Steinberg Media Technologies GmbH

Creativity First

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浅田祐介 U-ske Asada

— マルチ・マイク収録のブリード系アコースティック・ドラムが抜群に良い

 ついにドラム音源の真打ちが登場したという感じです。さっそく使い倒していますが、すごく良いなと感じているのは、アコースティック・ドラム、エレクトロニック・ドラム、パーカッションの3つの音源を1本でまかなえるところ。これまではそれぞれ音源を立ち上げる必要があったので、面倒だなと感じることも多々あったんですが、Groove Agent 4 では1本ですべてをまかなえるのでとても便利ですね。さっそく DAW の作曲用テンプレートに、Groove Agent 4 を入れてしまいましたよ。

 肝心の音色は、さすがは Steinberg という感じで、即戦力となるサウンドが揃っています。中でも気に入ったのが、マルチ・マイクで収録したブリード系のアコースティック・ドラムで、これが抜群に良いんですよ。ブリード系のドラム音源って、加工していない素の音のものと、ある程度音作りがしてあるもの、大きく2種類に分かれると思うんですが、Groove Agent 4 に収録されているのは後者。加工していない素の音は自由度は高い反面、いちいち加工するのが面倒なときも多々あるので、Groove Agent 4 のある程度音作りがしてある音色は非常に重宝しますね。しかもきっちりレンジが切り分けられているのでとても使いやすいんです。特にパーカッション系の音を一緒に使うとその傾向が顕著に分かるんですが、抜けていたパズルのパーツがハマっていくような快感がありますよ。エレクトロニック系の音色も従来の Groove Agent 同様、抜けがすごく良くて、特にキックの質感が素晴らしい。これ1本でリズム系の音色をすべてまかなうことができる、間違いなく即戦力となってくれる音源です。

浅田祐介(あさだ・ゆうすけ)。1968年生、東京都出身。プロデューサー/作曲家/編曲家。1991年、Chara のプロデュース/楽曲提供で作家デビュー。以降、キマグレン、Kinki Kids、織田裕二、CHEMISTRY、Yun*chi など、多くのアーティストの作品を手がける。並行して90年代後半は4枚のアルバムを発表するなど、ソロ・アーティストとしても活動。日本テレビ『歌スタ!!』にレギュラー出演するなど、テレビやラジオへの出演も多い。

イトケン Itoken

— ドラマーに叩いてもらったかのようなグルーヴをガツンと作り出すことができる

 ぼくは普段、ドラマー/パーカッショニストとしても活動しているのですが、制作系の仕事やソロ名義の作品ではあえて自分では叩かず、音源やヴィンテージのリズム・マシンなどを使って打ち込むことも多いんです。 今回、Groove Agent 4 を使用して最初に感じたのが、自分でパターンを組むことによって即戦力のドラム/パーカッションを作ることができるということ。つまりオリジナルのパターンを組むことが、この音源を使いこなす上での肝と言えそうです。

 その点、Groove Agent 4 にはスタイルプレーヤーでオリジナルのパターンを組むための優れた機能がたくさん備わっています。たとえば、Percussion Agent の Performance セクション。このセクションにある、パーツごとにリズムの激しさをランダムに変更する Random という機能がとても気持ちいいんです。この Random と Groove Offset を駆使してリズムをスリップさせれば、まるでパーカッショニストに叩いてもらったかのようなグルーヴをガツンと作り出すことができます。パラメーターを細かくオートメーションでコントロールすることで、狙った演奏に追い込むこともできますし、これは本当にハマりますよ。

 また、Acoustic Agent では Bleed というパラメーターを使って音色をブレンドすることができるのですが、これはドラマーとしてはたまらない機能ですね。自分のドラムの共鳴具合をシミュレーションしてみたり。あとは MIDI FX の Rudiments も素晴らしいです。Rudimentsでは、Flam、Drag、Ruff、Roll、Buzz を複数選択することができるのですが、これらをオートメーションすれば、細かいニュアンスを楽に再現することができます。これまでは一音一音ベロシティで調整したり、細かくパッドで打ち込んでいたのが、これによって一発で作ることができる。凄い時代になったものだと感動している次第です。

イトケン(いとけん)。へなちょこ音楽家/ドラマー/打楽器奏者。Harpy、zuppa di pesce などのバンドを率いるほか、d.v.d、山田稔明、あがた森魚、トクマルシューゴ、栗コーダーポップスオーケストラ、相対性理論、蓮沼執太フィルなどなど、様々なユニットに参加。その他、玩具や電子楽器を用いたソロ作品も発表しており、これまで玩具楽器を使ったファースト・アルバム、電子楽器を使ったセカンド・アルバム、ライブ音源を集めたサード・アルバム をリリース。また、NHK 子供番組への楽曲提供をはじめ、ゲームや CM、Web アニメーションなどの音楽制作を行うなど、その活動は多岐に渡っている。

www.itoken-web.com

景山将太 Shota Kageyama

— 総合音源なのに "使える" サウンドが満載というのが凄い

 ドラム音源に関しては、これまでたくさんの製品を使用してきましたが、また新しいコンセプトの音源が登場したなという印象です。Groove Agent 4 は、アコースティック系からエレクトロニック系、パーカッション系に至るまで、様々な音色が収録されている総合的なドラム音源なのですが、この製品が凄いのはどの音色も高品位で "使える" サウンドであるということ。何でもできる総合音源は確かに便利なんですが、ものによっては各音色の作り込みがそれなりだったりするので、その点 Groove Agent 4 は "使える" サウンドが満載されているのが凄いですね。

 そしてユーザー・インターフェースが秀逸。自分が普段、HALion Sonic を愛用しているからか、マニュアルを読まずに直感的に操作することができました。シンプルでわかりやすいのもいいですし、膨大な音色の中から好みのサウンドにすぐに辿り着くことができる検索機能も強力。制作はスピードが命だったりするので、この使いやすいユーザー・インターフェースは本当に助かります。

 肝心の音色はと言えば、どの音もしっかり存在感があって抜けもよく、他の音色と上手く共存していい塩梅に混ざってくれます。デフォルトの音色は特にエディットをしなくても、そのまま使える感じで好印象。中でもエレクトロニック/ダンス系の音色は太く、パンチがあって、とても良い感じです。全体的にソリッドな音作りになっているのもいいですね。そしてこれが Groove Agent 4 の真骨頂だと思うんですが、最大4種類のキットを同時に使えるのがいい。例えば、アコースティック系のキットとエレクトロニック系のキットを同時に使えば、とてもカッコいいグルーヴを作り出すことができます。普通はこんなキット同士は混ぜないだろうというのを敢えて読み込んでみると、意外とその組み合わせが良かったり。使えば使うほど新しい発見がありますね。

 音色だけでなく、収録されているパターンも即戦力になるものばかりです。気に入ったパターンを組み合わせるだけで、あっという間にグルーヴが完成してしまう。頭の中で鳴っているイメージをすぐに人に伝えなければならないときは、このスピード感は重宝すると思います。本当にいろいろなパターンが収録されているので、DTM初心者の人はそれを研究すれば打ち込みの勉強になるかもしれません。

景山将太(かげやま・しょうた)。作曲家/編曲家。1982年生まれ、兵庫県西宮市出身。4歳よりクラシックピアノを始め、10歳から作曲を始める。2007年、『ルミナスアーク』で作曲家デビュー。以後ゲーム・ミュージックを中心に、様々な作品で作曲・編曲・サウンド・ディレクションを担当。有限会社プロキオン・スタジオ、株式会社ゲームフリークを経て、2014年1月に独立。音楽ブランド『SPICA MUSICA』(スピカムジカ)を設立した。代表作は、『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』、『ポケットモンスター X・Y』、『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』、『ポケットモンスター ジ・オリジン』、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』、『大乱闘スマッシュブラザーズ X』、『ルミナスアーク』、中川翔子『KISEKI』など。

http://www.shotakageyama.net/
http://www.spicamusica.net/

KEIZOmachine! (HIFANA)

— 最大4種類同時に扱えるキットの混ざり具合がとてもいい感じです

 僕は Groove Agent の大ファンで、バージョン2、3と愛用してきました。だから新しい Groove Agent 4 も楽しみにしていたんですが、中でも注目していたのはダンス系の音色がどれだけ強化されたのかということ。と言うのも、従来の Groove Agent は生ドラムの音色はもの凄く良かったんですが、ダンス系の音色に関しては少々弱いかなと感じていたんですよ。だからそのあたりを期待して Groove Agent 4 を試してみたんですけど、予想どおりというか、予想していた以上にダンス系の音色が強化されていて嬉しかったですね。具体的には即戦力となる音色がこれまで以上に増えている印象です。また、パーカッション系の音色は相変わらずいい。音色、グルーヴともに、作り手にインスピレーションを与えてくれるようなプリセットが多数収録されています。

 それと Groove Agent 4 は、最大4種類のキットを同時に扱えるようになったのが素晴らしい。各キットの混ざり具合もとてもいい感じです。リアルタイム・プレイの方法は、前バージョンと比べるとかなり変わった印象ですが、慣れるととても使いやすいですね。

 ドラム系の音源は、お気に入りのものがいくつかあったとしても、新製品が出ると気になって仕方ないんです。やっぱり音源によって得意とする音色やグルーヴが違うので……。新しい Groove Agent 4 は、使用してすぐにレギュラー入りしてしまいました。

KEIZOmachine! (けいぞうましーん)。Producer / DJ / 16pads Pusher / Percussionist / Killer Tune Digger。完全手動ブレイクビーツユニット HIFANA (ハイファナ)のメンバー。日本におけるフィンガードラミングのオリジネーター。HIFANA では音と映像が同期するプログラミングなしの LIVE を世界各地で行っている。ソロの DJ ではオールジャンルを MIX。エフェクト、スクラッチ、パッドを駆使した LIVE 感あふれる Killer プレイが特徴。また西アフリカの打楽器、アサラトの名手としても世界的に名高い。数々の Remix、プロデュースワーク、CM 音楽を手がける。最近ではモモクロや TEMPURA KIDS へ楽曲提供するなど幅広い音楽活動を行っている。

www.facebook.com/KEIZOmachine
www.youtube.com/user/kzomachine
www.hifana.com

SUI

— ここまで気持ちよくリアルタイム演奏できるドラム音源は、これまで存在しなかった

 みんな "これ1本あればリズム系はOK!" みたいな万能音源を探していると思うんですが、今回リリースされた Groove Agent 4 はまさにそんな製品という印象です。さっそく実践に投入しているのですが、最も感心しているのがその音楽的な使い勝手。Groove Agent 4 には即戦力となるパターンが多数収録されているのですが、イントロ〜フィル・イン〜バース〜展開〜サビといった楽曲を構成する要素に合ったパターンが、非常に上手くパッドに振り分けられているんですよ。MIDI キーボードを使えば、右手でパターン、左手でアドリブといったリズム演奏をリアルタイムに行うことができる。しかもパターンは体系的に整理されていて、ここまで気持ちよくリアルタイム演奏ができるドラム音源というのは、これまで存在しなかったのではないかと思います。

 使い勝手で言えば、Acoustic Agent に搭載されている Complexity / Intensity の XY モジュールも素晴らしいですね。これによってパターンの手数や強度を連続的に変化させることができるんです。何てことのないパターンも、この機能を使うことで、一気にソウルフルな演奏に変えることができる。そのリズムのヨレ具合が、ぼくが散々サンプリングしてきた古いレコードのグルーヴに近いんですよ。これは本当に使いでのある機能ですね。

 肝心のサウンドは、そんなに派手な音色が揃っているわけではないのですが、いかにも Steinberg らしい堅実なサウンドというか、楽曲の中で埋もれずハミ出さず、アンサンブル内でのリズム・パートをしっかり担ってくれるサウンドという印象です。ジャンルの偏りもない印象で、ヒップホップ、レゲエ、EDM、チルアウトなどのビート・ミュージックから、ポップス、ボサノヴァ、映画音楽に至るまで、全方位に対応できると思います。

 あとは何と言っても動作が軽快なのがいいですね。パッと立ち上げて、サクサク打ち込めるので既に業務で重宝しています。先日もクライアントに "このリズム、カッコいいですね!" と褒められたんですが、実は Groove Agent 4 のプリセットをちょっとエディットしただけのものだったり(笑)。本当に実用的で、この完成度の高さは感動ものですね。

SUI(すい)。コンポーザー/リミキサー/エンジニア(ミキシング/マスタリング)。ヒップホップ、ブレイクビーツ、EDM、ロックに精通。エンジニアリングからギター、ベースなどの演奏/プログラミングまでをすべて一人でこなすマルチ・プレイヤーでもあり、プログラミング以外の手法も柔軟に織り交ぜたプロダクション・スタイルは、メジャー/インディーズ問わず定評がある。近年では映像音楽も手掛けており、その活動範囲を広げている。

DE DE MOUSE

— ダンス系のプリセットは太くて存在感のある、いかにもドイツ製らしい硬派な音がする

 DAW やプラグインといった音楽制作系ソフトウェアの進化は、目を見張るものがあります。特にプラグインは、この10年で大きく進化しました。これまでプラグインというと、使いやすく、メンテナンス・フリーで、持ち運びもしやすいといった理由から重宝されてきた気がしますが、実は肝心のサウンド面においても、既に往年のハードウェアの名機を上回っているのかもしれません。それくらい目覚ましい進化を遂げていると感じます。

 新しい Groove Agent 4 も、これまでのバージョンと比べると、大幅にクオリティが向上している印象です。特にダンス系のプリセットは音が太く、凄く存在感があるというか、いかにもドイツ製らしい硬派な音がします。プリセットの内容も今風で、ダンス系の音色も良いのですが、個人的にはパーカッション系の音色とグルーヴがとても気に入りました。ドラム音源として、即使えるレベルに仕上がっていると感じます。一方、パターンはドラム・プログラミングのお手本になりそうなものがたくさん収録されています。どれも良く出来ているので、そのまま使ってもいいのですが、初心者の方は収録されているパターンを研究して、自分で打ち込んでみると、リズムの勉強になっていいのではないでしょうか。

 プロもアマチュアも同じクオリティのツールが使える今、"自分にしか作れない音" を追求することがとても重要だと改めて感じています。ツールに差は無いわけですから、あとは使い手の想像力次第。Groove Agent 4 は、きっと皆さんの想像力を掻き立て、音楽制作を手助けする良きパートナーになってくれるはずです。

DE DE MOUSE(ででまうす)。2000年代中盤からインディー・シーンで注目を集め始め、2006年に発表したファースト・アルバム『tide of stars』は、新人のインストゥルメンタル作品としては異例の大ヒットを記録。以降、精力的な制作活動とライブ活動を続け、日本のエレクトロニック・ミュージック・シーンの旗手として活躍している。2012年には自身のレーベル、not records を始動させ、同年10月にはアートワークや PV のディレクションなども自身でこなした4枚目のオリジナル・アルバム『sky was dark』を発表。最近ではプラネタリウムを舞台にした公演を定期的に開催し、その演出や完成度が、各方面から注目を集めている。

dedemouse.com

banvox

— 初めて楽曲の中で使ったドラム・マシン系音源

 ぼくは今回、初めて Groove Agent を使用したのですが、とても良い音源だなという印象です。まずは何と言ってもプリセットがいい。最初にすべてのプリセットを聴いてみたんですが、どれも使えそうなものばかりで、流行りの Trap Beat や Orchestra Drum など、ものの数分でカッコいいビートをつくることができました。音色だけでなくパターンもしっかりしているので、どのプリセットもそのまま使えるくらいのクオリティに仕上がってますね。

 また、操作性が優れているというのもポイントが高いです。ぼくは音色はもちろんのこと、使いやすさとルックスも加味してプラグインを選ぶことが多いのですが、その点 Groove Agent 4 は合格。豊富な機能を一画面で瞬時に操作できて、とても優れたユーザー・インターフェースだなと思いました。エディットの自由度もひじょうに高いですしね。

 実はこれまで、ドラム・マシン系の音源に関しては、一度も楽曲の中で使ったことがなかったんですよ。しかし Groove Agent 4 は本当によく出来ているので、ある案件でさっそく使用してしまいました。ドラム・マシン系の音源でここまで惹かれたのは、正直 Groove Agent 4 が初めてです。プロから初心者まで、幅広い層に対応する製品だと思いますし、パソコンで曲づくりをしている人であれば持っていて損のない音源だと思います。

banvox(ばんぼっくす)。2010年に音楽制作を開始し、2011年にファースト・ミニ・アルバム『Intense Electro Disco』(Maltine Records)を発表。世界中のDJ/プロデューサーたちの間で注目を集める。翌2012年にリリースした『INSTINCT DAZZLING STARLIGHT EP』(Surfer Rosa Records)は、各国の配信チャートでランク・インを果たし、その名は世界中のダンス・シーンに知れ渡った。2014年、iTunesが選ぶ "ニュー・アーティスト 2014" に選出され、待望のフル・アルバム『Watch Me Dance』を発表。今、最も注目されているトラック・メイカーの一人である。

soundcloud.com/banvox

松井寛 Hiroshi Matsui a.k.a. royal mirrorball

— 音楽のいろいろな可能性を追求できるドラム音源

 Steinberg のドラム音源の第4世代にあたる Groove Agent 4 は、生ドラムのシミュレーションから今風なエレクトロ・サウンド、そしてパーカッション系に至るまで、あらゆるドラム/パーカッション・サウンドに対応する優れモノという印象です。

 たとえば "DISCO" というプリセットは、最近のロック・バンドが4つ打ち系の曲をやっているような感じのテイストになっていて、今この手のドラム・サウンドを求めている人はきっと多いのではないかと思いました。実はこの手の "最近のロック・バンドの生ドラム・テイスト" って、実際に作ろうとするととても難しかったりするんですよ。いい感じのドラムが作れたと思っても、レコーディングでベースやギター、歌などを重ねていくに従って、最初のイメージとどうしても違ってきてしまうんです。その点、Groove Agent 4 は最後まで残るサウンドになっているというか、プリセットを鳴らして軽く歪ませたギターを重ねるだけで、音の最終形が見える感じがしますね。

 プリセットの音色は比較的リリースが長めだったので、自分が好きな70年代風のリリースが短い音色は苦手なのかなと思ったんですが、実際にはそんなことはありませんでした。キックやスネアのピッチとリリース、それにマイクの Room や Overtop といったパラメータ−をエディットすれば、しっかり70年代風のドライな音色になってくれます。特筆すべきは、サチュレーション系のエフェクトをパートごとにかけられる点で、70年代に流行った2インチのアナログ・マルチをオーバーロードさせたようなサウンドも簡単に再現することができる。プロはもちろんのこと、DTM を始めたばかりの人にも "音楽のいろいろな可能性を追求できるドラム音源" としてオススメの製品ですね。

松井寛(まつい・ひろし)。プロデューサー/作曲家/編曲家/リミキサー/DJ。1967年生、北海道出身。CM 音楽の作曲家/編曲家として活動を開始し、『PARCO グランバザール』をはじめ、数多くのCM ソングを世に送り出す。その後、作曲家/編曲家として、MISIA、安室奈美恵、加藤ミリヤ、華原朋美、DiVA など、多くのアーティストの作品を手がけ、中でも作曲/編曲を手がけた MISIA『INTO THE LIGHT』は大ヒットを記録。最近では東京女子流のほとんどの楽曲の編曲を手がけていることでも知られる。1991年には初のソロ・アルバム『CALL YOU BACK』を発売し、今年待望のセカンド・ソロ・アルバム『Mirrorball Flare + Royal Mirrorball Discotheque 』をリリースした。

www.royalmirrorball.com

美島豊明 Toyoaki Mishima

— 単なるドラム音源ではない、"最先端ドラム・マシン"

 Groove Agent 4、すごく楽しい音源ですね。リアルなドラム・サウンドからエレクトロニック・ビートに至るまで、さまざまな音色が1つの音源で鳴らせる点も素晴らしいんですが、左側に備わっているパッドの機能が従来のドラム音源とまったく違っていて、それがとても楽しいんです。個々のパッドには、キットを割り当てられるだけでなく、ドラム・パターンもストックすることができる。しかもリアルタイムにパターンを切り替えることができるので、スタンドアローン・モードで使用すればライブ・プレイもできるんです。それと Acoustic Agent に搭載されている Style Player がいいですね。Style Player の XY コントローラーを MIDI でコントロールすれば、まるでドラマーとコミュニケーションしているような感覚になります。Groove Agent 4、単なるドラム音源ではない、"最先端ドラム・マシン" という印象です。

美島豊明(みしま・とよあき)。1980年代、シンセサイザー・プログラマーとして活動を開始。1990年代初頭、鈴木惣一郎と Everything Play を結成し、3枚のアルバムをリリース。1991年、フリッパーズ・ギター『ヘッド博士の世界塔』への参加を機に、小山田圭吾のプロダクションをサポートするようになり、以降 CORNELIUS の全作品に参加。2012年、コンテンツ・プロデューサーのマスヤマコムとユニット、mishmash* を結成し、マルチ・クリエイターとして活躍する Julie Watai をフィーチャーしたアルバムを2枚、コンテンポラリー・ダンサーの Miki Orihara をフィーチャーした作品を2曲発表するなど、精力的な活動を行っている。

mishmashjp.com

安田寿之 Toshiyuki Yasuda

— 自分がセッション・ドラマーになったかのように音源を演奏できる

 僕は個性的な音源を好むタイプなんですが、Groove Agent 4 は最初、そういう音源とは対極にあるスタンダードな音源なのかなという印象でした。しかし実際に試してみたところ、これが予想を裏切るかなり強力な音源で、3種類の音源=エージェントによって生音から過激なエレクトロニック・サウンドに至るまで、幅広い音色が作り出すことができる。これは実際の制作にも使ってみたいなと感じました。

 エレクトロニック系のサウンドが網羅された Beat Agent は、"Vintage" や "Turntable" といったモードによって簡単にローファイ・サウンドが得られ、フィルターのディストーションなどを使えば積極的に音色をエディットすることができます。"Pitch" タブの "Key Range" 設定では、複数のパッドにサンプルを半音単位でマッピングすることができ、これは往年のハードウェア・サンプラーを思い出しました。また、"AudioWarp" 機能を使うと、ハードウェア・サンプラーでタイム・ストレッチしたかのような質感を得ることもできます。"AudioWarp" では、"Solo" と "Music" という2種類のモードが選べるんですが、"Music" モードではローファイなサウンドをハイファイに再生したかのような音色になって、これはとてもおもしろいですね。

 一方、アコースティック・サウンドの Acoustic Agent は、そのままでもかなりクオリティの高いサウンドが得られるんですが、異なるマイキングのキットをミックスすることで、音色を細かくコントロールできるのがいい。ルーム・マイクとオーバーヘッド・マイクも独立して備わっていて、"Wdith" ノブを使えばステレオ感も調整することができます。また、Groove Agent 4 には膨大な数のパターンが収録されているのですが、それらは単に使えるというだけでなく、DAW にインポートしてエディットできるのがいいですね。

 パターンと言えば、"Performance" セクションのスタイル・プレーヤー、個人的にはこれが Groove Agent 4 の最も特徴的な機能だと思っています。パターン・ダイヤルの "Auto Fill" をオンにしてフィルを自動的に挿入しつつ、パッド・ディスプレイの "Complexity" でパターンの複雑さをコントロールすれば、"Performance" というセクション名どおり、自分がセッション・ドラマーになったかのような感覚で音源を演奏できる。これはスタンドアローンで起動して、他のミュージシャンとセッションするのもおもしろそうですね。パーカッション・サウンドを収録した Percussion Agent も、"Performance" セクションが楽しい。"Random Complexity" で、スタイルの複雑さが1小節ごとにランダムかつ自然に切り替わるので、本当に生演奏のようです。

安田寿之(やすだ・としゆき)。音楽家/作編曲家/プロデューサー。MEGADOLLY レーベル代表。元 FPM。「ROBO*BRAZILEIRA」としてブラジル音楽を歌うなどユニークなソロ活動を主体に、Towa Tei、Señor Coconut(Atom Heart)、Clare and The Reasons、Fernanda Takai(Pato Fu)など、内外・ジャンル問わず共作・共演。CM、中野裕之監督映画、篠山紀信写真映像作品、桑原茂一コメディ作品などへの音楽制作も多数。新しい形の「音楽のソーシャル・ハブ」になるべく、直接契約するiTunes Storeで多様なアーティスト作品を全世界発表する。常に、既成概念を打破する新しい音楽の公表方法を模索/実施している。2013年には、1点物の音楽作品と写真を組み合わせた「音楽家の写真展」を開催し、広告業界など他業種から注目を集める。強いコンセプトの元作曲してきたスタンスを変え、主観を軸にシンガーソングライターのような楽曲を生歌・生楽器でイージーリスニング・ジャズのような雰囲気でアレンジした5thソロアルバム「Nameless God's Blue」が好評発売中。

www.toshiyuki-yasuda.com

Watusi (COLDFEET)

— "優れたハーモニーを持ったリズム・トラック" が簡単に作り出せる

 今、ドラム音源というのは "旬な製品" なわけですが、今回リリースされた Groove Agent 4 は後発だけあって、その最先端をいく内容になっているという印象。各ジャンルのプリセットのグルーヴっぷりは言うまでもなく、1本でアコースティック・ドラムからエレクトロニック・ドラム、そしてパーカッションに至るまで、すべてが同時に使えるというのが最高で、アイディアを瞬時に具現化するための "即戦力ツール" に仕上がっていると思います。たとえば最近流行の、一聴するとアコースティック・ドラムなんだけれども微妙に TR-808 の重低音がブレンドされているキックや、タム回しだけエレクトロニックだったりするドラム・キットも、Groove Agent 4 なら簡単に作ることができる。パーカッションも、シンプルなパターンだけでなく、多くの楽器を使ったアンサンブルまで事細やかに収録されていて、多様なユーザー目線への配慮もバッチリという印象。きっと "そうそう、こういう使い方したかったんだ!" と膝を打つ人も多いと思います。

 また、アコースティック・ドラムとエレクトロニック・ドラム、そしてパーカッションを同時に鳴らしたときの心地よい一体感が素晴らしい。ぼくがリズム・メイキングのときに追い求める“優れたハーモニーを持ったリズム・トラック”がいとも簡単に作り出せるんです。特にエディットしなくても、マルチ・マイクのバランスから EQ / コンプレッサーなどを使ったエフェクト処理に至るまで、デフォルトで非常に良く仕上がっているので、ドラムの音作りが苦手という人にもオススメ。ミキサー画面のデザイン / レイアウトも "よく分かってるな" という印象でとても好みですね。それと Groove Agent 4 は、エフェクトもすごく良くて、中でも TUBE 系のドライブ具合が最高。レゲエのちょっとこもったような生々しいサウンドが欲しいときにバッチリだと思います。

 Groove Agent 4 は、最大4つの異なるキットを同時に使うことができるんですが、まったく違ったパターンを並べると、4人の個性的なドラマーが競演しているような感じで楽しめます(笑)。プロからアマチュアまで、幅広い層にオススメできる音源ですね。

Watusi(わつし)。Lori Fine とのユニット COLDFEET のプログラマー/ベーシスト/DJ。COLDFEET の作品は日本のみならず世界各国でリリースされており、その高い音楽性とユニークな世界観はワールドワイドで評価されている。デビュー10周年となる2008年にリリースしたアルバム『TEN』は、iTunes Store で1位を記録するなど、数々のダンス・チャートを席巻。COLDFEET の活動の傍ら、中島美嘉の多くのシングルをはじめ、hiro、安室奈美恵、BoA、CHEMISTRY といったアーティストの作品を手がけ、アンダーグラウンドとメジャーを繋ぐ希有なプロデューサー/作曲家/編曲家としても活躍。また、サウンド&レコーディング・マガジンに連載を持つなど執筆活動も精力的に行っており、著書『MPCで学ぶリズム打ち込み入門』(リットーミュージック刊)は DTM 関連書籍部門で売り上げ上位となる。今年は待望のソロ作品の連続リリースがスタートし、大きな注目を集めている。

www.coldfeet.net
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