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絶大な人気を誇るコナミの音楽ゲーム「beatmania」シリーズで、約15年の長きに渡りレギュラー・コンポーザーを務め、BEMANI レーベル「beatnation」の一員としても活躍する気鋭のダンストラック・クリエイター「Ryu☆」。ゲームシーンやクラブシーンのみならず、J-POP シーンへも活動を広げており、アーティストやアニメーションへの楽曲提供、DJ、リミキサー、プロデューサーなどとしても、国内外から高い評価を得ている。今回は、Ryu☆ さんが作業を行っている制作スタジオに突撃取材を敢行し、音楽や beatmania との関わりから最新 DAW システム Cubase の魅力や活用法に至るまで、同氏からマニアックかつ幅広くお話をお聞きしました。

beatmania が、プロとしての最初の一歩を示してくれた

- Ryu☆ さんといえば、やはり beatmania シリーズを連想されるリスナーも多いと思いますが、beatmania での楽曲制作を手がけるきっかけについて教えてください。

僕が大学生の頃、2000年に『beatmania IIDX 3rd style』の公式サイト上で開催された楽曲募集コンテストにて一般公募で楽曲が採用されたのが、beatmania での楽曲制作を手がけるきっかけです。当時から、beatmania は大好きなゲームでしたし、最初は本当に幸運で夢のようなお話でした。同コンテストで共にデビューすることになった kors k とは、今でもよく一緒にお仕事したりする機会も多いですし、beatmania がプロミュージシャンとしての最初の一歩を示してくれたのは間違いありません!

- Ryu☆さんは、コンポーザー、アレンジャーとしてだけでなく、アーティスト、リミキサー、DJ、さらにはライブ演出や、PV 制作なども手がけられていますが、ご自身で活動のジャンルなど意識されますか?

アーティストと呼ばれることにはやや違和感があって、音楽を中心としながらも、ライブや映像、グッズであったり、エンターテインメントを構成するさまざまな要素を統括的にデザインするデザイナーであったり、エンターテイナーといった感覚のほうがシックリきますね。アーティストというと自身の表現を最優先するイメージがダメなわけではなく、僕自身どのような立場であっても、常にユーザーの皆さんを第一に考えて活動したいと考えているので。

- マルチな才能を発揮なさっている Ryu☆ さんの、クリエイターとして多彩な音楽スタイルや幅広い見識は、どのように身につけられたのでしょうか?

昔から、自分で何でもやらないと気が済まないタイプであったのが一番かもしれませんが…(笑)。また、大学時代の影響も大きいと思います。当時、僕は九州芸術工科大学(現:九州大学芸術工学部)に通っていたのですが、芸術と工学を同時学べるちょっと変わったユニークな学校で、音楽だけでなく幅広くメディアに関するあらゆることを、総合的に学ぶことができたのは非常に面白かったですね!

「スーパーユーロビート」に衝撃を受け音楽制作を開始

- Ryu☆ さんの最初に音楽に触れられた原体験とはなんですか? また、いつ頃から本格的な音楽制作に取り組み始められたのですか?

実は、音楽に目覚めたの非常に遅くて、高校時代にゲームセンターでたまたま流れてきた当時流行の「スーパーユーロビート」に衝撃を受けたのが、僕の音楽の原体験ですね。本当に、電撃に打たれたように「超カッコイイじゃん、自分も作ってみたい!」となりまして、すぐにシーケンサーと音源が一体化した専用マシンを購入して打ち込みを始めました。それからは、あっという間にダンスミュージックと音楽制作の世界にのめり込んでいった感じ(笑)。見よう見まねの独学で曲作りに没頭しましたが、ピアノなども一切習ったことがなく試行錯誤の繰り返しで、少しずつ音楽について学びました。あの頃は、まったく思い通りに曲が作れず、本当に悩ましかったのを覚えています。とはいえ、スーパーユーロビートを作りたい一心で、音楽制作と無心で向き合えた貴重な時間は、得るものも非常に大きかったと感じています。

- 専用マシンから、コンピューターを中心とした音楽制作環境に移行なさった経緯や、DAW システムの第一印象などについて教えてください。

beatmania のコンテストに応募した頃は、まだ専用マシン1台を使って、それを MD レコーダーに録音するだけの簡易なシステムで制作を行っていました。大学時代に、友人から中古のコンピュータを譲り受けたのですが、最初は DAW ソフトウェアを MTR のような感覚で使用していたんです。また、大学の自習室のコンピューターに Cubase が導入されており、授業で Cubase の使い方を学び理解が深まると共に、音楽制作環境自体も DAW システムへと緩やかに移行していきました。当時は、ソフトシンセがちょうど流行し始めた頃で、多彩な音源をプラグインとして手軽に利用可能な Cubase に、とても大きな魅力を感じました。従来と比較し、圧倒的に高品位な制作環境がコンピューターの中だけで、しかも低コスト再現できるなんて素晴らし過ぎますよね(笑)!

- DAW ソフトウェアによる音楽制作を始められてからは、Cubase のみをお使いなられているのでしょうか?

実は、初めて個人的に導入した DAW ソフトウェアは、Cubase でなく Nuendo だったんです。友人の Nuendo ユーザーから聞かせられたサウンドのクオリティーに感銘を受けまして、僕もどうしても Nuendo が欲しくなってしまい…(笑)。当時の Nuendo に搭載されたサウンドエンジンは、Cubase より先行しており、音質的にも Nuendo のほうが勝っていると感じられる部分も多くありましたからね。その後、Nuendo とまったく同等のオーディオエンジンを採用した Cubase SX シリーズからは、ずっと Cubase を愛用しています。

自分をニュートラルに保つためリファレンストラックを活用

- そんな長年の Cubase ユーザーでもある Ryu☆ さんからご覧になった、最新バージョンに至るまでの Cubase の印象をお聞かせください。

バージョン5から使い始め、現在では最新の Cubase Pro 8.5 を使用しています。昔と比べて、単純明快に恩恵を感じるのは、音質はもちろんのこと、ソフトウェアの安定性が格段に向上したことですね。バージョン5のころには、ソフトウェアがフリーズしたり、落ちてしまうこともよくあり、何度も苦い思いをさせられました(笑)。プロフェッショナルが使用する DAW として、優れた音質に加えて動作の安定性はなくてはならない重要な要素の1つだと思います。そういった意味では、プロジェクト自動保存機能も同様に、僕にとってとても心強い機能です!

- Cubase Pro 8.5 をお使いとのことでしたが、Cubase のおすすめの機能やよく使われる機能などはありますでしょうか?

リミックスなどの製作においては、テンポやピッチの変更などをよく行うので、VariAudio については、使わないことはほぼないといってよいほどお世話になってます。Cubase 内でテンポやピッチの修正が完結するのは、作業スピードの面でも大きなメリットがあります。また、僕はフレーズを演奏する心地良さも大事にしたいので、MIDI キーボードなどを使ってリアルタイム入力したデータを、キーエディターやドラムエディターを使って編集していくのですが、バージョン8.5からはノートの長さの調整、移動、ピッチ変更などをツールの持ち替えなしで行えるようになり、大幅に作業効率がアップしました。それから、バージョン8.5で追加された新しいソフトシンセ Retrologue 2 も、サウンドの図太さが気に入っており、さっそく愛用中です!

- Cubase をお使いの上で、Ryu☆ さんならではの楽曲制作のコツや、秘密の活用方法などがありましたら、ぜひ教えてください。

これは、Cubase に限ったことではありませんが、楽曲制作をはじめるにあたって、必ずリファレンスとなるような楽曲を2~3曲ほど用意して、トラックに貼り込むようにしています。ここでいうリファレンスとは、作りたい楽曲の手本にするという意味ではなく、サウンドのエディットやミックスを正しく行えるよう、自分の耳をニュートラルな状態に常に保つためのリファレンス・トラックですね。どうしても、長時間の作業をしていると、何が正解なのか疑わしくなることがあるでの、自分の耳をリフレッシュする意味でも重宝しています。また、自宅の制作スタジオでは、合計4画面のマルチディスプレイで作業を行っており、これが非常に快適! 表示領域が大きいソフトシンセやプラグインエフェクトでも視認性が向上し、より直感的なワークフローを実現できます。2画面のデュアルディスプレイにするだけでも、大幅に作業効率がアップすること間違いなしですので、ぜひ皆さんもお試しあれ!

- 最後に、これからの Cubase に期待すること、さらに今後の Ryu☆ さんのリリースや活動予定などについて、コメントをお願いします。

現代の音楽制作に欠かせない DAW の歴史そのものといっても過言ではない Cubase (Steinberg) には、DAW 界のオリジネーターであり、同時に偉大なイノベーターとして、今後も音楽制作ワークフローの革新を続けていってほしいと強く期待しています! 僕も、Cubase に負けない鮮烈なサウンドと良質なエンタテインメントを、お届けできるよう己の道を突き進みたいです。

なお、これまでの音楽活動の集大成的内容となる初のベストアルバム『Ryu☆BEST -STARLiGHT-』『Ryu☆BEST -MOONLiGHT-』が、2016年2月24日にリリース予定です。アルバムでしか聴けない楽曲も多数収録されていますので、ぜひご期待ください。さらに、「beatmania」と「SOUND VOLTEX」に収録されているアーティストが一同に会するハイテンションなイベント『EXIT TUNES DANCE PARTY 2016 -SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM & beatnation summit-』が、2016年3月5日に豊洲 PIT にて開催されます。ぜひ足を運んでいただき、皆さんと一緒にお祭り騒ぎできたら嬉しいです!

Ryu☆(中原龍太郎)

コナミの音楽ゲーム「beatmania IIDX」でのデビュー以来、快進撃を続ける次世代のエンターテインメント・クリエイター。クラブ、ゲーム、J-Pop などあらゆるミュージックシーンで多岐にわたり活躍中。Starving Trancer とのプロデューサーズユニット「Another Infinity」名義でも多数の楽曲を提供している。

公式サイト: djryu.jp
Ryu☆ twitter: twitter.com/RyutaroNakahara
Ryu☆ facebook: https://www.facebook.com/ryutaro.nakahara
EXIT TUNES: exittunes.com

http://dic.nicovideo.jp/a/ryu☆
http://dic.nicovideo.jp/a/exit%20tunes

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