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サウンドプロデューサー江夏正晃が語る「SEQUEL」の魅力

聞き手:ヤマハ 国内営業担当

○ 江夏さんは Cubase や Nuendo ユーザーとして有名ですが、 Sequel はいつ頃から使いはじめたのですか。

Sequel は発売になったその日から使っています。というのも、4年前に大阪の彩都メディア図書館(現: 宝塚メディア図書館 / 兵庫県宝塚市)で「デジタルサウンド講座」をはじめるちょうど同じ頃に Sequel が発表され、講座の教材として Sequel を選択しました。「デジタルサウンド講座」は Sequel と共に始まったと言えますね。それ以来、 Sequel をずっと使用しているので、かなり使わせてもらってるんじゃないかと思います。

○ 江夏さんは「デジタルサウンド講座」の講師の立場から、数あるソフトウェアの中で Sequel を選んだ理由は何だったのでしょうか?

「デジタルサウンド講座」は音楽を本格的に学ぼうとする方にはもちろんのこと、写真を撮って自分のスライドショーに音楽をつけたいとか、映像を作っていて自分の映像に音楽を付けたいという人も受講される、非常に幅の広い音楽制作の講座なんです。そういった方たちは、まずどんなソフトを使ったらいいのかという問題に必ずぶつかるんですね。「デジタルサウンド講座」を始める際、Sony の ACID を使おうか、Apple の GarageBand を使おうかという話もありましたが、先入観かもしれませんが、おまけのソフトというイメージが強かったんです。それに対し、 Sequel はちゃんと Steinberg がエントリーユーザー向けに、サウンドエンジンも Cubase 譲りのエンジンを積んでいて、非常にアドバンテージがあると感じたんですね。決断の一番の理由はとにかく音が良かったんです。「音質の良さ」が決め手でしたね。

○ 「デジタルサウンド講座」で Sequel を使い込んだ生徒さんの反応や作品はいかがでしたか。

今年の4月から Sequel を使い始めた生徒の音楽がホントにびっくりするくらい「音」が良いんです。それに加え、 Sequel は最初から搭載しているコンテンツの質も非常に良くて、MIDI でも Audio でも意識することなく使うことができるので、 Sequel でこんな作品が作れるのかってくらい、どんどんすごい作品ができます。それから、ユーザーインターフェースも非常にわかりやすく、とっつきにくさも全くありません。 Sequel は実に凄いソフトなんです。Cubase や Nuendo と全く別のソフトだと思って下さい。Sequel のプロジェクトファイルは Cubase でも読み込めるので、 Sequel で楽曲制作をして、Cubase で細かく編集といったことも出来るんですね。実際デジタルサウンド講座を卒業した生徒なんかはこのワークフローで制作しているハイアマチュアな方もたくさんいらっしゃいます。ゼロから音楽を制作するにはこの Sequel には非常にアドバンテージがあるんですよ。これから音楽を作っていきたいユーザーにとって非常に敷居の低い、でも奥が深いソフトウェアだなと感じています。

○ 講座を受けている生徒さんはまったくの DAW 未経験者なのですか?


すでに DAW に触れられている方もいらっしゃいますが、そういった方も多い講座ですね。私の授業の一番最初にやってもらうことは、まずメディアベイから3つの音を選んでもらいます。自分が選んだ音が重なる事によって、こんなに音が変化してくんだよっていう体験をしてもらいます。Sequel のすばらしいところはピッチもテンポも自動的にあわせてくれるところで、この機能のおかげで必然的に楽曲になるんですね。その喜びを感じてもらってから制作に入っていきます。制作の際に問題が起こることもあるのですが、Sequel だとその問題に対する対処がしやすいユーザーインターフェースになっているので、壁にぶつかってもすぐ解決しやすいんです。

○ 生徒さんはどのように Sequel で音楽制作をされているのですか?

もちろん MIDI キーボードを使用することもありますが、基本的にバーチャルキーボードを使用しています。ちょっと面白いものがあるんですよ。実は、デジタルサウンド講座の生徒はみんながみんな楽器を弾けるわけではないんですね。やはりほとんどの生徒は音楽を作るというときに楽器が弾けないということに抵抗感を示すのですが、実は僕らはこういう風にしちゃうんですよ。

こういうシールを貼ってバーチャルキーボードで直接打ち込みができるんです。すぐに作曲に入るという事に対してのハードルがすごく低くなります。ハードルを下げてくれるポイントとして、Sequel の凄いところは MIDI プラグインのコーダーとアルペジエーターが最初から入っているというところです。このプラグインの使い方を教えてあげると生徒たちは、自分たちが今までできなかったフレーズなどをワンフィンガーでできますよね。特にコードなんかだと複雑なコードもワンフィンガーでできちゃいます。これを使うと、今まで作れなかった複雑な楽曲が作りやすくなるんですよ。Sequel は色々な可能性を持ったソフトウェアですね。また、メディアベイには色々なジャンルのかっこいいフレーズがたくさん入っています。DAW ユーザーだけではなく、例えば自分でビデオを撮る人や写真のスライドショーをやりたい人にとってはすごいツールになるんじゃないかと思います。実はダウンロード販売の有料コンテンツもすごい良く出来ていて、いろんなジャンルに応用する事ができるんですよ。追加コンテンツはどれもオールジャンルに対応できますね。

○ 10月1日に Sequel の最新バージョン Sequel 3 がリリースされました。どういった印象をお持ちになりましたか?

まず、ミキサーがものすごく見やすくなりましたね。レベル表示がミキサーの上部に表示されていて、音量バランスが一目でわかりますね。学生達によく言うのですが、Steinberg の音のよさはやっぱりフルビットを使用したときだと思うんですよ。学生にはめったな事がない限りマスターはいじらないでくれと伝えています。ここでレベル表示がしっかり確認できると、ミックスの際にどの音をどのくらいにしたらよいのか直観的に判断しやすくなるんです。結果、しっかりとしたミックスが出来るようになるので音も良くなる傾向になります。また、ユーザーインターフェースは制作ワークフローを高める大切なファクターだと思っていますが、ここも Sequel 3 ではすごく見やすくなっていますしね。今まではメディアベイを選択して表示しなければいけなかったのですが、Sequel 3 になって Sequel の命とも言えるメディアベイが画面の右側の見やすいところに表示されるようになったので、すごく良いと思いました。動作の軽さも Sequel 2 とほぼ同じなので良いですね。

○ Sequel 3 に追加して欲しい機能はありますか?

これを使うユーザーは音楽を制作する方はもちろん、写真のスライドショーや自分で撮った動画の音楽を作成する方もいらっしゃると思うので、映像を再生することができる、メディアを意識した機能が欲しいですね。映像再生できる機能が付けば、写真のスライドショーのBGM制作や動画のBGM制作などに使用する強力なツールになるんじゃないかなと思いますね。

○ Cubase ではなく、敢えて Sequel を選ぶ最大の魅力は何だと思いますか?

僕が Cubase ではなく、Sequel で教えるのは音ネタが最初からたくさん入っているというのと、余計な事をしなくて良い、入り口が非常にわかりやすいという部分です。だから、若い人だけではなく、年配の人にもおススメできますね。Sequel は本当に必要なものしか搭載されていなくて、わかりやすい、本当にすばらしいソフトですね。細かいところまでよく設計されていますし、Sequel 3 から VST3 にも対応になりますし、Sequel 3 をこれから使っていくのが楽しみですね。僕も時々、Sequel で曲を書いたりするのですが、Cubase とコマンドも似ていますし、Cubase や Nuendo に移行したとしても、躊躇なく使えますね。他社にはない、幅広い、エントリーユーザーのための Sequel からハイエンドの Nuendo までをカバーできるフルレンジのラインナップがある Steinberg は本当にすごいなと思いますね。Steinberg ユーザーでよかったなと思います(笑)。

あと余談ですが、Sequel には、便利な MIDI Learn 機能があり、主要なノブやボタンを自分で外部のコントローラーに割り当てる事ができます。この Learn 機能を使えば最近発表されたばかりの Cubase / Nuendo 用コントローラー CMC シリーズも、自分で Sequel のノブやボタンを一つ一つ割り当てることで使用可能です。特にツマミが8個付いている CMC-QC は重宝しそうです。CMC をはじめとするコントローラーを用いることで Sequel の可能性はさらに拡がります。

○ 今日はお忙しい中、ありがとうございました。

• サウンド&レコーディングマガジン11月15日発売号に、江夏氏執筆による Sequel 3 の製品レビューが掲載されます。是非ご覧ください。

<プロフィール>
江夏正晃

株式会社マリモレコーズ代表、テジタルサウンド講座専任講師、関西学院大学非常勤講師 トラック・メイカー、DJ として精力的に活動。DJ TAKASHIRO 名義では BLAZE、ULTRA NATE、Urban Soul、元気ロケッツなどのリミックスのフログラミングを担当。一方で、マリモレコーズの代表として、楽曲のプロデュースをはじめアーティスト・プロデュース、CM 他、多方面の音楽制作を行う。また、関西学院大学の非常勤講師、IMI / グローバル映像大学テジタルサウンド講座の専任講師も勤める。2011年5月、DAW ユーザーに向けた「DAW 自宅マスタリング」をリットーミュージックより出版。