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CHIHIRO with MR816 CSX & Cubase 4.5

去る9月某日、六本木プラネットキングダムにてレコーディングは始まった。SSL SL6000G をメインコンソールに構えたコントロールルームとレコーディングブースを備え、かの山下達郎の使用で知られる本格レコーディングスタジオ。この 1st に、Steinberg と Yamaha の技術の粋の結晶である MR816 CSX が持ち込まれた。オーディオインターフェースとしての実力を試す格好の機会であると共に、レコーディング模様を記事化し、CD リリースするという、ヤマハ、スマイルカンパニー、リットーミュージックの3社の夢のコラボレーション企画である。

レコーディング曲は CHIHIRO の新譜 "Lonely"。アップテンポからスローバラードまで幅広い楽曲を歌い、他アーティストへの楽曲提供も積極的に行っている実力派 R&B アーティスト CHIHIRO の、透き通った声とストリングスの美しいオブリガードがマッチするミディアムナンバー。1音1音がしっかり聴こえるアレンジは、MR816 CSX の性能がまさに試されるところ。プロデューサーは中西亮輔氏。SMAP、柴咲コウといった一流アーティストを手掛け多忙を極める作編曲家。今回の企画の呼び掛け人でもある。エンジニアはカニエ・ウエスト作品でグラミー賞ノミネート暦もある関根青磁氏。最近では m-flo や布袋寅泰を手掛けている気鋭の才人。中西氏があらかじめ制作した 30tr に及ぶ Cubase プロジェクトファイルが持ち込まれ、楽器、ボーカルの録音、ミックスといった流れでレコーディングは開始。 

ギター、ストリングス、ボーカルのレコーディング

まず始めにガットギターのレコーディング。AKG C451EB と Sanken CU-41 の2本のマイクがチョイスされ、MR816 CSX にインプット。今回のレコーディングでは、コンソール SL6000G はモニター時のみに使用され、基本的には MR816 CSX に直入力。マイクプリ、A/D コンバーターの特徴を十二分に生かすというコンセプトだ。録音はギタリスト遠山哲朗の卓越した演奏テクニック、センスもあってスムーズに進行。「中域から高域にかけて伸びのある音質」と MR816 CSX の評価。まずまずのスタートだ。 

次は弦一徹ストリングスによる 1st/2nd バイオリン、ビオラ、チェロのカルテット。各楽器のマイクは位相や S/N を揃えるためにも Neumann U87Ai で統一。定番のコンデンサーマイクだ。アンビエンス用には無指向性の DPA 4007 を中央にステレオで設置。これらのマイキングを経てレコーディング開始。比類ない表現力と一体感に裏づけされた確かな演奏により、わずか3、4回のセッションを経てストリングスラインの美しさは至極へ。ただただ脱帽である。音の方もハイエンド、空気感までしっかり録れている。 MR816 CSX と U87Ai との相性の良さも実証されたようだ。

最後に CHIHIRO によるボーカルレコーディング。マイクには Sony C800G が選択された。CHIHIRO のつややかな声質にベストマッチと判断。ここで特筆すべきはモニタリング リバーブに MR816 CSX の真骨頂とも言える DSP エフェクト REV-X が使用されたことだ。REV-X の実力は DM2000 や SPX2000 等の業界 PA 機器でも証明されている通りだが、アウトボードを用いずに MR816 CSX のみで完結するこのシンプルさは現場で重宝されるだろう。録音されたボーカルは中域の伸びが印象的。この点もまさに MR816 CSX の特徴の1つで、先行モデルである Yamaha デジタルミキシングスタジオ n12 と同様、充実したアナログ回路設計による。プリアンプはディスクリート方式 Class-A "D-Pre"、そのヘッドアンプ部には高級オーディオに使用されるインバーテッドダーリントン回路を採用。音質に抜かりは無い。

MR816 CSX の DSP エフェクト、コントローラー CC121 をフルに活用したミックス

深夜まで及んだレコーディングの翌日にミックスは行われた。関根氏の目指すサウンドは「ヒップホップ色の強い本場アメリカの R&B」。使用エフェクトは Cubase 4.5 標準搭載の VST プラグイン、そして MR816 CSX 内蔵の DSP エフェクトだ。ボーカルレコーディング時にも使用された REV-X リバーブはパーカッション系に使用、そして MR816 CSX のもうひとつの目玉である Sweet Spot Morphing Channel Strip は、リズム系を中心に積極的に使用された。ここで登場するのが Cubase/Nuendo 専用のリモートコントローラー CC121。関根氏は正面のディスプレイに集中したまま、右手にマウス、左手に CC121 という作業スタイルによって、快適なワークフローを実現。ムービングフェーダー、AI ノブは作業効率に大きく貢献していた。話は前後するが、今回のプロジェクトに際して、MR816 CSX は3台持ち込まれている。3台スタックすることで、 DSP エフェクトを存分に使用するためだ。MR816 シリーズは CSX/X モデル混在で最大3台までスタックし、入出力、DSP エフェクトを増強できるという高い拡張性を実現している。

コラボレーションにより生まれた名曲 "Lonely" 完成

こうして生まれた珠玉のバラード "Lonely"。楽曲の素晴らしさはさることながら、完成したサウンドは Cubase 4.5、MR816 CSX のサウンドキャラクターをストレートに表現している。是非 CHIHIRO の CD を、あなたの耳で確認して欲しい。なお、レコーディングの詳細は、サウンド&レコーディングマガジン2008年11月号でも記事化されている。是非併せてチェックを。

 

"Lonely" が収録された CHIHIRO の 1st シングル

【CD】 XQBZ-1008 1,500 yen (tax in) (Remix Special 盤)