DAW コンポーネント
2011/08/09 更新
Steinberg の DAW (デジタルオーディオワークステーション) ソフトウェアは基本的に、製品パッケージに記載された動作環境を満たすコンピューター上で動作します。今日では様々なコンピューターが販売され、手頃な価格の小規模プロジェクト用システムから、音楽スタジオや映画制作スタジオで使用されるマルチプロセッサーシステムまで多くの選択肢があります。またモバイルシステムを使ったステージ使用やスタジオ外での音楽制作も今日では一般的です。
DAW の使用目的やプロジェクトの種類によってコンピューターに要求する仕様は変わってきます。ビット数、サンプリングレート、トラック数、プラグイン数、同時発音数などの要素もパフォーマンスに影響を及ぼすため、高いパフォーマンスを必要とするプロジェクトを扱うときは特に、用途に合ったコンピューターを選ぶことが大切です。
はじめに、コンピューターでどの程度の作業を行なうのか把握しましょう。作業内容によってハードウェア構成が大きく違ってきます。たとえば VST インストゥルメントを沢山使用したい場合は、高速なハードディスク、大量の RAM、および高速な CPU が必要です。一方、純粋にオーディオ録音システムとして DAW を使用するのであれば、トラック数やフォーマットによっては高速なハードディスクが必要ですが、ずば抜けて高速な CPU が必要というわけではありません。
さらに、作業を行う環境も必ず考慮に入れてください。一般的に、システムが高機能化するほどシステムが発生する騒音が大きくなってしまいます。これはパフォーマンスの高いハードウェアは通常より強力な冷却を必要とするためです。バッテリー駆動させるモバイルシステムの場合、特にゲーム用の高速なグラフィックカードを搭載したノートパソコンは、電力をより多く消費するためにシステム全体の処理に伴うレイテンシーを起こしてしまうことも考えられます。
つまり、最速のシステムが必ずしもあなたにとって最適なシステムとは限らない事がお分かりいただけるでしょう。
各製品ページやパッケージに記載される動作環境の補足情報として、下記情報をお役立てください。
プロセッサー
Steinberg DAW は、今日の一般的な CPU (プロセッサー) で動作します。CPU の性能は、処理速度は勿論、コア数やプロセッサーの数にも左右されます。
下記の表は Steinberg の最新 DAW (Cubase 6 および Nuendo 5) で大きなプロジェクトを扱う際に推奨する CPU、およびシステムです。
比較的小規模なプロジェクトやその他の環境によっては、スペックがこれ以下のシステム (例: Intel Core 2 Duo を搭載した Mac Mini など) でも十分に動作します。
| AMD | カテゴリー | コア数 |
|---|---|---|
| Phenom II X4 | Desktop | 4 |
| Phenom II X6 | Desktop | 6** |
| Opteron | Desktop | 4-6** |
| Intel | カテゴリー | コア数 |
|---|---|---|
| Core i3* | Mobile/Desktop | 2 |
| Core i5* | Mobile/Desktop | 2-4 |
| Core i7* | Mobile/Desktop | 2-6** |
| Xeon* | Desktop | 4-6** |
| Apple (Intel CPU) | カテゴリー | コア数 |
|---|---|---|
| MacBook Pro (Core i5 / Core i7)* | Mobile | 2 |
| iMac (Core i3 / Core i5 / Core i7)* | Desktop | 2-4 |
| Mac Pro (Xeon)* | Desktop | 4-12** |
* Hyper-Threading をサポートする CPU: こちらをご参照ください。
** 4コアを超えるマルチコア CPU について: こちらをご参照ください。
Intel CPU 搭載 Mac への対応状況はこちらに記載しています。
チップセット
どのマザーボードにも搭載されているチップセットは、DAW において最も重要な部分のひとつです。チップセットはコンピューターシステムの構成部品 (例: プロセッサー、システムバス、周辺機器等) 同士の信号の行き来を制御しますが、オーディオデバイスとの統合性もここに左右される為です。特に Windows PC の環境では、Intel、AMD、nVidia、SiS、そして VIA 等、様々なメーカーのチップセットが存在します。我々の経験上言える事ですが、全てのチップセットが同じようにオーディオアプリケーションに適しているわけではありません。
ハードディスク、オーディオデバイス、DSP カード等とのやり取りにおいて、低いレーテンシーと高いトランスファーレートが要求されるオーディオプロダクションでは、特定のチップセットやマザーボードが推奨、また非推奨となります。これはソフトウェアとハードウェアというより、ハードウェア同士の相性の問題である為、オーディオデバイス、DSP カードの導入のご検討にあたっては、製造業者へお問い合わせください。業者は、推奨のチップセット、また避けるべきチップセットの情報を提供してくれる事でしょう。Steinberg DAW の能力を発揮する為には、相性良く、また良く設定されたハードウェアが重要な基礎となるのです。
ハードドライブ
Steinberg DAW は原則として、現在販売されているほぼすべてのコンピューターのハードドライブで使用することができます。オーディオトラック数が非常に多い高負荷のプロジェクトで使用する場合や、ディスクストリーミング技術を用いる VST インストゥルメント (VSTi) を使用する場合、またソフトウェアサンプラーのサンプルコンテンツ保存メディアとしてハードドライブを使用する場合は、以下の要素を考慮してください。
- 回転速度 (Revolutions Per Minute、RPM)
回転速度は、ハードディスクが同時に記録や再生を行えるオーディオトラック数に直接影響を及ぼします。
ノートパソコンの場合、低価格帯の機種には 4,200 RPM のハードディスクが搭載されていることがありますが、データ転送速度がボトルネックとなり高いパフォーマンスは期待できないため、小規模なオーディオプロジェクトまでの使用にとどめてください。5,400 RPM 以上のハードディスクを搭載していれば、一般的なオーディオトラック数を確保する要件をほぼ満たしています。より多くのオーディオトラックを扱うプロフェッショナルクラスのパフォーマンスを求める場合は、7,200 RPM 以上のハードディスクが必要になるでしょう。また、データスループットが高い外付けハードディスクを FireWire や USB 2.0/3.0 接続で使用することも有効です。一部の新しいノートパソコンは外付けドライブ用の eSATA ポートを搭載していますが、eSATA ポートは通常、内蔵 SATA ドライブと同じ転送レートを持つため、こちらもおすすめします。
デスクトップシステムでは、7,200 RPM 以上のハードディスクを使用してください。7,200 RPM のハードディスクは、多数のオーディオトラックを持つ高負荷プロジェクトを取り扱いながら、サンプルデータを VSTi へ供給するのに十分なデータスループットを備えています。それでも処理が追いつかない場合には、より性能の高いディスク (10,000 RPM の SATA ディスクなど) が必要になります。
オーディオデータのスループットを向上させる別の手段は、複数のハードディスクを使用することです。また、OS およびアプリケーションのインストール専用にハードディスクを一台、そしてオーディオデータ用にもう一台といったように、複数のハードディスクにファイルを分散することで、トラブル解決にも有利になる場合があります。ソフトウェアサンプラーを頻繁に使用する場合には、サンプルコンテンツ専用にもう一台ハードディスクを増設すると良いでしょう。 - SSD (ソリッドステートドライブ)
SSD は、特にサンプルコンテンツを多用する場合に有力な選択肢です。フラッシュテクノロジーを用いた SSD は機械部分を持たないため、ハードディスクと比べ静かで頑丈であり、短いアクセスタイム、高いデータ転送レートなど、多くの利点を持ちます。これらの特性により、SSD はサンプルコンテンツのストリーミングに最適です。反面、ハードディスクと比べると SSD は容量単価が高いのが現状です。SSD 導入にあたっては、Windows 7 環境をおすすめします。Windows 7 は SSD の自動認識、自動デフラグメントの無効化や TRIM コマンドなど、SSD への最適化がなされています。また Mac でも Mac OS X 10.6.8 において、Apple 純正 SSD に対しては TRIM コマンドに対応しました。 - キャッシュ
ハードディスクにはキャッシュと呼ばれるバッファメモリが搭載されており、ハードディスクのアクセス速度に影響を与えます。一般的にキャッシュサイズが大きいほど、大量のデータを取り扱うためのハードディスク性能が高くなります。オーディオにおいては、16MB 以上のキャッシュが効果的です。一般に、デスクトップコンピューターが搭載するハードディスクは 4MB から 8MB のキャッシュを持ち、ノートパソコンが搭載するハードディスクのキャッシュはそれよりも小さめです。ハードディスクをソフトウェアサンプラーのサンプルコンテンツのストリーミング用として使用する場合には、特にキャッシュサイズに注意してください。回転速度と同様に、VSTi (HALion など) の再生中などには、同時読み込み可能な各サンプル量に対してキャッシュのサイズが直接影響を及ぼします。 - インターフェース
高いパフォーマンスを追求した DAW システムをお考えの場合、ハードディスクの接続方式は特に重要です。元来パラレルプロトコルとして考案された ATA 規格ですが、近年シリアルバージョンである S-ATA プロトコルが登場し、S-ATA は現在、Mac および PC システムで幅広く使用されています。さらに高いデータスループットと最適化されたディスクドライブアドレッシング (例:NCQ、Native Command Queuing の略記、SCSI 規格の技術を参考に考案された技術) を誇る S-ATA II は、より進化したインターフェース規格です。現在では、コンピューターをハイパフォーマンスのオーディオワークステーションとして使用する際に、 SCSI システムを用意する必要がなくなりました。SCSI 規格は非常にパワフルな技術ではありますが、その価格の高さからコストパフォーマンスがそれほど高くないといわれています。SCSI ハードディスクには最高 15,000 RPM の回転数を誇る機種もあり、価格を考慮せずにパフォーマンスのみを追求する場合、SCSI ハードディスクは選択肢の一つになりますが、このようなシステムには発熱やノイズレベルの増加が伴うことも忘れないでください。スタジオネットワーク用に非常に効率の良いメディアサーバを構築する、数百にも及ぶトラック数を使用した大規模なレコーディングセッションを行う、といった場合には、SCSI やそのシリアルバージョンの後継規格 SAS (Serial Attached SCSI) が良い選択肢です。あるいは、複数の S-ATA ハードディスクを接続した RAID システムを構築するという方法もあります。
RAM
Steinberg の現行 DAW アプリケーションには少なくとも 1GB の RAM (ランダムアクセスメモリ) が必要ですが、メインメモリには動作中のすべてのアプリケーションや OS も同時にアクセスを行うため、RAM を増設することをおすすめします。また、プロジェクトが大規模になるにつれて、さらに多くの RAM が必要になる場合があります。これは VST インストゥルメントやオーディオプロジェクトがオーディオサンプルを RAM へ展開し、そこから読み込みを行うためです。RAM の容量が大きくない場合、バッファーされる素材の量が少なくなり、より低速なハードディスクを通じて読み込まれるため、アクセスにより長い時間がかかることになります。Cubase / Nuendo の現行バージョンの場合、Windows XP / Vista / 7 (32bit) では最大 2GB の RAM を、Mac OS X および Windows Vista / 7 (64bit) 上で32bit 版アプリケーションをご利用の場合は最大 4GB、Mac OS X 10.6 および Windows Vista / 7 (64bit) 上のネイティブ 64bit 版アプリケーションではそれ以上の RAM を扱うことが可能です。
オーディオデバイス
コンピューター用の主要なインターフェースに対応したオーディオデバイスが各社からリリースされています。
- USB 1.1
- USB 2.0
- FireWire 400 (IEEE 1394)
- FireWire 800 (IEEE 1394b)
- PCI
- PCIe
- PCMCIA
インターフェース (接続方法) の選択は、用途や使用するコンピューターシステム次第です。たとえば、今日の多くのシステムは PCI スロットを装備しておらず、IEEE1394 端子を持たない Windows PC もあります。またどの接続方法にせよ、ASIO 2.0 (Windows PC) または Core Audio (Mac) ドライバーに対応しているオーディオデバイスを選んでください。これらのドライバーは CPU への負荷を下げ、レイテンシーを極めて低く抑えることができます。特に VSTi を使用したり、ソフトウェア経由でレコーディング中のオーディオをモニタリングする場合などには、レイテンシーを数ミリ秒以下に設定しないと実際の音と発音タイミングにズレが生じ、うまく作業を進めることができません。たとえば 1.5 ミリ秒などという、極めて低いレイテンシーを実現するには、良く構成された高性能システムと同様に、オーディオデバイスとそのドライバーの性能もトータルで構築されている必要があるのです。
グラフィックカード
現在、主要なグラフィックカードメーカー (nVidia 、ATI 、Matrox) から安定したドライバが提供されており、グラフィックカード用ドライバの互換性に悩まされることは殆どありません。また、それぞれのメーカーから、マルチモニターに対応したカードが発売されています。DVI、VGA だけでなく、HDMI や DisplayPort 接続に対応したカードも出回っています。
ビデオエンジン
Cubase 5.5 / Nuendo 5 のリリースと共に、Steinberg は新しいビデオエンジンを採用しました。新エンジンはビデオ再生を GPU 処理に最適化したため、特に HD 素材を用いた場合に飛躍的に処理が向上しましたが、パフォーマンスの向上を実感していただくには OpenGL 2.0 以上に対応したグラフィックカードと、適切な(最新の)ドライバーをインストールしたシステムが必要です。OpenGL 2.0 は2004年後期に登場した規格であり、現在流通する殆どのデスクトップ、ラップトップコンピューターは既に OpenGL 2.0 以上に対応しています。
* ビデオエンジンについて詳しくは こちらのページ をご参照ください。
Apple Mac - Mac OS X
Steinberg は基本的に現行バージョンの Mac OS X を推奨しています。各製品の動作環境に特別な表記がない限り、現行の Steinberg 製品は最新バージョンの Mac OS X とより良い互換性があります。
* OS X 10.7 Lion 対応状況については こちらのページ をご参照ください。
PC - Microsoft Windows
Steinberg 製品は Windows Vista、Windows 7 に対応しています。またいくつかの製品は、ネイティブ 64bit バージョンも提供しております。詳しくは各製品ページをご参照ください。また、Windows XP に対応している製品については、Windows XP Professional、または Windows XP Home Edition のシステムで動作します。可能な限り SP3 (サービスパック3) 以降にアップデートした状態でご使用ください。また、Windows XP Media Center、Tablet PC Edition、Windows Server System には公式対応しておりませんのでご注意ください。動作環境にサポート OS として記載されている特定の製品を除き、Windows 2000 に関しては動作保証を終了しております。また Windows XP 64bit も、公式にはサポートしておりません。
* Windows 7 対応のアップデータは ダウンロードページ より配布中です。






