドを作りたいと思った際も、Cubase なら柔軟かつ高度なオーディオ編集機能、自由度の高いルーティングやミキシング機能なども備わっていますので、あらゆるニーズに対応が可能です! そういったプロフェッショナルなツールであるからこそ、初心者の皆さんも安心して Cubase を使っていただけるのではないでしょうか。
ダンスミュージックを制作するなら、実際にクラブに足を運んで現場を体験してみることもとても大事だと思います。自分を含め、とかくトラックメーカーは部屋に閉じこもりがちですが、それではダンスミュージックに大切な要素やトレンドが見えなくなってしまいます。また、Cubase など DAW ソフトウェアも、単なる音楽を作るツールとしてだけでなく、その制作の過程も含め自分なりの楽しみ方を見つけると、より音楽制作の作業そのものが楽しくなるはずです!  人を踊らせて楽しませるダンスミュージックは、やはり自分自身も楽しんで作らなければ、面白みに欠けたものになってしまうでしょう。僕も、リスナーの皆さんのクラブでの反応を想い描き、いつでも楽しみながら制作を行うよう心がけています。今後も、皆さんに思い切り騒いでもらえるような音楽をお届けできるよう楽曲制作に取り組んでいきますので、ぜひご期待ください!

kors k(斉藤広祐)連載情報

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