Steinberg Media Technologies GmbH

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Cubase と HALion で紡ぎ出される、唯一無二のオリエンタル・エレクトロニカ

民族音楽をモチーフにした独特なメロディーと、緻密にプログラムされたビートを高次元に融合したユニークなサウンドで、国内外で絶大な支持を集める DE DE MOUSE。今春リリースされた3枚目のフルアルバム 『A journey to freedom』 も好評を博し、『ファイナルファンタジータクティクス』 や 『ファイナルファンタジーXII』 などのキャラクターデザインで知られる吉田明彦氏の手によるキャッチーなカバーイラストも手伝って、さらにファン層を拡大しています。今や日本のエレクトロニックミュージックを背負って立つ、最重要アーティストの一人といっても過言ではないでしょう。

そんな DE DE MOUSE が、メインのプロダクションツールとして長年愛用しているのが、Steinberg の DAW ソフトウェア Cubase と、ソフトウェアサンプラー HALion のコンビネーションです。曲作りからプログラミング、レコーディング、さらにはミックスに至るまで、すべての作業を Cubase を使って一人で行うという DE DE MOUSE に、その制作システムやプロダクションのワークフローについて、じっくりと話を伺いました。

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Cubase との出会い

僕はコンピューターに手を出したのは遅くて、長いことオール・イン・ワン・シンセとサンプラーの組み合わせで曲を作っていたんです。サンプラーはオール・イン・ワン・シンセの内蔵シーケンサーで鳴らして。何年か経って機材をアップグレードしたくなったときも、コンピューターには行かずに、使っていたオール・イン・ワン・シンセを上位モデルに買い替えたりしていましたね(笑)。

そんなシステムでずっと制作していたんですが、いいかげん限界を感じてコンピューターを手に入れたのが5~6年くらい前。DAW ソフトウェアは知り合いが使っていたこともあって、迷わず Cubase をチョイスしました。Kraftwerk も使っているということだし、もうこれしかないだろうと。

だから他の DAW ソフトウェアと比べたわけではないんですが、Cubase はプロジェクトウィンドウやキーエディターの表示が分かりやすくて、それまでオール・イン・ワン・シンセの内蔵シーケンサーで作っていたような僕でも簡単に使えたのが良かったですね。僕の場合はサンプラーがメインの音源になるので、キーエディターでのエディットがとても重要になってくるんですよ。あとはカスタマイズが自由に行える点も気に入っています。特にキーコマンドに関しては少しでも使いやすくなるように、めちゃくちゃ変えているので(笑)、もう自分のセットじゃないと作業できない。しかし Cubase は、そういった設定をプリファレンスとして保存すれば、他のコンピューターでも簡単に利用できるのがいいですよね。

このところずっと制作作業が続いていたこともあって、Cubase 5 に関してはまだテストを行っている段階で実践投入はしていないんですが、少し使った感じではかなり音が良くなったなという印象です。Steinberg の人に話を訊くと、オーディオエンジン自体は Cubase 4 と変わってないらしいんですけど(笑)。それでも確実に音が良くなった印象ですね。音の粒立ちが明らかに違いますし、EQ のかかり具合も良くなった気がします。単にリアルタイムで聴いているときだけでなく、書き出したファイルの音も違うので、何かが明らかに変わっているんでしょうね。個人的には、今回のアルバム(『A journey to freedom』)を作り終えた後にこの変化を知ったのが少し悔しい(笑)。これだけ音が良くなったのなら、全部書き直したいくらいです。

機能面では VariAudio に注目しています。これまでは Melodyne を ReWire で繋げて使ったりしていたんですけど、同じようなことが Cubase の中で行えるというのは凄いですね。自分の曲ではピッチ修正ってほとんど行わないんですが、リミックス作業などでは重宝しそうな機能です。

コンピューター1台だけのシンプルな制作環境

現在は制作用の MacBook と、ライブ用の MacBook Pro (15inch)、2台のシステムを使い分けています。ライブではけっこうコンピューターを酷使するので、制作用と分けた方がいいかなと思って。しかしどちらも、Cubase のバージョンやインストールしてあるプラグインに関しては完全に同じですね。

オーディオインターフェースは、ライブでは RME の Fireface 400 を使っているんですが、自宅では MacBook 内蔵のサウンド出力を使っています。もちろん、最終的に音を確認するときは Fireface 400 を繋げるときもあるんですけどね。なぜ、普段はオーディオインターフェースを繋げてないのかというと、システムをシンプルにしたいからなんですよ。自宅は生活する空間でもあるので、できるだけ余計なものを置きたくないんです。だから外部の音源はもちろん、MIDI キーボードすら繋げていません(笑)。MIDI データの入力は、キーエディターで鉛筆ツールを使って行うことがほとんどです。ですから、すべての作業は MacBook の中で完結していると言ってもいいくらいですね。

昔も今も MIDI がメインの制作スタイル

曲作りの流れとしては、大体いつも最初にコードを作って、展開を考えながらメロディーを付けていく……という感じですね。意外に思われるかもしれませんが、リズムから作るということはほとんどありません。もちろん、コードを作るときは、4つ打ちのキックとかは鳴らしているんですけど。曲作りにかける時間は、1~2日でミックスまで終わってしまうときもありますし、細かい作業をしている曲だと2週間くらいかかるときもあります。それは楽曲によってまちまちですね。

最近は DAW ソフトウェアのオーディオ機能が強力になってきているので、オーディオトラックに直接サンプルを貼り付けて曲を作る人も多いみたいですが、僕の場合は昔も今も MIDI がメインなんです。MIDI トラックに MIDI データを打ち込んで、HALion をはじめとするソフトウェアインストゥルメントを鳴らす。オーディオよりも MIDI で作った方がエディットがラクですし、融通が利く感じがするんですよ。ただ単に、僕が古い人間だけなのかもしれませんけど(笑)。もちろんサンプルは、HALion で鳴らすよりもオーディオトラックで鳴らした方が音は良いのかもしれませんが、一度サンプラーに入れることによって生じる音の変化も好きで。サンプルがそのままの音で鳴ったら、それはそれでつまらないというか。だからどんなサンプルでも、とりあえず HALion の中に入れて、ピッチをエディットしたり、フィルターをかけたりして鳴らす。その方が絶対におもしろいですし、融通が利きますね。

リズムからメロディーまで、HALion は僕にとって欠かせない存在になってます。他のソフトウェアサンプラーも使ったことはありますけど、HALion はハードウェアサンプラーのような感覚で使えるのがいいんですよ。サンプルのマッピングも簡単に行えますしね。本当に気に入っています。

HALion で鳴らすのは、自分でサンプリングしたライブラリーが中心ですね。これまで蓄積したライブラリーが200くらいあるんですよ。元ネタとしては、サンプリング CD だったり、昔使っていた古い PCM シンセサイザーを録ったものだったりいろいろです。サンプリング CD は、最近のものよりも90年代の昔のものの方が良いですね。ただ、ライブラリーに関しては、自分が把握できる範囲で増やしています。むやみにライブラリーの数だけ増やしても、結局は使わないですし、使い勝手が悪くなるだけですから。自分が本当に気に入っているライブラリーだけストックしてある感じです。これはプラグインに関しても同じですね。本当に使うものしかインストールしていません。

"my favorite swing" のプロダクション

今回のアルバムの "my favorite swing" という曲でも、最初にコードの刻みを作って、それからメロディーを作っていきました。コードの刻みは Native Instruments Pro-53 で、メロディーのサンプルは HALion。民族音楽のボイスサンプルを切り刻んで鍵盤にアサインし、コードに合うようにメロディーを作っていったんです。途中、1種類のボイスサンプルでは限界を感じたので、別のサンプルを追加したりしましたね。

よく "my favorite swing" のメロディーは、ボコーダーによってああいうニュアンスになっていると勘違いされるんですけど、実際はそういったエフェクトは一切使っていないんです。サンプルを細かく切り刻んで、それを並べ替えることによって、ああいう感じになっている。僕、最近流行のロボットボイスとかケロったようなボーカルって、あまり好きではないんですよ。どちらかと言えば自然なボーカルの方が好きなんです。

ダンスミュージックのプロダクションって、最初にトラックがあって、それに合わせてボーカリストに歌ってもらうっていうやり方がほとんどだと思うんですよ。僕の場合は真逆で、最初にサンプラーでメロディーを作って、それに合わせてトラックを作っていく。要はヒップホップの人がビートを作る手法で、メロディーを作るというわけです。人間が歌うのではなく、サンプルの組み合わせでメロディーを作っていくので、もの凄く制限があるんですけど、それはそれでおもしろいというか。けど、たまに思いますよ。ボーカリストにゼロから歌ってもらったら、とても簡単だろうなぁって(笑)。コーラスも自由に付けられるわけですしね。しかしサンプルで作られたメロディーは DE DE MOUSE らしさの重要なポイントだと思っているので、そこは安易に変えたくない。だから制限がある中でも、できるだけ人間が歌っているように HALion を駆使して一生懸命エディットしているというわけです。変わってますよね(笑)。

ライブで活躍する Sugar Bytes Effectrix

HALion と Pro-53 以外に使っているソフトウェアインストゥルメントというと、僕は昔から Native Instruments のものが好きですね。FM8 とか、最近だと Massive とか。あとは AudioRealism の ABL2 も好きでよく使いますね。ABL2 は、いわゆる TB-303 のシミュレートものなんですけど、なかなか良い音が作れるんですよ。僕は TB-303 の音は好きですけど、まったく実機信仰はないので、シミュレートもので十分ですね。

やはりソフトウェアインストゥルメントは、生音系よりも良い電子音が出るものが好きです。好きというよりも、そういうものしか使ってないですね。頭の中に鳴っている音に近いプリセットを選んで、それをエディットして使うという感じが多いです。  最近気に入っているプラグインというと、Sugar Bytes というメーカーの Effectrix というエフェクトですね。聞くところによると、リチャード・ディヴァインが開発に関わっているらしいんですけど、このプラグインは本当に凄い。リアルタイムに音をループさせてピッチを変えたり、さらにはループポイントを変えたりできるんですよ。コーラスやリバーブといった普通のエフェクトも入っているんですが、それらも効き方がエグくて普通じゃない(笑)。僕はこの Effectrix を マスタートラックにインサートして、ライブ用のエフェクトとして使用しています。パラメーターを Novation Nocturn にアサインして、ノブで音を変えられるようにして。このプラグインだけで原曲をまったく別物に変えることができるので、使っていて本当におもしろいですね。ただ、若干音が細くなってしまう感じもあるので、制作時は使い方を考える必要があります。

曲作りの叩き台となる設計図

僕の場合は常に、頭の中に楽曲の設計図がいくつもあるんですよ。下敷きとなるブレイクはこのサンプルにして、大体このくらいの BPM で、後半から被さってくるメロディーはこんな感じで……とか、そういう設計図。そういう設計図が順番待ちのような形で、頭の中にたくさんあるんです。そのストックの中から今日はこれを作ろうと選んでから作業を始めて、それが完成したから次はこの設計図でいこうとか、そういう感じですね。僕の場合、頭の中に何のアイディアも無い状態で、漠然とコンピューターに向かうということはまずないんですよ。

設計図があると作業が早いですよ。だからみんなには、曲作りをするなら明確なビジョンを持ってから始めた方がいいよと言いたいですね。その方が作業が早いだけでなく、絶対に良いものができる。もちろん明確なビジョンがあったからと言って、それがそのまま形になるとは限らないんですけど。曲作りを進めていくうちに、最初のイメージとはどんどんかけ離れてしまったり、あるいはイメージどおりのものができたとしても、大して良くなかったりということもある。しかしそれでもいいと思うんですよ。イメージがあった方が曲作りは絶対に楽しいですから。僕の経験上、何のイメージもないままに曲作りを始めても、大抵は良い結果にならなくてストレスが溜まるだけです(笑)。

僕個人のことを言えば、ここ何年かで頭の中のイメージをそのまま具現化できるだけのスキルが身に付いたような気がします。それに加えて、最近は曲作りに対するプレッシャーや気負いからも解放された気もする。以前は良い曲を作らなきゃ、良い曲ができなかったらどうしようというプレッシャーと常に闘っていた気がするんですけど、2nd アルバム(『sunset girls 』)を作るときに、開き直っちゃったのが良かったのかもしれないですね。みんなが、民族音楽のサンプルを使ったエレクトロニック・ミュージックのことを DE DE MOUSE だと思っているんだったら、素直にそれをやればいいんじゃないかって(笑)。そう思ったら気がラクになって、結果として良い曲ができた。今回のアルバムもそういうスタンスで制作したので、とても楽しかったですし、良い作品ができたと満足しています。

3rd album "A journey to freedom"
CD only ¥2,100 (tax in)
RZCD-46513

2nd album "sunset girls"
CD only ¥2,500 (tax in)
AVCD-23598

<プロフィール>
DE DE MOUSE (デデマウス)

チベット、インドネシアなどの民族音楽の歌、子供の声からソウルフルなヴォーカルまで、
多彩な素材を緻密にチョップ&エディットした印象的なメロディ。
独特なコード進行の上を飛び交うきらびやかなシンセサイザーサウンドに、
ブレイクコアまでも連想させる緻密だがアクセントの強いビート。

アシッドハウスからアーメンブレイク、ヒップホップからフュージョンまで様々なキーワードをリンク/融合させ、
新たな可能性を体現するエレクトロニック・シーンの異端児 DE DE MOUSE (デデマウス)。

誰にも真似出来ないイマジネーション豊かな楽曲に加え、ツインドラムを従えたアグレッシブなバンドアンサンブルから
大胆にエディットし直されたダンスセットまで、ライブスタイルも独創的でエネルギーに溢れている。

音源、パフォーマンス共に国内外問わず多数のアーティストやクリエイター達から強力に支持され、
ファッション、ゲーム、グラフィック等、あらゆるジャンルとのコラボレーションも積極的に行っている。

本年4月7日には約2年ぶりとなるオリジナルアルバム 『A journey to freedom』 をリリースし、
イギリスのリミキサー陣によるリミックス集も同時に発表。

Official Web Site http://dedemouse.com/
Official MySpace http://www.myspace.com/dedemouse/