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1987年、沖縄県生まれの『Nagomu Tamaki』(MarginalRec.所属)さんは、「Charisma.com」「Yun*chi」「EMERGENCY」など数多くの人気急上昇中アーティストのトラックメイクや、「Rasmus Faber」「清木場俊介」などのリミックスを手がける新進気鋭のトラックメイカー / リミキサーです。また、DJ としても精力的に活動されており、オリジナル楽曲も織り交ぜたライブセットもこなすスタイルで、日本にとどまらず世界のクラブシーンを沸かせています。本インタビューでは、そんな Tamaki さんのホームグランドでもある秋葉原のクラブ「MOGRA」にて、音楽制作ソフトウェア Cubase を中心とした、同氏の制作環境について詳細に語っていただきました。

(取材協力:MOGRA・秋葉原

DTM や音楽がとても身近にあったのは幸運でした

− Tamaki さんは、トラックメイカー / リミキサーであり、DJ として活躍されているわけですが、その音楽のルーツはどのようなものなのでしょうか?

音楽制作に興味を持つキッカケは、沖縄の実家がピアノ教室をやっていたこと、そして父が音楽関連の仕事をしており、幸運にも自宅に DTM のためのコンピューターや音源があった影響が大きいと思います。とはいっても、僕自身ピアノは弾けるというレベルに達する前に早々と挫折してしまいまして…(笑)。 その後、ヤマハの音楽教室でドラムをしばらく習わせてもらっていました。家では、小学生のころから、父が仕事で使う DTM 機材を見よう見まねで触ったりして、最初はパソコンゲームや遊びの延長線上といった感じで、DTM も楽しんでいました。

− 最初に触られた DTM 環境とは、どのようなものだったのでしょうか? DTM では、すぐにオリジナルソングなどを作り始められたのですか?

本格的に DTM を始めたのは中学生の頃で、初めて触れたのは、ヤマハの XG Works というシーケンサーソフトウェアでした。音源は、同じくヤマハの MU128 という弁当箱サイズの DTM 音源。それから、他にもいくつか音源があったので、それらを同時にシーケンサーから鳴らして音楽制作していました。最初は、好きな曲の耳コピーから始めて、いつのまにか自然とオリジナル曲を作るようになっていました。マニュアルなどはほとんど読まないタイプなので、習うより慣れろの精神でソフトも音源も、いじり倒して覚えてきました(笑)。

− MIDI の打ち込みを中心とした Tamaki さんの制作スタイルが、オーディオデータなども駆使したサウンドへと変化していく過程について教えてください。

高校時代は、個人的にハウスやユーロビートといったダンスミュージックに傾倒しており、作成する楽曲もダンスミュージックへと変化していったんです。必然的にサンプリングなどのサウンドが欲しくなるわけですが、当時はなかなかサンプラーなども入手するのが難しかったので…。苦肉の策として、使用しているコンピューターに搭載されてたサウンドカードを使ってサンプラー的サウンドを再現していました。その頃から作りためた膨大な数のサウンドライブラリ(SoundFont 形式)は、今でも愛用しておりトラックメイクの際の大きな助けになっています!

MIDI 入力のしやすさも Cubase の大きな魅力!

− では、Cubase を導入するに至った理由は、オーディオデータの取り扱いなどの対するアドバンテージを考慮されてのことだったのでしょうか?

ボーカルレコーディングなどの機会が増えたこともあり、よりシンプルかつ直感的にオーディオデータを扱えるソフトウェアを模索する中で出会ったのが Cubase でした。ただし、慣れ親しんだ XGWorks と同等のピアノロール画面の視認性や MIDI 入力の操作性なども決して譲れない条件だったので、優れたオーディオ機能はもちろん、MIDI 入力のしやすさも Cubase を選んだ非常に大きなポイントです。今では、鍵盤で弾くよりマウスで入力するほうが、思ったフレーズを打ち込むのが早いくらい Cubase の MIDI レコーディング機能は、僕にとってなくてはならない必須のツールとなっています。

− Tamaki さんが、初めて Cubase に触れられた際の第一印象や、想い出などありましたら、ぜひ教えてください。

XGWorks から SOL を経て、Cubase を導入したのがバージョン5の頃だったと思います。それまでにも、いろいろ DAW はさわってみたのですが、MIDI の打ち込みの感覚やユーザーインターフェース、操作性など MIDI トラックの作成を重視する自分にシックリきたのが Cubase だったんです。第一印象としては、まず MIDI やオーディオの録音・編集の自由度の高さに驚かされました。それまでの作業上のストレスがいっきに解消した感じ(笑)! しかし、ミキサー関連のルーティング機能など、やや複雑なスタジオ的手法には慣れるまでかなり戸惑ったのも、今では懐かしい想い出です。

− 音楽制作の過程で、実際によく使われている Cubase のプラグインや、お気に入り機能などはありますか?

ボーカルのピッチやタイミングの修正などでは、VariAudio 機能がいつも大活躍してくれます。また、個人的には、ラックインストゥルメントとして、HALion や GrooveAgent といったマルチパート対応の音源を設定することで、プラグイン数の節約と同時に、各パートをチャンネル毎にパラレル出力させてミキシングするなどして活用しています。CPU 負荷の大幅な低減と、制作作業の効率化にも繋がるので、とてもオススメの機能です! プラグインエフェクト関連では、付属のコンプレッサーを愛用しており、動作も軽く気兼ねなくトラック毎にガシガシかけられるのがいいですね。それから、リバーブも REVelation のサウンドが気に入っているので、よく使用しています。

スタジオでもモバイルでも変わらない制作環境を実現

− 今回のインタビューにもお持ちいただきましたが、 Cubase をインストールした Surface Pro を制作環境として選ばれた理由についてお聞かせください。

基本的には、Cubase + Surface Pro の組み合わせが現在の僕のメインの制作環境と思っていただいて間違いありません。自宅スタジオでは、これらに加えてオーディオインターフェースや外付けのディスプレイ、MIDI キーボードなどを接続しています。スケジュール的にも、地方や海外でのイベントなど移動が多いため、出先でもストレスフリーで本格的な音楽制作ができる、シンプルかつフレキシブルな制作環境の構築を目指しました。3年程前からこのシステムに移行したのですが、モバイルでも Surface Pro 1台を持ち出すだけで、いつでどこでも自宅スタジオとほぼ変わらない環境を再現できるようになったのが最大のメリットですね。また、音源や楽曲、各種書類などを含むモバイルハードディスクも一緒に持ち歩いているので、どんな状況にも即座に対応が可能となっています!

− 長年の Cubase ユーザーである Tamaki さんが、今後の Cubase に期待するのは、どのような進化でしょうか?

最新バージョンである Cubase 8 では、クリエイターの痒いところに手が届くような機能も数多く搭載され、十分過ぎるくらい便利になりました! ぜひ、これからもクリエイター目線の進化に期待したいです! また、個人的には、最近ではやや影の薄い MIDI 関連の新機能や、モバイルで作業を行う機会も多いのでドングルによるプロテクションがもう少し柔軟な運用が可能になると嬉しいですね。なお、Sueface ユーザーとしては、ペンタッチやマルチタッチなどの新たな入力方法にも、インターフェースが最適化されると面白いかもしれないなと思ってます。あ、Cubase 7 からなくなってしまった Monologue も、ぜひ復活をよろしくお願いします(笑)!

− それでは、最後に読者の皆様へのメッセージと、今後のご自身の活動についてコメントをお願いします。

Cubase なら、作曲、編曲、ミックス、マスタリングといった音楽制作に必要なすべての作業を1つのソフトウェアで完結できます。僕も、個人のプロジェクトなどでは「完パケ」まで Cubase だけで作り込んでしまうことが多いのが現状です。こういったシンプルかつパワフルな制作環境は、これから音楽制作を始めたい初心者の方々にこそ最適だと思いますので、ぜひ一度触れてみることをオススメします!

2015年7月には、ロサンゼルスの Anime Expo 「AXDANCE」に出演させていただくなど、さらに活動の幅を広げることができました。また、10月には個人名義のアルバム「GRAVITY EP」がリリースとなっていますので、ぜひよろければお聴きいただければ幸いです!今後も、日本各地はもとより世界中どこでも、お声がかかれば飛んで行くタイプの DJ/トラックメイカーとして、既存の枠にとらわれることなく幅広く活動していきますので、皆様ぜひ応援よろしくお願いします。

リリース情報

  • 10/14に『GRAVITY EP』がリリース!
    5曲入りで600円。
    itunes