世界の Goh Hotoda が語る、WaveLab と現代のマスタリング術
日本を拠点に、ワールドワイドな活動を続けるエンジニア / プロデューサー、Goh Hotoda さん。1970年代後半にアメリカ・シカゴでキャリアをスタートさせた Hotoda さんは、『Jack Your Body』をはじめとするダンスミュージックの歴史的作品を数多く手がけた後、1986年にはニューヨークに拠点を移して活動を開始。彼の地では、伝説のプロデューサー、シェップ・ペティボーンとタッグを組み、ジャネット・ジャクソンやペット・ショップ・ボーイズ、デュラン・デュランといったトップ・アーティストの作品を数多く世に送り出しました。その中の1曲、マドンナの『Vogue』は、ハウスミュージックのエッセンスをいち早く取り入れたポップチューンとして、世界的な大ヒットを記録。この曲によって Hotoda さんの名前は、世界中の業界関係者の間に広く知れ渡ることになりました。その後も、デペッシュ・モードやビョーク、マーカス・ミラー、坂本龍一、宇多田ヒカルといったアーティストの作品を数多く手がけ、チャカ・カーンの『The Woman I Am』(1992年)とデイヴィッド・サンボーン『Inside』(1999年)という2枚の作品ではグラミーも受賞。Hotoda さんがこれまでに手がけた作品の総売上枚数は、実に7,000万枚にも及びます。
2005年に帰国して以降は、自宅の地下に開設した本格的なプライベートスタジオ、"Studio GO and NOKKO" をホームグラウンドに仕事をこなしている Hotoda さんですが、最近ではレコーディング / ミックスだけでなく、マスタリングの仕事も数多く手がけています。そんな Hotoda さんのマスタリング時のメインツールとして活躍しているのが、Steinberg WaveLab。約2年前から WaveLab を愛用しているという Hotoda さんは、"音質が良く、使い勝手もいい" とその能力を高く評価しています。そこで我々は、"世界のGoh Hotoda" はなぜ数あるマスタリングツールの中から WaveLab をチョイスしたのか、そして実際にどのようなフローでマスタリングをこなしているのか、じっくりと話を伺ってみることにしました。
WaveLab と Pro Tools を同じコンピューターに立ち上げて同時に使用
― Hotoda さんと言えば、エンジニア/プロデューサーとして世界的に知られている存在です。そんな Hotoda さんが、マスタリングの仕事を手がけるようになったのは?
クライアント側からマスタリングまでやってほしいという要望が以前からあり、ぼく自身も自分で最後までやってしまった方が早いような感じもしていたので、それだったらということで3年くらい前に始めてみたんですよ。最近は予算が限られたインディーの作品に関わる機会も増えているんですが、しっかりとしたマスタリングスタジオに頼むとけっこう高いじゃないですか。もちろん、その価格に見合うだけのクオリティで仕上がってくれれば文句は無いわけですけど、実際にはそうではない場合もあったりして(笑)。だったら自分でやった方がいいんじゃないかと思ったんです。
― ニューヨーク時代は、マスタリングを手がけられることもあったんですか?
いいえ、まったくやったことはありませんでした。Sterling Sound のテッド(・ジェンセン)とか、マスタリングを生業としている友人は何人もいたので、彼らの作業を見ていて、その仕事自体には興味はあったんですけどね。当時のマスタリングは、今と違って高いお金を払って頼むだけの価値がありましたから。Masterdisk のボブ・ラドウィックとか、本当に凄かったですよ。でも最近は、海外の著名なマスタリングスタジオも、音楽配信やストリーミング配信を強く意識した音作りになっているんですよね…(パソコンを指差しながら)こういうスピーカーでもジャカジャカ鳴るような音作りに(笑)。実は先日リリースした NOKKO さんの新作も、最初は海外の著名なエンジニアにマスタリングをお願いしようと思っていたんですよ。でも、高いお金を払ってそんな音にされたらたまらないので(笑)、結局自分でやることにしたんです。
― マスタリングを手がけるにあたって、まずはソフトウェアを手に入れられたんですか?
そうですね。ニューヨークの友人が使っていたこともあって、最初は WaveLab ではない別のマスタリングソフトウェアを試してみたんですよ。でも、何か自分には合わなくて、結局そのソフトウェアは NOKKO さんのシングル、『ゆうぐれなき(don't cry baby)』(2011年発表の作品)で使っただけでした。マスタリングと言っても、本当に DDP で書き出しただけでしたけどね。
それで他に良いマスタリングソフトウェアはないかなと思って、知り合いから薦められて出会ったのが、WaveLab だったんです。これまで、Steinberg のソフトウェアはほとんど使ったことがなかったので、WaveLab に関してもよく知らなかったんですが、調べてみたら海外でも導入しているスタジオが多くて。実際に試したみたところ、なかなか使いやすく、メーターの表示も速くて見やすかったので、これはいいなと思って本格的に使ってみることにしたんです。それと Steinberg は、サポートが優秀なのも大きいですね。わからないことがあれば、すぐに答えてくれますし。ぼくは Pro Tools は英語で使っているんですが、WaveLab に関しては日本の Steinberg のサポートスタッフとコミュニケーションするために日本語で使っています(笑)。
そんな感じで WaveLab を使ってマスタリングを始め、これまでに NOKKO さんの3枚のアルバム、『The Christmas Songs』、『THE NOKKO STORY』、『もうすぐクリスマス』、宮古島在住の音楽家である下地暁さんの『Myahk』、スペインのジャズベーシストのマティアス・エイセンのソロアルバム『PUZZLE』といった作品を手がけました。
これらはすべて、 WaveLab でマスタリングしたものです。WaveLab は、エラーチェック機能も正確ですし、書き出された DDP のデータもまったく問題無いので、業務スタジオと変わらないマスタリングを行うことができますね。
― 作品によって違ってくるとは思うんですが、Hotoda さんのマスタリングの基本フローをおしえてください。
まずは Pro Tools|HDX システムで作ったミックスファイルを、32bit 浮動小数点ファイルのまま WaveLab にインポートします。そして PQ データを入力して、曲間を調整した後、ぼくの場合は Waves L3-16 をインサートして、ディザーしつつリミッターをかけてしまうんですよ。リミッターと言っても、いわゆるマキシマイザー的に使うのではなく、そこではレベルの微調整を行う。やっぱり、複数の楽曲を並べて聴くと、レベルの差が気になるところが出てきますからね。もちろん、問題無い場合は触らないことも多いです。そして完成したら、DDP に書き出して終了という感じですね。ですから WaveLab での作業は、すごくシンプルで、そんなに時間はかからないですよ。
― WaveLab 上での処理は、レベルの微調整だけで、EQなどは使用されないのでしょうか?
そういった処理は、ぼくの場合はすべて Pro Tools 側でやるんです。マスタリング作業に移行した後に、EQ を使って補正した方がいいかなと思った場合は、WaveLab でプラグインをインサートして処理するのではなく、再度 Pro Tools に戻ってミックスをやり直すんですよ。もちろん、WaveLab 上でプラグインをインサートすれば、いろいろ出来るんでしょうけど、そこでいろいろ触るとファイルの解像度に影響を与えてしまうので、ぼくの場合は Pro Tools に戻って修正するんです。これは、ミックスとマスタリングの両方を同じ人間が同じ場所でやっているからこそのテクニックですよね。これまで、マスタリングのときに "何でこんな簡単なことができないんだろう" と思うことが少なくなかったんですけど、そのほとんどは単純にミックスに戻れば解決するんですよ。
― 気になる部分があった場合は、マスタリングを中断して、ミックスに戻ると…。
そういうことです。そのためにぼくは、WaveLab と Pro Tools を同じ Mac で、同時に立ち上げて使用しているんですよ。もちろん、同じオーディオインターフェースを使うことはできないので、Pro Tools 用には HDX のハードウェア、WaveLab 用には専用のオーディオインターフェースを用意して。Pro Tools の HD I/O と、WaveLab 用のオーディオインターフェースは、両方とも Apogee のマスタークロックで動作していて、なおかつ内蔵の DA コンバーターは使用せず、どちらも Lavry の DA10 や Apogee PSX100 といった外部の DA コンバーターに繋がっているんです。ですから、Pro Tools の出力と WaveLab の出力を、同じ環境で完璧に聴き比べられるようになっているんですよ。
― Pro Tools と WaveLab を同じコンピューターで、しかも同時に立ち上げて問題は無いのでしょうか?
最初はぼくもダメかなと思ったんですが、まったく問題ありませんね。これは他のマスタリングソフトウェアではわからないですけど。もしかしたら WaveLab の設計が、しっかりしているから大丈夫なのかもしれないですけどね。あと凄いのが、同じコンピューターなので、プラグインも共有できるんですよ。Waves のプラグインを、Pro Tools と WaveLab の両方で、同時に使うことができるんです。WaveLab 専用にコンピューターを用意してしまうと、またプラグインを買い直さなければなりませんが、同じコンピューターで使えばその辺りも問題無いんです。オーディオファイルのインポートやエクスポートもラクに行えますし、プラグインのプリセットも共有できる。ミックスとマスタリングの両方を手がけるのであれば、これはオススメの使い方ですよ。
マスタリングのときは、しっかりとしたスピーカーで、なるべく大音量で聴く
― WaveLab 上では、L3-16 を使って最低限の処理しか行わないとのことですが、Pro Tools 上でプリマスタリング的な処理を行うのでしょうか?
そうですね。brainworx のプラグインやアナログのアウトボード類を使って音をトリートメントしています。プラグインは、bx_digital や bx_XL、UAD の Shadow Hills Mastering Compressor など、アウトボードは、Neve 33609/C や Mode Machines FairComp-670 といったものを使っていますね。EQ はデジタルの方が良かったりするのでプラグインで処理して、コンプレッサーはアナログという感じになっています。そしてこれらは Pro Tools のマスタートラックにインサートして使っていますね。
― マスタリング前の2ミックスのレベルはどれくらいでしょうか。
そんなに高くないですね。というより、かなり低い方だと思います。マスタートラックにコンプレッサーはインサートしますけど、いわゆるレベルマキシマイザーの類はインサートしません。つまり、音作りはしますが、そこでレベルの嵩上げはしないということですね。
― WaveLab 上で唯一使用されるというプラグイン、L3-16 の使い方について詳しく教えてください。
最終段でリミッターとして使えるプラグインをいろいろ試したんですけど、その中では L3-16 がいちばん良かったんです。L3-16 の使い方としては、先ほどもお話ししたとおり、ディザー兼リミッターという感じですね。基本的なレベルは、Pro Tools の中で作っているわけなので、L3-16 では全体的な引っかかり……例えばローがちょっと足りないとかプレゼンスをもうちょっと出したいとか、そういう気になった部分を最後に微調整するわけですよ。すべての楽曲が通して違和感なく聴けるように。
具体的な設定としては、Threshold が -4~-5 くらいで、-6 までいくことはないですね。右側のバンドごとのかかりの設定は基本フラットで、ディザーは 16bit にしてクォンタイズする。クォンタイズの設定も、基本はデフォルトのままですね。あと L3-16 は、Release Charactor が選べるんですが、それは楽曲に合わせて選んでいます。"Analog" を選ぶと、ちょっと音が籠った感じになるんですけど、楽曲によってはそれくらいの方が聴きやすかったりしますね。このパラメーターだけで、かなり音は変わりますよ。
― そして L3-16 以外のプラグインは、ファイルの解像度に影響を与えてしまうため、使用しないと…。
WaveLab にもインサートスロットがたくさん備わっているので、最初はいろいろ試してみたんですよ。Waves の DeEsser を使っていた時期も少しありましたね。でも、マスタリング段でいろいろなことをしてしまうと、そういった処理が必要な曲もあれば、不要な曲もあるので良くないんです。それだったらと、WaveLab はファイルごとにプラグインをかけることもできるので、その方法も試してみたんですが、そうするとプラグインを使った曲と使わなかった曲との音質の差が激しくて。EQ で微妙にハイを持ち上げただけでも、前の楽曲と合わなかったり。そういった試行錯誤があって、最終的に "マスタリング時は極力音をいじらない方がいい" という結論に至ったというわけです。何か問題を感じたら、Pro Tools に戻って修正すると。でも、L3-16 のようなリミッターだけは WaveLab 上で使った方がいいんですよ。リミッターをトータルでかけないと、楽曲ごとにバラバラになってしまって、全体の流れが損なわれてしまうんです。
― Hotoda さんのやり方とは真逆の、マスタリングでいろいろ処理するというやり方もありますよね。
ひどい場合だと、マルチバンドのコンプレッサーを襷がけにして処理したりして(笑)。そんな処理をしたら、不要な音まで上がってしまいますし、音がグチャグチャになってしまいますよ。ミックスエンジニアが一生懸命作ったサウンドが壊れてしまう。もちろん、ひどいミックスの場合は、そういうやり方もありなのかもしれませんけどね(笑)。
マスタリングで音を作り替えてしまうエンジニアは昔からいたんですよ。例えば、昔よく一緒に仕事をしたボブ・ラドウィックとか凄かったですよ。自作のマルチバンドのコンプレッサーや倍音を足す機械なんかをインサートして、さらにはヤマハの REV7 なんかを使ってリバーブまで足してしまうんです(笑)。もうそうなると全然違うものですよね。でも、当時の Masterdisk には、そこに頼むだけの価値があったんですよ。たぶん、ボブがマスタリングでのマルチバンドダイナミクス処理を始めた最初の人だと思うんですけど、ローはコンプレッションされた締まった音で、高域だけがパーッと広がったサウンドになっているんです。
― マスタリングをする上でのコツがあれば、おしえていただけますか。
やっぱりマスタリングは難しいですよ。ミックスしているときは迫力のある音だなと思っていたのに、マスタリング段になると "あれ、こんなに音が細かったっけ" ということがよくあります。絶対にミックスのままの音にはならないですから。
ぼくが重視しているのは、リスニングチェックですね。ぼくの場合、バージョン違いの CD-R を10枚くらい作って、カーオーディオでチェックするんですよ。どこで歪むとか、どこで低音がダメになるかという部分を念入りにチェックする。それで気になる部分があったなら、スタジオに戻ってまた修正するんです。
― 愛車のオーディオセットは凝られているんですか?
いえいえ、普通のスピーカーですよ。前のクルマには、Mark Levinson のスピーカーが入っていて、すごく良い音がしていたんですけど。今のクルマは本当に普通ですね。でも、ぼくには良いチェック環境なんです。
でも、音をチェックするのは、スタジオのメインスピーカーの ProAc とカーオーディオだけで、いろいろなスピーカーで聴くのはダメですね。ちゃんとしたスピーカーとカーオーディオくらいにしておかないとダメです。たまにパソコン内蔵のスピーカーでチェックする人もいるみたいですけど、ああいうもので聴くとどんどん音が小さくなってしまいますから。ラジカセや iPod もそう。ヘッドフォンに関しても、ミックスのときはチェック用に使いますけど、マスタリングのときはほとんど使わないですね。
― なるべくしっかりとしたスピーカーで、大きな音で聴かないとダメだと。
そういうことです。おもしろい話をすると、DC オフセットってあるじゃないですか。たまに DC オフセットが入ってしまっているファイルが届くことがあるんですけど、そういったファイルを大音量で再生すると、バツンといって一発でアンプのヒューズがとんでしまうんです(笑)。ぼくも最初は何が起きたのかわからなかったんですけど、後でファイルをチェックしてみると、落ちる部分に必ず DC オフセットが入っているんですよ。しかしそれも、小さい音ではわからない。大きな音で聴くと、アンプが飛んでしまうのでわかるんです(笑)。そして Waves の X-Hum とかを使って DC オフセットを除去すると。
でも、マスタリング段で DC オフセットを除去すると、ミックスがかなり変わってしまうんですよね。だからマスタリングエンジニアは一生懸命 EQ を使って補正するわけですけど。でも、ぼくのような環境だったら、ミックスに戻ることができますから。
DC オフセットって、意外と入っているものなんですよ。特に最近は、マンションの一室とかをスタジオにしての作業が増えているので。ヘッドフォンだとまったくわからないので、気をつけた方がいいですよね。
WaveLab はバージョン8になって、さらに使いやすくなった
― 最近流行のハイレゾとか DSD に関しては、Hotoda さんはどういったスタンスですか?
DSD に関しては、スタジオで使ったのはすごく早かったんです。ソニーが SONOMA という DSD レコーダー / エディターのプロトタイプをスタジオに持って来て、"ぜひ試してみてください" と言われて。ぼくも興味津々だったので、すぐに試してみたんですが、当時の DSD レコーダーにはしっかりとしたデジタルメーターが備わってなかったんですよ。確か、赤・黄・青の3色表示で、"赤色のランプが点灯したときは、DSD なので歪みはしないんですけど、音は記録されません" とか言われて(笑)、なんだかすごく面倒なフォーマットだなと思ったのを憶えてますね。
その後も DSD に関しては、何度も試してはいるんですが、ぼくはダメですね。これは最初から変わらない印象なんですけど、DSD って掴みどころのない音なんですよ。それと DSD をマスターにしてしまうと、44.1kHz にしたときにあまりにも失われるものが多い。何か情報が1/10くらいになってしまった感じというか。必ず "え、こんなはずじゃなかった" ということになる(笑)。DSD の音を聴いているぶんには、確かに歪まないですし、低音もスピーカーの限界近く入っている感じがするんですけどね。でも、44.1kHz にしたときの落差が激しいんです。それだったら、最初からマスターも 44.1kHz の PCM で録っておいた方が、マスタリング後のサウンドと印象が変わらない感じがしますね。
DSD に関しては、ぼくにとっては非現実的なフォーマットという感じですかね。DSD 配信とかも、聴く環境が整っていない状況ではどうなのかなと。でも、最近ポータブルのヘッドフォンアンプを試す機会に恵まれて、そういうもので聴くぶんには DSD も悪くないのかなと思いました。ヘッドフォンで聴くので、耳に近いわけですから、DSD のクォンタイズしない感じが良かったですね。そういった楽しみ方ならば、DSD にも可能性があるのかもしれません。
今回、NOKKO さんの新作をリリースした shiosai レーベルのオーナーである石原さん(石原忍氏)からも、"こんどはハイレゾでやってみましょうか" と言われたんですけど、ぼくはハイレゾだったらアナログレコードの方に興味がありますね。そちらの方が大きなジャケットも作れますし(笑)。
― DAW もそうですが、マスタリングソフトウェアも音質の違いが語られたりします。率直に WaveLab の音質はいかがですか?
まったく問題ないですね。Pro Tools|HDX システムと併用していても、違和感は感じません。ぼくはソフトウェアによる音質の変化よりも、サンプルレートの違いによる音質の変化を考慮した方がいいと思いますね。Pro Tools で 96kHz とか 48kHz で作業していたものを、WaveLab で 44.1kHz で再生したら音が違うというのは当たり前の話ですよ(笑)。
― Hotoda さんのスタジオも、最近 WaveLab をバージョン8にアップデートされたそうですね。
メインの Mac Pro の OS がちょっと古かったので我慢していたんですが、仕事も一段落したので、新しい OS をインストールするのと同時に、WaveLab もアップデートしました。まだ、ちょこちょこ触っている段階なんですが、全体にユーザーインターフェースがさらに使いやすくなっている印象でいいですね。例えばフェーダーの下のスピーカーのアイコンをクリックすると、すぐに VST Audio Connection が開くようになっていたりとか。そこでボタンひとつでスピーカーの切り替えができるようになったのが便利そうですね。あとは新たに備わったツールバーも重宝しそうです。パッと聴いた感じでは、音質はこれまでと変わらない印象なので安心しました。
― 今後、マスタリングの仕事はさらに増えていきそうですね。
そうですね。だから今年はスタジオをリニューアルしようと考えているんですよ。
Pro Tools 用のコントロールサーフェスをもっとコンパクトなものに入れ替えて、空いたスペースにアウトボードを置こうかなと。そうすれば、スピーカーに対したポジションで、アウトボードが使えるじゃないですか。もちろん、WaveLab は引き続き使っていく予定ですよ。